この記事をまとめると

■HEVは日本だけでなくアメリカでも注目度が急上昇している

■高いガソリン価格が続くカリフォルニアではHEV需要が爆発的に拡大中

■ホンダ・シビックHEVなどのモデルは北米市場で大きい存在になりそうだ

ハイブリッドの波が遅れてアメリカにも

 日本国内でのHEV(ハイブリッド車)販売比率は52.2%となっており、世界各国の市場と比べても突出してHEVがよく売れている。東南アジアのタイでもすでにHEVの販売比率は20%を超えており、2022年あたりからBEV(バッテリー電気自動車)がまさに飛ぶように売れていたのだが、ここのところはHEVが勢いを失いかけているBEVにかわり、飛ぶように売れだしている。

 アメリカ全体でのHEV販売比率は12%強、アメリカ国内でBEV普及が突出しているカリフォルニア州では2024年統計で17.4%となっている。BEV普及に関しては偏りも見受けられるが、HEVの販売では全米値と比較してもカリフォルニア州が突出して数値が高くないところをみると、全米規模といっていいほどHEVが注目されているようにもみえる。カリフォルニア州では2020年におけるHEV販売比率が6.1%だったので5年で2.3倍ほどとなっている。

 全米平均や各地のガソリン価格が下落傾向で落ち着くなか、カリフォルニア州のガソリン価格は高値安定定着状態となっている。地元報道などを検索すると2035年までのICE(内燃機関)新車販売禁止へ向け、製油所の閉鎖や精製量の減産などガソリン精製の調整を進めているとのことで、当然流通量の減少傾向が今後も続くので、この高値安定傾向が改善されることは期待できそうもないようなのである。

 日本のように通勤交通費が支給されないアメリカ、とくにクルマ社会が顕著な南カリフォルニアでは、ガソリン価格の変動は家計を大きく直撃する。すでに高所得者層の居住地域などではオクタン価の高いガソリンでは、1ガロン(約3.75リットル)あたり5ドル(1リットルあたり200円強)超えが当たり前になろうとしている。そのなか、燃料代をセーブできるとしてここ数年HEVが急激に注目されているのである。

シビックで国産ハイブリッドの実力を再確認

 そのようななか、今回南カリフォルニアを訪れた際に総走行距離約1600マイル(約2500km)にわたり、HEVを運転する機会を得た。

 運転したのは2025年モデルとなる、「ホンダ・シビックセダン・スポーツ ツーリング・ハイブリッド」。2024年に2025年モデルとしてデビューし、2025北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。2リッター直4エンジンをベースにした2モーター式となるハイブリッドユニットは、システム総合出力200hpを発生する。

 かつては、カローラやサニーなどとともに大衆車ともいわれたシビックであるが、今回試乗した現行シビックセダンは全長約4693×全幅約1800×全高約1414mmと、かなり立派になったなあと感じたのだが、南カリフォルニアで駐車場に停めるとスペース内で余白が目立つので、それでもコンパクトカーなんだと実感じた。

 試乗した印象は、とにかく気がつくといつもEVモードで走っていたということ。マイルをkm、ガロンをリットルに換算して何回か燃費計測を行ったのだが、デスバレー周辺の砂漠地帯をメインに、途中険しい峠越えなどを行った時の燃費は約21km/L、ロサンゼルス地域でフリーウェイメインでの平地走行時には約25km/Lとなり、いわゆるカタログ数値を超えていた。

 ガソリン給油時もその給油量の少なさに驚かされた。タンク半分よりやや多いぐらいで給油しても4ガロン(約15リットル)、燃料ゲージで残り2メモリぐらいで給油しても7ガロン(約26リットル)しか入らないのである。燃料タンク容量を調べてみると約40リットルであった。カタログ数値での燃費をベースに換算すると、タンク満タンでの航続距離は840kmとなる。とにかく一度満タンにすると、ガソリンがなかなか減らない、アメリカのひとたちもこのような「魔法」を一度味わえば2度と離れることはできないだろう。

 燃費性能だけではなく2リッターエンジンにモーターアシストが加わるので加速性能も秀逸であり、フリーウェイでの本線合流時や、郊外で大型トレーラーを追い抜くときにその凄さが感じられる。郊外でのとくにフリーウェイや砂漠の一本道などではクルーズコントロールが必需品であり、これがないとたちまち膝がガクガクと鳴きだしてしまうのだが、シビックのそれはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)となっており、追い越しをかけようと半身ほど隣の車線に移動させたとたん気持ちよく加速してくれるだけではなく、減速も非常にスムースであり、前方に大型トレーラーがいて、それに近づくなかで設定速度から緩やかに減速ははじまったら追い越しをかけるという自分なりのリズムを確立することができ、快適な高速走行を楽しむことができた。

 過去に純ガソリン車日系コンパクトカーを借り、デスバレー最寄りのフリーウェイのインターチェンジ近くで満タンにして、デスバレー周辺をドライブして戻ってくると燃料タンクがほぼ空っぽとなった。小排気量で燃費のいいエンジンであっても、燃料タンク容量が少ないため、遠乗りする時はそれより排気量も大きくなり、当然燃費性能もやや劣る。

 だが、燃料タンク容量がたっぷりしている1クラス上のクルマを選び航続距離を稼いでいたのだが、今回シビックを運転してみると燃費性能は文句なくよく、おまけにストレスを感じさせないパフォーマンスを両立しており、さらにコンパクトカーなのにスペック上では1タンクで約800kmも走るのだから「これで十分」となるケースも多いのではないかと感じた。

 ボディサイズはともかくとしても、HEVの普及により排気量のダウンサイズ化にスピードがかかると同時に幅広いカテゴリーでHEVが普及すれば、BEVを無理やり普及させるよりは、トータルで見ればコスパだけではなくタイパもいい選択になるのではないかと今回強く感じた。