男女のAorB〜出題編〜:テーブル席orカウンター席。女性を“落とせる”デートはどっち?
「人生は、選択の連続である」
かの有名なシェイクスピアが『ハムレット』内で残したこの言葉。それはまさに、私たちの人生を物語っている。
ひとつの選択が、大きく運命を変えることもある。究極の二択のどちらを選ぶかで分かれる、人生の明暗。
あなたは今、ふたつの分かれ道に立たされている。AorB、果たして正解はどちらなのだろうか。

A:テーブル席を予約した男・裕貴
美希と出会ったのは、同期が開催した食事会だ。
「美希ちゃん、今彼氏はいるの?」
善は急げである。回りくどいアプローチよりも直球な方がいい。そう思った僕は、食事会の段階からグイグイ攻めていた。
「今はいないですよ。裕貴さんって、面白いですね」
あまりにも前のめりだったのだろう。僕の押せ押せ態勢に、美希は苦笑いを浮かべていた。
「ごめん、つい前のめりになっちゃった。良ければ、今度食事へ行っていただけませんか?」
彼女は最初、首を縦に振らなかった。しかしその後何度もLINEを送った結果、根負けしたのかついにデートをしてくれることになったのだ。
そんな美希との初デートは、銀座にある老舗フレンチのテーブルを予約した。
カウンター席のある店と迷ったが、僕が選んだのは向かい合って座れる正統派スタイルだ。
初デートは正攻法でテーブル席?憧れの名店でのデートに彼女は...
Aの主張:初デートは、距離もあり顔が見れる対面式テーブルの方がいい
知らない人はいないであろう、銀座の名店。格式高いクラシックな雰囲気は、デートの定番としても重宝されている。
カウンター席の店ではなく、こちらのお店を選んだ理由は、テーブル席の方が落ち着いて会話ができると思ったからだ。
顔を見ながら話すことができるし、女性だって、初デートは距離が近すぎる席よりも、向かい合える席の方が安心するだろう。
「うわぁ〜素敵...!」
すっかり店内の雰囲気に酔いしれる美希と、まずはワインで乾杯する。
「なんか久しぶりにこんな正統派デートしています。緊張しちゃうなぁ」
デート、という言葉に僕はちょっと嬉しくなった。向こうにもデートという認識はあるらしい。ただの“お食事係”ではないようだ。
“僕も久しぶりだよ”と言おうとした時、不意に美希と視線がぶつかる。
美女に正面からまっすぐ見つめられると、照れる。ドキッとして、僕は慌てて視線を逸らした。
「美希ちゃん、こういうお店よく来てそうなのにね」
話をしながらもどこに目をやっていいのか分からず、料理に集中するふりをする。
しかし美希は、僕のそんな気持ちを見透かすかのように、じっとこちらを見つめていた。
「...どうしたの?」
「何でもないです。ただ、こうして二人でお食事できるのは嬉しいなぁっと思って♡」
そう言って可愛く微笑む美希に、僕は完全に惚れてしまった。
別れ際、思い切って美希に尋ねてみた。
「美希ちゃん、今彼氏いないんだよね?これからも、こうして二人きりでの食事に誘ってもいいかな?」

B:カウンター席を予約した男・雅史
美希とは数年前からの知り合いだ。といっても、お花見やクリスマス会など仲間内のイベントで、時々顔を合わせる程度の仲だった。
メンバーの何人かが結婚してからは皆で集まる頻度も減り、いつの間にか会うことすらなくなっていた。
ところがある日、表参道の『トラットリア・シチリアーナ・ドンチッチョ』で友人と食事をしていたとき、僕たちは再会した。
ひとつ向こうのテーブルに座る、店内で一際目立つ美女。それが美希だったのだ。
「美希ちゃん!久しぶりだね」
「雅史さん!ご無沙汰しております。3年ぶり?くらいですよね」
相変わらず品があって凛としている美希から、僕は目が逸らせない。
昔はグループで仲良くしていただけで、抜け駆けして二人で食事へ行こうとか、そんな特別な感情は一切なかった。
しかし、灯台下暗しだ。改めて美希を見ると、東京の中でもトップクラスの美人である。
-よければ、今度二人で食事へ行かない?
その夜、グループLINEの中にいた美希の連絡先を見つけ出し、初めて個別で連絡を取ってみた。
“是非行きましょう”と返事をもらうや否や、僕は最近お気に入りのイタリアンを予約した。
初デートはカウンター席で。接近戦で攻めた男の評価は?
Bの主張:カウンター席の方が距離が近く感じる
美希との初デート。僕は、広尾にあるイタリアンのカウンター席を予約した。
真っ直ぐ目を見て話すことは、正直苦手だ。でもカウンター席なら、目が合って気まずい思いをすることも避けられると思ったのだ。
会話に困った時だって、とりあえずシェフの方を見ながら料理の話でもすればいい。
「美希ちゃんみたいな美人に正面から見つめられると緊張するから、カウンター席にしたよ」
さすがに言い訳がましかっただろうか。そう思って、すぐに話題を変えた。
「美希ちゃんのお休みは土日なんだっけ?」
そこまで言ったところで、ふと美希の方を見た途端、思わず心臓が止まりそうになる。
「そうですよ。カレンダー通りのお休みです」
僕の質問に答える美希の顔が、すぐそこにあった。カウンター席は間隔が狭いせいか、彼女との距離がとても近くに感じたのだ。
「…そうなんだ、そしたら僕と一緒だね」
慌てて視線をそらして、僕はワインを喉に流し込んだ。

「雅史さんって、二人きりで会うと雰囲気が違いますね」
美希の言葉に、僕はギクリとする。これは、このデートが面白くないという意味かもしれない、と咄嗟に思った。
会話が少しぎこちなくなっていることには、自分でも気が付いていた。
ただでさえ美女との初デートは緊張する上に、カウンター席だと店の人や別の客に会話を聞かれていそうで、あまり込み入った話ができない。
馬鹿話でもして彼女を笑わせたくても、誰かが“コイツ馬鹿だなぁ”とか思いながら話を聞いているかもしれない。そう思い始めた途端、僕は自信がなくなってしまったのだ。
しかしお酒の力も借りてなんとか自分を奮い立たせる。
ようやく和み始めた頃には、うっかり前のめりになっていた。
気がついたら美希と僕の距離はさらに近くなっている。膝と膝がぶつかりそうになるくらいまで接近していた。
「あ、ごめん...」
慌てて体を離したが、遅かったかもしれない。
初デートからこんな近い距離は彼女も嫌だろうなぁと思い、今一度背筋をのばして座り直した。
恐る恐る美希の様子を伺うと、彼女は相変わらず笑顔を浮かべていたので、僕はほっとした。
-この距離を嫌がっていないということは、合格だったのだろうか...?
そんなことを考えながら、会計を済ませて外へ出る。
そして僕は、思い切って美希に自分の思いを伝えてみた。
「また今度、こうやって誘ってもいいかな?」
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男女のAorB~回答編〜:テーブル席vsカウンター席。初デートで成功したのはどっち?
