柱の傷はなぜ「おととし」? 童謡「背くらべ」の謎
もうすぐゴールデンウィーク。そして、男の子がいるご家庭では「端午の節句」をお祝いするところも多いのではないでしょうか。そして5月5日に歌う童謡と言えば、やっぱり「こいのぼり」? 今回は、こどもの日によく耳にする、あの童謡のお話です。

外を歩くと、風を受けて泳ぐこいのぼりの姿が見られる季節になりましたね。
もうすぐ、端午の節句。
男の子が元気に育っていることをお祝いする、日本の伝統行事です。
この時期になると歌われる童謡のひとつに「背くらべ」があります。
ご存知でしょうか。
「柱のきずは おととしの 五月五日の 背くらべ」……この童謡「背くらべ」は、大正8年に詩が雑誌に掲載され、大正12年に発表された曲です。
当時、ほとんどの家では幼い子どもたちの成長ぶりを知ろうと、柱や壁に身長を記録した印がありました。
この歌は、そんな微笑ましい様子を歌ったもの。
普通、子どもの身長を測るのは両親ですが、「背くらべ」では兄が弟の身長を測っています。
この歌は、「海野厚(うんの・あつし)」という童謡作家が自らの体験を歌ったものだと言われています。
海野は長男で、弟と妹がそれぞれ3人ずついました。7人兄弟です。
中でも末の弟を溺愛していたようで、海野が23歳のときに末の弟・春樹は6歳。
東京に出ていたため、帰るのは1年に一度……。
可愛い弟に会うたび、その身長を測り、どれほど成長しているのかを見るのが楽しみだったのです。
でも、「柱のきずは おととしの」と歌っているのはなぜなのでしょうか。
なぜ去年ではなく、おととしなのか……いろいろな説がありますが、どうやら海野はあるとき、病気の療養中で帰れない年があったようなのです。
病気の名は、肺結核。
重病におかされた海野は、もう一度弟に会い、その成長を喜びたい……そう思っていたに違いありません。
この歌は、弟側の視点から描かれています。
「ちまきたべたべ兄さんが 計ってくれた背のたけ」
もう来年は、背を測ってあげることはできないかもしれない。
いつか幸せだったあの日を、思い出してくれるだろうか……。
そんな思いで書いたとしたら、なんて切ないのでしょうか。
海野厚は28歳でその短い生涯を閉じました。
背を測ってくれた兄さんの優しい手のぬくもりを、きっと弟は忘れなかったことでしょう。
文/岡本清香
TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「柱の傷は、なぜ一昨年? 背くらべの謎」として、4月27日に放送しました。
【あわせて読みたい】
★世界で愛される、九州発の果物「サツマ」とは?(2016/4/27) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/3wJNTyg7Rd.html
★あなたは、職場で泣いたことがありますか?(2016/4/27) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/kTiqKtc7B7.html
★賞味期限切れの食品、食べる? 食べない?(2016/4/24) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/Inzjpxa6dy.html
<番組概要>
番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/

柱の傷はなぜ「おととし」? 童謡「背くらべ」の謎
外を歩くと、風を受けて泳ぐこいのぼりの姿が見られる季節になりましたね。
もうすぐ、端午の節句。
男の子が元気に育っていることをお祝いする、日本の伝統行事です。
この時期になると歌われる童謡のひとつに「背くらべ」があります。
ご存知でしょうか。
当時、ほとんどの家では幼い子どもたちの成長ぶりを知ろうと、柱や壁に身長を記録した印がありました。
この歌は、そんな微笑ましい様子を歌ったもの。
普通、子どもの身長を測るのは両親ですが、「背くらべ」では兄が弟の身長を測っています。
この歌は、「海野厚(うんの・あつし)」という童謡作家が自らの体験を歌ったものだと言われています。
海野は長男で、弟と妹がそれぞれ3人ずついました。7人兄弟です。
中でも末の弟を溺愛していたようで、海野が23歳のときに末の弟・春樹は6歳。
東京に出ていたため、帰るのは1年に一度……。
可愛い弟に会うたび、その身長を測り、どれほど成長しているのかを見るのが楽しみだったのです。
でも、「柱のきずは おととしの」と歌っているのはなぜなのでしょうか。
なぜ去年ではなく、おととしなのか……いろいろな説がありますが、どうやら海野はあるとき、病気の療養中で帰れない年があったようなのです。
病気の名は、肺結核。
重病におかされた海野は、もう一度弟に会い、その成長を喜びたい……そう思っていたに違いありません。
この歌は、弟側の視点から描かれています。
「ちまきたべたべ兄さんが 計ってくれた背のたけ」
もう来年は、背を測ってあげることはできないかもしれない。
いつか幸せだったあの日を、思い出してくれるだろうか……。
そんな思いで書いたとしたら、なんて切ないのでしょうか。
海野厚は28歳でその短い生涯を閉じました。
背を測ってくれた兄さんの優しい手のぬくもりを、きっと弟は忘れなかったことでしょう。
文/岡本清香
TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「柱の傷は、なぜ一昨年? 背くらべの謎」として、4月27日に放送しました。
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番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/
