物価高騰で車の価格も上昇、下取り価格も上がる?「車は資産」と呼べるのか
1990年代終盤から始まった日本国内のデフレーションは、物価の下落、そして賃金の伸び悩みなどを長らくもたらしてきました。
しかし昨今原油価格の高騰や世界情勢の問題などから状況は一転し、インフレーション傾向が強まり、物価は高騰の一途をたどっています。 そのような中、自動車業界においても車両価格も値上がり傾向を見せています。それに関連して、中古市場も確立されている自動車業界において、新車価格が上がるということはその分下取り価格も上がるのでしょうか?
現在の物価高騰状況下において、自動車を所有することは資産価値的に考えるとどうなのかについて考えてみます。
下取り・買取価格が上がっているのは”一部の車”のみ?
中古車販売店社長、処分業者スタッフ、買取り店スタッフなどに話を聞いたところ、皆さん共通の言葉として以下のようなことをおっしゃっていました。
「確かに販売に関しては全体的に価格が上がっているのは事実ではあるものの、下取り価格や買取り価格に関しては、それほどまでに上昇している感じではない」
ただし、それは“一部の車両を除いた話”という回答だった点にも注目です。
まず国内でのマーケットを考えると、新型ウイルスの蔓延による工場の稼働停止などの問題から世界的な半導体不足に見舞われており、それが自動車製造の遅延を引き起こし、新車の生産、供給が遅れているという状況です。
最新モデルで人気の高い車種の場合は、新車をオーダーしてから納車されるまで1年、2年待ちという話も耳にするほど。
そのような車種の中には中古車市場において、新車価格以上の値段で売買されるものもあるのです。『早く手にして乗りたい』という心理がそうさせるのかもしれません。これが先述した”一部の車両”のひとつに挙げられるでしょう。
しかし、このことを別視点から考察すると、「そもそもヒットモデルというのは流通量が多い」「流行が去ることによって需要が減る」などの理由から、ゆくゆくは大きな値下がりをすることも考えられます。つまり、この状況はあくまでも需要と供給のバランスの上に成り立っているのです。
アメリカの『25年ルール』による旧車の高騰も
全く別のケースもご紹介します。 アメリカは右側通行の国ということもあり、右ハンドルの自動車を輸入することは基本的に認められておりません。
しかし、製造から25年を経過した車両に関してはクラシックカーとして認められ、登録することができるのです。これが通称『25年ルール』というものです。
1980~90年代にかけて性能が飛躍的に向上した日本車は、アメリカにも多数のファンを生みました。その日本車ファンたちの需要により、25年ルールをパスした年代の日本車は、かなりの数がアメリカへと輸出されることになりました。
そうなると売買価格が高騰する、というわけです。以前はスポーツタイプのモデルがほとんどだったのですが、最近では幅広い車種でこの傾向がみられます。
かつては一桁万円台で出回っていたものが、100万円以上の金額で取引されるようになることもあるのです。これもまた、買取価格が高くなった”一部の車両”と言えるようです。
これらを総体的に考えると、自動車を資産価値として認めることができるかどうかというものは、その”車種”による、そして”時代やルール”によっても変動すると言えるでしょう。物価高騰で新車価格が上がり、中古車の需要が増えても、いま日本で走っている車すべての下取り・買取価格が一律上がるということはなさそうです。
余談ですが私自身は、底値の車両を探して乗り継ぐことを楽しんでいます。充実したカーライフを送るうえで、車の資産価値は特に意識しなくてもよいと言えるかもしれませんね。
