慶應義塾大学内には、他大学からは決して窺い知れない“格差”がある。それは、大学入学に至るまで、どのような経路を辿ってきたかという格差だ。

比率的には、大学受験を経て入学した「外部生」が圧倒的に多いが、貴族的な小学校といわれる「幼稚舎」から、中学は男子校の「普通部」と共学の「中等部」、「SFC」がある。

高校は男子校である「慶應義塾高」、埼玉にある「志木高」、女子校である「慶應義塾女子」、共学である「SFC」、そして「NY高」と高校の内部生は5つに出自が分かれる。

女子高出身の仲良し三人組、沙羅、栞、早希子の通称「3S」。いよいよ最終話!1年を振り返り見えたものとは?




新定番!?港区女子のクリスマスの過ごし方


「クリスマス、仕事休みだから集まろうよ!」

栞の些細な一言から3Sはクリスマス会をすることになった。珍しく3人ともフリーだし、世間はクリスマス一色でおひとり様も寂しいので、ちょうど良い。

「ママが家で前日にホームパーティーするから、25日のごはんは用意してくれるって!」

そんなわけで3人は早希子の実家に集まり、プロ顔負けの早希子ママの手料理を堪能しながら、2016年を振り返った。

余談だが、母親が料理上手なのも幼稚舎生の共通点だ。母親たちの多くは聖心や白百合といったお嬢様校出身、学生時代に知り合った慶應内部生と卒業後3年以内に結婚し、専業主婦になる。

裕福な家で育ち普段から美味しいものを食べてきた彼女たちは、自分が作る料理の味にもうるさい。子供が生まれるまでは料理学校に通い、週末にはよく広い家に友人を招いて手料理を振る舞うのが理由だ。

「そういえばさ、Facebookに上がってたんだけど、加奈の結婚式すごかったね!」

加奈は幼稚舎出身の同級生だ。ホテルニューオータニで挙げた挙式は豪華絢爛そのもの、政治家である加奈の父の招待客はそうそうたる顔ぶれだった。

「相手、二個上かなんかの幼稚舎の先輩でしょ?似た者同士で結ばれましたって感じだね。幼稚舎と幼稚舎だったら、親御さんも文句ないしね。」

加奈の結婚相手は金融機関に勤めるサラリーマン。ただ、家業を継ぐための修行中であって、将来は実家の酒造を経営する社長になることが約束されている。

学生時代は派手なグループの中で色んな業種の人たちと遊んでいた加奈だったが、結局のところ、親同士も仲の良い幼馴染の彼と結婚することに決めたようだ。


27歳、3Sの周りは結婚ラッシュ!




SNSパトロールで分かったあの子達の今。


「圭一郎のところみたいにならないよね。」

幼稚舎出身の圭一郎とできちゃった婚で、慶應内ヒエラルキーを駆け上がったかのように見えた外部出身の由佳だったが、風の噂では、圭一郎の母が嫁として由佳を認めておらず、まだ籍を入れられていないようだ。

「やっぱり幼稚舎は幼稚舎と結婚するのが一番幸せなんだよ。早希子だってそう思うでしょ?」と栞。

「うん、いずれ自分の子供も幼稚舎に通わせてあげたいなって思うし、それなら幼稚舎の人と結婚しないと難しいかな。」

横浜初等部ができたことで内部進学の枠は広がったが、やはり天現寺の幼稚舎が主流で、横浜が亜流という見方が付きまとう。

幼稚舎に通えるのは、まさに「選ばれた子供」だけ。選ばれた者同士が結びつき、また「慶應幼稚舎生」という最強のブランドを手にする子供を再生産するのだ。

スマホを手にとって、SNSリサーチが始まった。フェイスブック、インスタグラムがあれば大体の同級生の動向はわかる。

「え?あの子も結婚してるよ!よっちゃん!」

「女子高時代、すごい地味だった子だよね?あ、旦那さんも地味そう。都庁勤務ってことは、公務員か。なんかお似合いだね。」

佳恵は女子高からの高校入学組。3Sと同じクラスになった事もあるが、今ではフェイスブック上でしか繋がっていない。彼女らしく、シンプルなウェディングドレスを着ている写真がアップされていた。

「そういえばさ、原田くんって覚えてる?この前インスタで見たんだけど、入籍したらしい!相手はゼミの同級生だって。」

外銀エリートの沙羅にとっては物足りない男だった外部生のメガバン原田。相手の女の子も同じく外部生。


3Sが語る慶應内格差的結婚観とは。




慶應生にとって大事なのは自分の身分を知ること!?


「最近思うんだけど、同じランクで結婚するのが一番うまくいくと思うんだよね。」

「結婚てさ、本人たちの気があうのも大事だけど、家族の問題もあるじゃない。同じような家庭環境で育ってきてるって、生活していく上での細かい判断基準が同じってことだからさ。夕飯の買い物を毎回明治屋でするか、サミットでするか、って違うと思うんだよね。」

「子供を慶應に入れるか、入れないか、とか。」

「外部は外部。幼稚舎は幼稚舎。内部は内部。それが一番お互いに取って楽だろうね。価値観の違いが生まれないもの。」

「だから結婚で大事なのは、自分がどこに所属しているのかってちゃんと知っておく事なんだよね。変に高望みしたり、育ってきた環境が違うけど大丈夫!なんて思っても、いざ生活したら合わせようとして窮屈になるのはこっちだし。」

「そうそう。自分の生活のレベル下げられないし。お金の使い方も口出しされたくない。かと言って、専業主婦になることを強要されたくもない。」

「だから聞いちゃうんだよね。あの質問。」

3Sが初めて出会った慶應生に必ず聞くのは「どこからですか?」。3Sにとってみれば慶應生であることに価値はない。どこから慶應か、が一番重要だ。

「大学から」と言われれば、そこで一本の明確な線が引かれる。職業や肩書きももちろん大事だが、「内部生」というのは一種の担保のようなもので、間違いの無さに安心感があるのだ。

幼稚舎、中等部、女子高をそれぞれ出身とする3S。彼女たちはまた出会った人たちに明確に自分がどこの出身かを伝える。それは牽制球のようなもので、そんな自分たちに気後れしないような男だけを相手にしたいのだ。

世の中では慶應ボーイなどと一括りに語られるが、「慶應」というブランドの中にも格差がある。

その格差の中で埋もれて行く者、這い上がって行く者、安住する者、飛び出して行く者、何通りもの生き方がある。

入学した時点で決められるこのヒエラルキー。
どうサバイブしていくか、必然的に求められる。

慶應生が背負うこの格差、皆さんにお分りいただけただろうか。

Fin.