松坂は、まだ「戦力」になる(C)共同通信社

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【権藤博の「奔放主義」】

去就注目の中日・松坂 その“現在地”をリハビリ仲間が語る

 旧知の球界、メディア関係者から、中日の松坂大輔(39)について聞かれることが多くなった。

 今季は2試合のみの登板に終わり、去就問題が浮上。本人は中日での現役続行を強く望んでいるそうだが、球団はその存在感の大きさを認めつつも、来季に関しては「白紙」と強調している。

 もし、「権藤さんが中日のGMだったら、松坂大輔をどうしますか?」というわけである。

 中日は今、投手も野手も世代交代を進めている最中だ。開幕から下位に低迷したものの、楽しみな若手が出てきている。もともと私は、特に投手陣の個々の能力を考えれば、十分にAクラス、いや、優勝争いだって可能だと言ってきた。若手が今年の経験を生かせば、来季は最初からペナント争いの輪の中に入っていけると思っている。

 そう言うと、「では、松坂は必要ないってことですね?」と結論をせかされるのだが、答えは逆である。若手の台頭で戦力が整いつつあるからこそ、松坂は必要なのだ。

 中日は昨季まで6年連続でBクラスに沈んでいる。優勝はおろか、優勝争いの経験すらない選手が増えてきた。そのモロさが今年も随所に見られた。投手陣で言えば、競った試合展開では力を発揮できるのに、リードをすると途端に打ち込まれるというケースが多々あった。接戦ではしっかり振れている腕が、チームが逆転すると緩んでしまう。丁寧に丁寧にという意識、要するに白星への欲が出てしまい、攻めの気持ちが消え、かわそうかわそうとピッチングも守りに入ってしまう。それで、痛打を食らう。

 野手もそうだ。チームが苦しんだ8月までの打撃データを見ると、チーム打率はリーグトップにもかかわらず、総得点はワースト2位。本拠地が広く、本塁打が出にくいというハンディを差し引いても、打率と得点力の乖離が顕著だ。ヒットが続いて好機こそつくるものの、ここぞというときにあと1本が出ない。投手と同じく、チャンスで自分で自分にプレッシャーをかけてしまうのだ。

 だからこそ、中日の選手はまだまだ松坂に学ぶべきことが多い。現時点で今季の松坂の最後の一軍登板である7月27日のDeNA戦。初回に8点を奪われ、1死を取っただけでKOされた。あの日の投球を見ていて、私は「さすがだな」と感心した。

 今季2度目の登板で、前回は5回2失点で勝ち負けつかず。初勝利が欲しい試合で、大胆に打者の内角を攻める投球を試みた。結果的にこれが裏目に出て大量失点につながってしまったものの、日米で幾度の修羅場をくぐり抜けてきた松坂の経験は、今の中日には貴重で必要だ。

 今季の年俸は8000万円。これを1000万円以下にしたっていいじゃないか。その分、出来高をつけてやって、チャンスを与える。私がGMならそうする。

(権藤博/野球評論家)