「ただの風邪」のはずが…3歳目前の息子が突如“脳死”に。自分を責め続ける女性を救った「意外な言葉」
我が子が3歳の誕生日を迎える目前のタイミングで、ある日突然、永遠の別れを強いられたのが、飲食店を経営する河原由美子さんだ。
◆「熱痙攣」で救急搬送された三男
2018年5月のある土曜日の夜。河原さんが仕事を終えて帰宅すると、数日前から風邪をひき、熱を出していた三男と夫はともにベッドで眠っていた。
慌てて三男のところへ向かうと痙攣しており、救急車を呼び、病院に搬送されることとなった。処置を受け、医師の診断は「熱痙攣」ということで、熱と痙攣を抑える点滴をすると説明を受け、朝方、河原さん夫妻は一旦帰宅することになった。
だがその日のうちに、血液検査をした結果が悪いため、より大きな病院である子ども医療センターに搬送したという連絡を受けた。さっそく、子ども医療センターに向い、三男と対面した時には、輸血をされ、人工呼吸器をつけられるという非現実的な光景が河原さんの目に飛び込んできたという。
状況がまったく飲み込めない河原さんに告げられたのは、「急性脳症」という三男の現状だった。風邪のウイルスが入って脳が炎症を起こしてしまい、腫れ上がっている状態。このままでは脳の重要な部分を圧迫してしまうため、頭を重点的に冷やし、薬で寝かせていると医師から説明を受けても、どこか実感が湧かないまま、その日は帰ることになった。
◆わずか3日後、脳死を告げられる
しかしその3日後、さらに残酷な事実を河原さんは突きつけられることになる。脳の炎症は治ったが、目をさまさない状態が続いていた三男の脳を検査すると、脳が膨張した時に脳幹を圧迫し、損傷してしまったことによる“脳死”だと告げられたのだ。
「人としては死と言える状態です」という医者の言葉により、その時初めて河原さんは血の気が引いたという。
「脳死になると、ホルモンが分泌されなくなるので、早かったら1週間ぐらいで心臓が止まってしまうだろうと宣告されました。その上で、延命治療をするかしないかの選択を迫られました。私と夫は、薬を使って生かすのは人として生きていると言えないのではないか? と思いつつも、あっという間に亡くなってしまうというのが受け入れられなかった。
今の医学では治せないけど、もしかしたらそういう奇跡と言われているものが起こるんじゃないかと信じたい。信じなきゃいけないんだと当時は思っていました」(以下、河原さん)
脳死だが、心臓は動いている。もしかしたら目を覚ますかもしれない。そんな期待と絶望を行き来する日々だったという。
◆現実を受け入れられず、会いに行けない期間も
結果的に三男は3か月半、脳死状態のまま生き続けていたが、その期間、河原さんの絶望は日に日に大きくなり、前向きでないといけないというのを自分に強いるのもつらかったと語ってくれた。
「最初は目をさますと信じていました。夫は絶対助からないと思っていたそうですが、私は何か方法があると思って、3か月半、脳に効くとされるサプリを使ってみたり、マッサージをしてみたり、いろいろと試してみました。でも心のどこかではやっぱり死んでしまうんだろうなとは思っていたのだと思います。
他の人からはよくそんなことするねって言われるかもしれませんが、現実を受け入れられなかったからか、シーズンがいっぱいある海外のドラマを見て、疲れたら寝るとか、最初は子どもの病室に行ってたけど、だんだん逆に会いにいけなくなったり……心の準備をする期間があったからこそ、よかったと言える部分もありましたが、最悪な状況がこれから起こるかもという覚悟をしていくことを無意識的に拒否していたのかもしれません」

