普通の高血圧と何が違う? 「原発性アルドステロン症」の症状や合併症リスク【医師解説】
血圧の上昇を引き起こすだけでなく、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高くなる原発性アルドステロン症。高血圧患者の中に一定数存在しますが、見逃されることも多いと言われます。一体、原発性アルドステロン症とはどのような病気なのでしょうか? ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島の中口先生にメディカルドック編集部が詳しく聞きました。
監修医師:
中口 裕達(ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島)
聖マリアンナ医科大学医学部卒業。横浜市立大学附属病院 基本臨床研修プログラム修了。横浜市立大学大学院医学研究科 医科学専攻修了、医学博士号取得。国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院 代謝内分泌内科、横浜市立大学附属病院 内分泌・糖尿病内科 助教、国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院 内分泌代謝内科 医長などを経て現職。医学博士、日本内科学会認定医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・指導医。
編集部
原発性アルドステロン症とは、どんな病気ですか?
中口先生
原発性アルドステロン症は、副腎(左右一対、腎臓の上にある臓器)がアルドステロンというホルモンを過剰に分泌する病気です。アルドステロンは体内の塩分や水分を調整し、血圧を維持する役割があります。しかし、この病気ではホルモンが過剰に分泌されるため、血圧が高くなり、普通の高血圧治療では十分に改善しない場合があります。アルドステロンが過剰になると、脳血管や心臓関連の合併症、腎機能障害などを引き起こしやすくなります。また、血液中のカリウムが低くなる低カリウム血症がみられることもあります。
編集部
原発性アルドステロン症は珍しい病気なのですか?
中口先生
原発性アルドステロン症は高血圧患者の約5~10%にみられる疾患で、決してまれな疾患ではありません。特に降圧薬を3種類以上服用しても血圧が下がらない治療抵抗性高血圧の患者さんでは、その有病率は20%以上に達すると言われています。
編集部
普通の高血圧だと思ったら、じつは原発性アルドステロン症が原因だった、ということも多いのですね。
中口先生
はい。この病気は近年注目されており、スクリーニング検査の普及やガイドライン改訂により発見される患者さんが増えています。一方で、見逃されているケースも多いのが現状です。この病気は、通常の高血圧症と比べて心筋肥大、心不全、脳卒中などの合併症リスクが高いことが知られています。これらのリスクを軽減するためには、早期診断が重要です。
編集部
早期発見のために私たちにできることは何ですか?
中口先生
まずは家庭血圧を測定してください。家庭血圧測定は、高血圧を管理する上で非常に有用です。診察室では緊張などで血圧が高く測定されることがありますが、家庭で測定した血圧は実際の状態を反映しやすいため、重症度や治療効果を正確に評価できます。特に、起床後や夜寝る前の血圧を測ると変動が分かりやすいです。自宅での高血圧の目安は収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上です。これが続く場合は、まずは高血圧症の精査のため医療機関を受診しましょう。
編集部
どのような場合に原発性アルドステロン症を疑うのがよいのでしょうか?
中口先生
とくに、40歳以下で高血圧を認める場合や、健診や病院で収縮期血圧160mmHg以上かつ/または拡張期血圧100mmHg以上を指摘された方は、スクリーニング検査が推奨されます。そのほか、以下に当てはまる場合は原発性アルドステロン症を疑う必要があります。若年で高血圧を発症(40歳以下)
降圧薬を複数使用しても血圧が下がらない治療抵抗性高血圧
血液検査で低カリウム血症を指摘された
若年で脳血管障害(脳出血や脳梗塞)を起こした
睡眠時無呼吸症候群を合併
Ⅱ度高血圧以上(診察室での収縮期血圧160mmHg以上かつ/または拡張期血圧100mmHg以上)
アルドステロン症は心血管疾患の合併リスクが高い病気ですが、適切な診断と治療でリスクを減らせます。健診で高血圧を指摘された際や、家庭血圧測定で収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上が続く場合、まずは医療機関を受診しましょう。その上でアルドステロン症が疑わしい症例には精査が推奨されます。
※この記事はメディカルドックにて<【近年増加】通常の「高血圧」より心不全・脳卒中リスクの高い特殊な高血圧をご存じですか?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
