千変万化のTDK、成長の秘訣は“連邦”統治
直近ではセンサーメーカー、米インベンセンスの買収が完了する前から、人材などの受け皿となる「センサシステムズビジネスカンパニー」を設置。同じ轍(てつ)を踏まぬように、技術部隊は先行して、交流を始めた。インベンセンスはベンチャーでありながら、機械学習を用いることで高度な設計を行う技術力を持ち、それはTDKにない要素でもある。センサー事業を将来の柱とするためには、インベンセンスの力を最大限発揮することが必須条件だ。
―これまでの成長の過程で大幅な変身とも思える進化をなぜ起こせたのですか。
「会社として多様性を持っているためだ。本社や子会社、買収企業などのアイデアや多様性を生かすことで、ハードディスク駆動装置(HDD)ヘッドや二次電池など世界的に競争力のある製品を生み出すことができた。目まぐるしいスピードで変化していく時代や環境に対応した製品を創出するためには、ベンチャーのような感性とそれを保ち続ける多様性が大切だ」
―具体的に現在の主力製品はどう成長させたのですか。
「HDDヘッドや二次電池など事業の軸や現場の意見は尊重させダイナミズムを崩すことをしなかった。買収した企業にはベンチャーもあり、地域の独自性や組織、社員の満足感が共有できることを重視している。そうした多様性が担保される“グッドスモール”を維持することで、ベンチャーのような感性やスピードを保つことができると考えている」
―さらなる成長に向けて何が課題ですか。
「企業買収によって子会社や関連会社が急速に増えている。その中で各社の独自性やスピードを大切にしていくことは機能として本社側がかじ取りする必要がある。そのため、本社のコーポレートガバナンス(企業統治)機能を一層高める。すでに7月からガバナンス体制を刷新。取締役会長を社外から招き入れ、コーポレートガバナンスを担当してもらう。また、目的が不明確な相談役は新任しないことを決定している。あらためてグローバルで戦っていく経営体制をここで整えた」
―日本の電子部品メーカーは世界的に強いですが、今後も競争力を高められますか。
「電子部品は機能や製品を集約させることで製品の概念を覆してきた。例えばスマートフォンは今となっては電話という定義に収まらない。今後は車の分野でもそうしたプロダクトの概念が再構築されていくかもしれない。そういう意味で活躍できる場所は無限になるだろう。ただ、製品の汎用化によって差別化するポイントが失われていくことはリスクだ。そうなれば中国のメーカーなどとの単純なコスト競争に陥る可能性がある。そのため、技術革新があるところを求めて先駆的に攻める必要がある」
