セルフレジ

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コロナ禍が拡大に拍車

 今ではスーパーやコンビニで当たり前のように見かけるセルフレジ。購入する商品のバーコードを自分でスキャンし、現金を払ったりカードをかざすだけで買い物が終わるのだから実に気軽である。

【写真を見る】セルフレジで“スリ被害”が起こるタイミングとは?

 全国スーパーマーケット協会などがまとめた「スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、2024年の時点でセルフレジを置いている企業の割合は37.9%に上り、半数近くが「新たに設置したい」「台数を増やしたい」と考えているという。セルフレジには、会計だけを行うセルフ精算レジ(※コンビニに多い)や、カゴに入れた商品をセンサーやカメラが感知し、自動的に精算してくれるレジレスなど、いくつかの種類があるが、導入の理由は大体二つだ。

セルフレジ

 全国スーパーマーケット協会の担当者によると、

「やはり人手不足です。ご存じのように、スーパーの従業員の仕事は商品の補充やクレーム対応など多岐にわたる。しかも、お客さんが増えてくると、レジの応援に向かわなくてはいけませんでした。やるべき仕事が多く、求人募集を出しても人が集まらないのです。また、コロナ禍を機に、品物やお金のやりとりによる接触を避けたいという風潮も出てきたことが、セルフレジの拡大に拍車をかけたといえます」

「千葉県でスリ被害が」

 導入による負担削減の効果は大きく、基本的に店員はレジの出口で見ているだけ。当初は1人で4台ほどを見ていたが、現在は8台以上が多いという。が、良いことばかりではない。セルフレジによる犯罪も起きている。例えば、新手の万引き。

 元神奈川県警の刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が言う。

「典型的なのは、品物をスキャンせずに買い物袋に入れるやり方です。監視カメラと店員がチェックしていますが実際にスキャンした品物と交ぜてしまえば分かりにくいのが実態です」

 チェーンストアなどが参加する全国万引犯罪防止機構によると、ドラッグストアとスーパー計5社に対し、セルフレジの不正に関する聞き取り調査を行ったところ、昨年1年で約2000件もの被害があったことが判明している。

「また、セルフレジでは精算中、カゴの横に財布を置いてしまいがちです。千葉県では、それを狙ったスリ被害も起きている。これなど、店が被害者ではありませんから万引きほど真剣には対応してもらえません」(流通ジャーナリスト)

 便利に見えるセルフレジだが、落とし穴があることもお忘れなきよう。

「週刊新潮」2025年8月28日号 掲載