【U-17日本代表 採点・寸評|アルゼンチン戦】シュート1本の道脇は厳しく評価。中島の攻撃センスは強豪国にも通用した
U-17日本代表は現地11月14日、インドネシアで開催されているU-17ワールドカップのグループステージ第2節でアルゼンチンと対戦した。
開始5分、8分に失点し、序盤に2点のビハインド。50分に高岡伶颯が1点を返すと、87分には右CKの流れから川村楽人がゴールネットを揺らすも、直前のファウルで得点は取り消しに。逆に90+8分に3失点目。1−3で敗れた。
【日本代表・総評】
採点「5」
戦前から力の差があるのは予想できた。しかし、考えられるなかで最悪のスタートで、ゲームプランが崩壊。「仕掛けの迫力は想像以上」(森山佳郎監督)の相手に対し、立ち上がりから翻弄される。
5分、ゴールまで30メートル付近でFKを与えると、10番のMFクラウディオ・エチェベリに鮮やかな一撃を決められた。「0−0もしくは0−1」という前半のプランを遂行するのであれば、これ以上の失点を避けたかったが、3分後には左サイドを破られ、最後はMFバレンティノ・アクーニャにゴールを割られた。
わずか開始8分で2失点。完全にペースを握られると、選手たちのプレーも消極的に。ボールを受けても逃げるような繋ぎやミスが頻発し、相手ゴールに向かうパスをなかなか出せない。守備でも前線からボールを奪いに行くが、中盤より後ろの選手が連動できずに単発のプレスに終わってしまう。
相手に簡単にボールを運ばれると、間延びした中盤のスペースを使われて何度もゴール前に進入を許した。
防戦一方の前半を終えると、森山監督が選手たちに喝を入れる。「(ブラジルに逆転勝ちしたイランのように)俺らも2段階ギアを上げられるだろう」と叱責。さらに前から圧力を掛ける意識と、前線と中盤が連動してプレッシャーをかけるように求めた。
すると、後半は立ち上がりから見違えるようなプレーを披露。ハイプレスがハマり、高い位置でボールを奪えるようになる。
50分には右SB柴田翔太郎が相手に倒されそうになりながらも前に運び、右サイドの深い位置を抉ってゴール前に折り返すと、FW高岡伶颯が押し込んで1点を返した。
中盤でも落ち着いてボールを動かし、MF中島洋太朗のパスを起点にチャンスを生み出す。右サイドハーフの佐藤龍之介が流動的なポジショニングでボールを呼び込み、後半開始から入ったFW井上愛簾も背後への抜け出しでパスを引き出した。
しかし、アタッキングサードまで運んでも、最後のパスやクロスの質が伴わず、相手の牙城を崩せない。87分にCKのこぼれ球を川村楽人が押し込んだが、直前のプレーでGKに対するファウルを取られてノーゴールの判定に。逆に90+8分にカウンターから被弾。
1−3の完敗。後半のような戦いが前半からできていればと思わせたが、世界との差を突きつけられる一戦だった。
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【個人採点・寸評】
GK
1 後藤亘 6
失点はいずれもGKの力だけでは防ぎようがなく、何度も身体を張ってピンチを救ったプレーを評価すべき。64分には立て続けに際どい場面を迎えたが、いずれもビッグセーブを披露し、得点を許さなかった。
DF
3 小杉啓太 5.5
序盤は相手の圧力に屈し、対面のアタッカーに“1on1”で完敗。何度も裏に抜け出され、8分には相手の突破を許して2失点目の起点を作られた。徐々に持ち直し、後半はボールを持ち出すシーンも増えただけに、開始直後のプレーが悔やまれる。
DF
4 土屋櫂大 5
強さと速さに加え、上手さを兼ね備えるアルゼンチンのアタッカーに翻弄された。身体をぶつけても弾き飛ばされ、スピードでも引き離されるシーンが散見。後半は落ち着きを取り戻したが、最後まで相手FWを抑えられなかった。
DF
5 本多康太郎 5
速さを活かしたカバーリングでなんとか凌いでいたが、左右に振られると脆さをのぞかせた。チームがペースを握った後半は簡単にはやらせず、勇気を持って対応すれば通用する部分もあったのも事実。それだけに、前半の出来が痛恨だった。
DF
17 柴田翔太郎 6
前半は相手に突破を許し、攻撃にもほとんど加われなかった。しかし、後半は別人のようなパフォーマンスを見せ、怯まずにチャレンジする。高岡のゴールをアシストした場面も勇猛果敢に仕掛けたからこそ。身体をぶつけられても粘り、果敢に攻め上がってチャンスを演出した。
MF
6 山本丈偉 5(83分OUT)
序盤からボールが足に付かず、相手のプレッシャーに屈してパスミスを連発。次第にボールを受けることができなくなり、守備でも何度も相手に剥がされた。後半はユニホームを汚すプレーも増え、攻撃の起点にもなったが、試合を通じての出来には不満が残る。
MF
7 中島洋太朗 6
横パスに終始していた前半とは打って変わり、後半はビルドアップの中心として堂々とプレー。ゴールに矢印を向け、何度も鋭い縦パスを入れて攻撃のスイッチをオン。そのセンスが強豪国に対しても通用することを証明した。
MF
10 佐藤龍之介 6
時間の経過とともに良さを発揮。とりわけ、素晴らしかったのが後半のパフォーマンス。右サイドハーフのポジションから中に入ってボールを受け、相手を外してゴール前に進入。プレーに連続性があり、危険な位置に何度も顔を出した。
MF
13 吉永夢希 5.5(72分OUT)
守備に追われた前半を経て、後半は勇気を持って高い位置にポジションを取る。スピードを活かした仕掛けで相手の裏に抜け出した。しかし、クロスの精度が低調。左足のキックから決定機を作り出すことはできなかった。
FW
9 道脇豊 4.5(HT OUT)
満を持して先発起用も、ストライカーの仕事は果たせず。フィジカル勝負で分が悪く、前線でボールを収められなかった。劣勢だった展開を差し引いても、1本しかシュートが打てなかったのも反省材料だ。
FW
11 高岡伶颯 6.5
1−0で勝利したポーランド戦で決勝弾の男が再び、結果を出した。敵DFを手玉に取り、推進力を持ってゴール前に入り込んだ。前半から果敢にトライし、後半は水を得た魚のように躍動。ゴールを決めただけではなく、ドリブルで相手を外してチャンスに関与した。何度も相手に削られたのは、危険な存在として認められたからだ。
▼交代出場
FW
16 井上愛簾 6(HT IN)
後半の反転攻勢を支えたひとりだろう。オフ・ザ・ボールの動きで何度も裏抜けし、相手の最終ラインを押し下げた。斜めのフリーランからサイドの深い位置でボールを収めるなど、相手が嫌がる場所に顔を出し続けたのも好印象。
MF
20 川村楽人 5(72分IN)
スピードで相手をかき回すことを期待されたが、ボールを受けても思い切って縦に仕掛けられず。87分にこぼれ球を押し込んで同点弾を決めたかに思われたが、直前のプレーでファウルを取られて得点は取り消された。
MF
8 矢田龍之介 採点なし(83分IN)
最終盤に投入され、ボランチでプレー。徐々に積極性が出て、惜しいミドルシュートを放つ場面も。
監督
森山佳郎 5
雷の影響でキックオフ時間が何度も変更となり、難しい状況下で試合を迎えたが、序盤から防戦一方の展開に。わずか8分間で2失点を喫し、相手の勢いにのまれたチームを前半のうちに立て直せなかった。後半のパフォーマンスは目を見張っただけに、前半の出来に悔いが残る。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
