世界的需要が高まるエビ争奪戦 指宿から“サステナブルな国産エビ”出荷へ温泉熱活用でコスト削減も
鹿児島市内のスーパー。生鮮食品の売り場を覗くと…並んでいたのは「インドネシア産」のバナメイエビ。
(なりざわ・成沢洋社長)
「ほとんどが外国産」
国内に流通するエビの9割以上が輸入に頼っています。加えて、今、世界で起きているのが…
(一般社団法人日本海老協会・藤井稚代理事)
「エビの需要は急増しています。エビ争奪戦と表現しても過言ではありません」
そうした中、指宿で行われているのがバナメイエビの養殖です。鹿児島ならではの自然の力を生かした環境に優しい、安心安全な新鮮なエビ。その味は…
(間世田キャスター)
「身がブリンブリン。全く臭みはなくて、身の中にぎゅっと、甘みとうまみが詰まっています」
特集は環境に優しい指宿のバナメイエビの秘密に迫ります。
■“卵から親まで”育てる 国産エビの新たな形
バナメイエビの養殖は、全国各地で行われていますが実は指宿市でも行われています。養鰻場を改装したエビの養殖場が西方にあります。養殖場を運営するのは、中本 雄三さん(50)です。大阪の難波で飲食店を経営していますが、5年前に指宿に移住、養殖をスタートしました。
(間世田キャスター)
「大きなプールが2つありますね」
(シナジーブリーディング・中本雄三さん)
「親エビを育てる施設。こちらがメス50匹、オス50匹。交配する前の状態。これが卵。背中に乗っている黄色いものが、透明で中に黄色い色のしっぽまであるものが卵」
一般的にエビの養殖は稚エビを海外から輸入して育てます。ただ、中本さんが挑戦するのは純国産」の養殖です。2年前から親エビが生んだ卵をふ化させ、稚エビを次の親まで育てる取り組みを始めました。国内では極めて珍しいそうです。
中本さんは、このサイクルに成功して25年1月、「純国産のバナメイエビ」を全国に向け出荷しました。今は親エビになる前の稚エビの生産に力を入れているため出荷は休んでいて本格的な出荷は12月以降になりそうです。
■地元で育てるからこそ味わえる“新鮮さ”が最大の強み
「指宿産のエビ」は、どんな味なのでしょうか?城山ホテル鹿児島に入る寿司店が以前、中本さんのエビを提供していました。寿司と刺身は客に大好評でした。
(SHIROYAMA HOTEL・栫昭二統括支配人)
「食感がすごく良いのと、やわらかい口当たり。食べたときに、とろけるような食感が特徴。県産のものを食べられるというのは、すごく嬉しいというお客さんの反応はある」
実はいま、エビの消費量はヨーロッパを中心に増えていて価格が上がっています。エビの専門家は…。
(一般社団法人日本海老協会・藤井稚代理事)
「エビの需要は急増しています。エビ争奪戦と表現しても過言ではありません」
そうした中、地元で国産のエビを養殖するメリットは・・・。
(一般社団法人日本海老協会・藤井稚代理事)
「最大のメリットは、水揚げから消費までの時間が短くて新鮮なエビを味わうことが可能となる」
現在、9割以上を輸入に頼る日本。国産は海外産と比べ高値で取引されていますが地域経済を活性化させようと街をあげて取り組む自治体もあるようです。
■コストも環境負荷もダウン 指宿の知恵が光る養殖法
関西で飲食店を経営する中本さんが目を付けた指宿。そこには、この地ならではの理由がありました。エビがよく育つのは28度から30度の温かい水の中。水温をキープするには、お金がかかります。ここで活躍するのが、鹿児島が誇る指宿の温泉です。
(シナジーブリーディング・中本雄三さん)
「通常はボイラーを使うと200トンとか300トンの水を温めるのに冬場だと200万から300万ぐらいのコストがかかるが電気代だけで月だいたい5万円ぐらいで済む」
温泉水の熱を活用するため、大幅にコストを削減。中本さんによると一般的な国産のエビより2割ほど安く提供できるということです。
さらに、中本さんの養殖場では海水を循環させているため、養殖場から水を外に出すことがなく環境に優しいんです。コストをかけず環境にも配慮した指宿産のエビは「人に優しく、地球にも優しい」
茹でたエビを試食しました。
(間世田キャスター)
「身がブリンブリン。全く臭みはなくて、身の中にぎゅっと甘みとうまみが詰まっています」
中本さんは加工場を備えた新たな養殖場を建設する予定で9月にも完成します。本格的な出荷を控え、すでに県外から問い合わせも増えているということです。
(シナジーブリーディング・中本雄三さん)
「指宿の温泉を活用して、オクラやスナップエンドウ、そういったものに次ぐ、新たな産業をエビで作っていきたいなというふうに考えています」
“地球にも人にもやさしいエビ”を全国へ。中本さんの挑戦は続きます。
(KYT news.everyかごしま 25年6月4日放送)

