経営を担うのは「人」。「人への投資」を含め、大企業と中小企業のパートナーシップで日本再生を図ろう─という小林氏の訴えである。

 危機や試練は人を鍛える。

(新しい資本主義)「わたしはアベノミクスからの延長と捉えています。金融緩和と財政出動に次ぐ成長戦略は道半ばにして、菅(義偉)元首相、岸田首相へ引き継がれたということだと思います。菅元首相は自助・共助・公助を強調しました。それが岸田首相になって、成長戦略をより具体化するために新しい資本主義を掲げたということですよね。人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)の4つは、われわれ商工会議所としても必要不可欠なことだと認識していました。新しい資本主義を実現するためにも、ウイズコロナで社会経済活動を正常化することが、一番有効かつ最大の経済対策であると考えています」

(パートナーシップ精神)「サプライチェーン全体で、コストも利益も適正に分かち合っていく。これも新しい資本主義です。なぜならば、取引の適正化を通じて生産性が上がる。要するに、労働分配率が下がって、賃上げの原資が出せるということです。持続的な賃上げが実現できれば、経済が成長して回っていくわけですから、これらは全て繋がっているということです。いま新しい資本主義実現会議で議論しているのは、どこにプライオリティー(優先度)をつけるのかということ。総花的にあれもやる、これもやるでは、なかなかうまくいかない。例えば、スタートアップ企業への支援を考えると、支援してもらう側の人間にどのようなニーズがあり、どのレベルまでスキルを身につけさせるのか。その人間が意欲を持てるような施策とすることが大事だろうと」

(中国との関係)「日本は今でこそ経済大国ですが、戦後は資源もない中で、経済力を高めて生きてきた。貿易をしなければ成り立たない国です。一方、好き嫌いにかかわらず、中国は日本の隣国です。政治的には意見の相違もありますが、中国はとにかく世界一の大きなマーケットで、14億人以上の国民が生活しているわけです。そうなると、日本は中国のマーケットにかかわっていかざるを得ない。経済的に中国を切り離すということは全く考えられません。(今後の関係では)例えば、汎用品をつくっているような所は、中国へ行って地産地消でやるのが一番効率もいいです。しかし、それ以外の半導体やIT技術など、経済安全保障にとって重要なものについては、なるべく早く国としての指針を出していくべきであろうと。ケースによっては、国内回帰が必要ならば、ある程度補助金をつけることも必要だと思います」

(習近平体制)「現地の情報によれば、あれ(白旗を掲げる運動)は暴動ではなく、国民の意思表明の一種だと捉えられているということでした。一部には、中国が民主化に向かっているなどとする見方もあるようですが、それほど単純ではないと思います。なぜ、ああいうことが起こったかというと、人の心の中は支配できないということです。蠟小平氏の改革開放政策以降、共産党政権のもと、ここまで中国が経済成長して、より良い暮らしができるようになった。そのことを国民も理解しているわけです。しかしながら、ゼロコロナ政策によって、心だけでなく、移動などの点で、体も物理的に拘束されるようになってしまった。拘束されるとか、家から出られないというストレスは相当なもので、抗議活動が活発化。そこで、ゼロコロナ政策を緩めなければならないという判断だったのではないでしょうか」