20歳ストライカー後藤啓介の原点。あの時、ヤマハスタジアムで語った「W杯優勝」の夢は、一本の線となって続いている【日本代表】
カタールW杯まで森保ジャパンの参謀として、東京五輪世代の三笘薫や上田綺世らの成長を見てきた横内監督の言葉は、後藤にも重く響いていたはずだ。その横内監督からも評価と信頼を勝ち取り、昇格のかかるラスト2試合で先発フル出場という大役を果たした後藤は、夢を追いかけるために、海外挑戦を決断する。
行き先はベルギーの名門アンデルレヒトだった。買い取りオプション付きの期限付き移籍という扱いで、最初はセカンドチーム(フューチャーズ)でのプレーだったが、多国籍の若い選手たちと切磋琢磨しながら、ベルギー2部で得点を重ねて、完全移籍を勝ち取る。そこからトップチームでチャンスを得ると、ベルギーリーグやヨーロッパリーグでもゴールを記録した。
日本代表の森保一監督は後藤に関して「ジュビロでプレーしている時から見ているし、当時の(横内)監督からも、いろいろと情報をいただいた。前田遼一コーチは彼をユース年代から見ていて、どういう素質があるか、どういう成長をしているかを我々も追ってきた」と語り、こう続けた。
「日本から欧州に渡って、アンデルレヒトでなかなか出場機会には恵まれていなかったが、出場時間からすると得点数が多く、得点能力の高さを見せていたと思う。今はシント=トロイデンに移籍してレギュラーを掴み取っている。そのなかでストライカーとして得点力は魅力だと思うが、試合の流れ全般に関わるところ、運動量で多く関わって、最後に得点を取れるのが彼の良いところだと思っている」
その森保監督が評価したところこそ、まさしく磐田で、当時の横内監督から伝えられたメッセージそのものでもあるように思う。得点を決める才能は誰かに教えられるものではないかもしれないが、その前にサッカーの原点として、あることをひたむきにやり続けて、その先に結果が付いてくる。
「まずはゴールという目に見える結果を出せればと思います。満員のスタジアムで2試合できるので、そういうところも経験したいですし、まずはしっかり出られるようなアピールをしたいと思います。ジュビロのサポーターや今まで携わっていただいた方々も、すごい期待してくれてると思うので。その期待に応えられるように」
あの時、ヤマハスタジアムで語った「ワールドカップ優勝」という夢は一本の線となって続いている。磐田から欧州、さらに世界へ。その大きな一歩を踏み出すことになるが、その先には長い道が続く。
2年前、当時の横内監督と後藤の将来性について話したことがあった。もちろんカタールW杯まで代表コーチとして、森保監督を支えた横内監督は直に後藤のことを伝えることもできる。しかし、横内監督は「今、僕が推薦したところで、森保監督はしっかり見てますので」と笑いながら、こう続けた。
「僕は一切関係なく、彼の実力で、その座を取ってほしい。失敗を気にせずにトライし続けることができれば、彼は本当に急成長して、一気に変わるものはあるかなと思ってます。もちろん、必ずどこかで壁にはぶつかると思いますけど、乗り越えるメンタルを持ってると思うので」
これまで後藤啓介という選手の成長に関わってきた人たちや応援してくれるサポーターへの想いを背負いながら、ここからは日の丸も背負う選手として、国民の期待に応えていかなければいけない。ストライカーとしてゴールという結果が、その最も分かりやすい回答であることは間違いないが、原点を忘れることなく夢への道を駆け抜けていってほしい。
取材・文●河治良幸
【画像】モデルに久保建英! 北中米W杯でも着用、日本代表の“新ユニホーム”を特集!
