『放送局占拠』“鎌鼬事件”の真相が明らかに “伊吹”加藤清史郎が語る“大トリ”の存在
9月6日に放送された『放送局占拠』(日本テレビ系)は第8話。2週前の前回、武蔵(櫻井翔)によって凍死寸前のところを助け出された大和(菊池風磨)は、“般若”こと伊吹(加藤清史郎)が変わってしまった理由と、伊吹によって妖から追放された理由を語る。そして、二人は伊吹の暴走を止めるために手を組むこととなる。『大病院占拠』(日本テレビ系)から始まった武蔵と大和の因縁の関係に、共通の敵――しかも武蔵にとっては義弟という間柄だ――が現れたことで大きな変化が生じる。これはドラマ的に待ちに待ったシチュエーションといえよう。
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前作の『新空港占拠』(日本テレビ系)の際は拘置所にいた大和。武蔵が空港占拠犯たちの情報を得るために彼の元を訪れ面会室のガラス越しに会話するシーンであったり、第7話で本庄(瀧内公美)を言葉巧みに揺さぶろうとする一連(この時に大和は、彼女を“妖”に引き入れようとしていたと今回明かされている)であったり、最終話で脱獄を図った点から、この『占拠』シリーズにおける大和の位置付けは、さながらジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』のレクター博士であると当時のコラムで筆者は指摘した記憶がある。
たしか最終話で脱獄した大和によってさらなる大きな事件が引き起こされる『ハンニバル』的な続編を期待したはずだが、改めて考えてみれば『放送局占拠』は半分だけ的中といったところか。たしかに“妖”のきっかけは大和であるが、伊吹を掌握することはできていない。今回、拘束されて指揮本部に連れてこられ、厳重な監視下に置かれる大和の状態を見るに、彼はまだ『羊たちの沈黙』のレクターのままであろう。おおよそテレビ局占拠事件が解決する頃には、大和はふたたび逃亡を図るものと推測できるのだが。
さて、局内では官房長官の息子である式根(山口大地)が“死のゴムパッチン”の装置にかけられる。伊吹が武蔵に命じるのは、この式根が関与している“始まりの闇”を突き止めること。ヒントとして提示された通り、屋代(高橋克典)に話を聞こうとする武蔵に、同席させてほしいと申しでる大和。案の定そこからわかることは、式根がかつて犯した罪を官房長官からの指示を受けて屋代がもみ消していたことであり、それを記者の安室光流(山本直宏)が明るみに出そうとして殺され、その隠蔽のために伊吹の恋人が罪を着せられた“鎌鼬事件”が起きたと。
さらに“化け猫”=高津美波(入山杏奈)と“河童”=高津波留斗(柏木悠)の高津姉弟の父が死ぬきっかけとなった“あかなめ事件”にもつながり、式根によって死に至らしめられた女性の妹――番組ADとして人質のなかにいた忽那翡翠(齊藤なぎさ)が復讐のために妖の最後の一人“座敷童子”になったことなど、一通りのことが繋がる。それでも伊吹の暴走が止まる気配はない。前回のラストで映された「PM PLAN」、局内にある「例の場所」、そして“大トリ”だと伊吹が語る「傀儡子」の存在が、まだ残されているからである。
それらは「傀儡子」が誰かさえわかれば芋づる式に明らかになるはずだ。今回のエピソードを観る限り、傀儡子の正体が式根の父である官房長官の線は消滅したと考えてもいいだろう。だとすると、すでに物語に登場している人物――それこそ『新空港占拠』の時の“山猫”のように、何食わぬ顔でどこかに紛れている――と考えるのが妥当であり、まだ何の闇も暴かれていない人質の誰か(もうあと4人だけだ)という可能性が非常に高い。
(文=久保田和馬)

