時間を買い、脳を空っぽにし、絶望は即座に“ご褒美”で上書きする。徹底して無駄を省く「成功者の絶対ルール」

写真拡大

富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、「シン富裕層」が共通して持っている、時短・仕組化の徹底された思考法について解説します。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)

時間を買え、コストコには行くな

シン富裕層は、自分の時間を何よりも大切にしています。そのため、「安さで得をすることが目的なら、コストコ(会員制安売りチェーン)には行くな」とアドバイスされたことがあります。

「コストコ」は、大容量で高品質な商品を低価格で買えると人気のアメリカ発の倉庫型スーパーマーケットです。各地のコストコには人が殺到していて、毎週末には駐車場に入るのも大変なほど、周辺道路が渋滞しています。売り場も買い物客と大型カートで混み合っていますし、レジも大行列です。

私もコストコのトイレットペーパーとキッチンペーパーが大好きで、必ず買って帰ります。安いし、品質もいいのです。特に高品質のキッチンペーパーなら、12ロール入って約2,700円で買えます。それ以外は「ついで買い」です。「ワインは安いかな?」「にぎり寿司が美味しそう!」などとあれこれ見て回ったりして、楽しく買い物ができます。

しかし、コストコのキッチンペーパーは同じものをネットショッピングで買うこともできます。そちらは12ロールで3,700円前後の値付けがされています。Amazonのプライム会員なら送料込みの価格です。コストコに買いに行くよりも1,000円も高く、一見すると割高です。

しかしよくよく考えると、コストコの近所に住んでいる人でもない限り、郊外にあるコストコまで行くための往復の交通費は、意外とかかります。ガソリン代や場合によっては高速代も……。

さらに、家族全員でコストコに行くとすると、それぞれの時間を費やしていることになるので、時給2,000円で換算しても、2人で行けば1時間で4,000円分の時間を使っているのと同じです。それなら、トイレットペーパーをネットで1,000円高く買った方がいい。そういう発想が、シン富裕層の「時間を買え、コストコには行くな」という考え方になるわけです。

もちろん、「ついで買い」が楽しいから行くという人が、「コストコはテーマパークで、楽しむために行っているんだ」と定義しているのであれば問題ないと思います。しかし、コストコに安さを求めてわざわざ行っているという人は、その発想ではシン富裕層にはなれないと心得るべきです。コストコに行くのは、コスト的にはデメリットの方が大きいからです。

「10円安い卵を買うために、10分先のスーパーまで行くのは時間の無駄だ」とよく言われますが、コストコに安さだけを求めている人の発想は、それと同じだということです。

頭のリソースをゼロにするため「覚えない」仕組みを作る

先ほどのシン富裕層は、「自分の頭のリソースを基本的にゼロにしろ」とも言っていました。つまり、「日常でどうでもいいことに自分の頭を使うことを、極限まで減らせ」ということです。どうでもいいことは考えない上に、そもそも覚えないようにするのです。

「メモも取るべきではない」とも言っていました。「明日すべきこと」などをメモに書くと、頭の中に「やらなきゃ」ということがずっと残ってしまうからだそうです。だから、自動的に思い出す仕組みを作るように仕向けるべきだといいます。たとえばGoogleカレンダーに、「何時から何時までこれをする」と入力をしてアラームをかけ、入力した瞬間にそのことを忘れるのです。

あるシン富裕層の話として、家をリフォームした事例を聞きました。それは「ディスポーザー」が不調で新しいものに交換することになったという話です。ディスポーザーとは、キッチンの排水口に取り付けて生ごみを粉砕処理して、水とともに下水に流す電化製品です。新しいディスポーザーは12万円で、上位機種のディスポーザーは17万円だったといいます。

その差は何かと言うと、普通のディスポーザーは生ごみを捨てる最中、水を流し続けないといけない。しかし上位機種は、生ごみを捨てると自動的に給水されて、自動的に止まるというものでした。

「水なんて、生ごみを捨てる間だけ自分でさっと流してぱっと止めればいいじゃない」と普通は思います。そのシン富裕層も当初そう思ったらしいのですが、奥様から「水を流さなきゃ、水を止めなきゃ、ということを忘れないように覚えておかなければいけなくなる。あなたいつも覚えることは減らすべきだと言ってるじゃないの? 言っていることとやっていることが矛盾してるわ」と言われ、苦笑いしながら5万円余計に払って上位機種を取り付けたと言っていました。

「覚えることは減らすべき」をこんなところまで徹底しているのかと驚きました。また、子どもの習い事に毎週送り迎えをしないといけないという場合、自分が行くのではなく、お金を払ってでも誰かに依頼して行ってもらうべきだとも言っていました。「〇時に行かなきゃ」といった覚えるべきことをなくし、外注して自動的に実現できるようにするというのです。

ココロは癒せない、良い体験で上書きせよ

シン富裕層は、なによりモチベーションの維持を大切にします。悪いことやショックなことが起きたときは、心は簡単に癒せない。だからこそモチベーション維持のために、代わりになるような「良い体験」で上書きをするのだというのです。

たとえは悪いですが、大切な家族が亡くなると、誰しも大きな不安やショックを受けます。その不安やショックはどうやってもなかなか癒せません。しかしこのとき、生命保険で数千万円がもらえるとなるとどうでしょうか。すごくショックなことは変わりないものの、ある程度の不安は打ち消せるのではないでしょうか。

そういう意味では、生命保険は残された人が落ち込み過ぎないようにするものだともいえます。「亡くなって悲しいけれど、頑張って生きていこうね」と、残された家族が前を向くためのきっかけになるわけです。

シンガポールで生活する、あるビジネスオーナー型のシン富裕層は、一か八かの勝負に出た時にダメかもしれない、マイナスのことが起きるかもしれないと想定し、うまくいかなかったときのために「自分にご褒美をあげよう」とあらかじめプラスの要素を考えておくそうです。

「ダメだったとき、自分はどのくらいショックだろうか」とよく考えてみて、それが埋まるようなプラス要素を持ってくるようにするというのです。一般的な考えとしては、「うまくいったからご褒美を」と考えがちですが、彼の考え方は逆なのです。

たとえば「意中の彼女に告白して、もし振られたら、ずっと欲しかった単車を買おう」あるいは「お金がもったいないと思って諦めていたキャバクラに行こう」などです。告白がOKだったら、ハッピーなので、ご褒美はいりません。

NGだったら心が落ち込みますが、それをなるべく早く切り替えられるようにご褒美を用意するのです。それが、自分の気持ちを落ち込ませないための、シン富裕層的なテクニックのひとつです。

大森 健史

株式会社アエルワールド

代表取締役