「業界全体の興味が“非常に高い”」と地元紙

 オリオールズが元中日のチェン・ウェイン投手をトレードで放出する可能性があると、地元紙ボルティモア・サンが報じた。「オフシーズンの初めにエンゼルスと話し合いを持ったチェンに関して、オリオールズに問い合わせが相次ぐ」との見出しで伝えている。

 メジャーリーグでは、8日から各球団の首脳や代理人が一堂に会するウインター・ミーティングが始まる。記事では、「オリオールズは、チェン・ウェインのトレード可能性に対する業界全体の興味が“非常に高い”と信じている」として、左腕放出の可能性に触れている。

「彼らは29歳の台湾人左腕を売ることに積極的なわけではないが、ほかのポジションが強化可能になるオファーを聞く事に前向きだ。チェンは来季終了後にフリーエージェント(FA)になり、スーパーエージェントのスコット・ボラスが代理人を務めている」

 2004年から8年間、中日でプレーしたチェンは、2012年にオリオールズに加入。3年目の今季はチームトップの16勝(6敗)を挙げ、防御率3.54の好成績でア・リーグ東地区制覇に貢献した。ただ、戦力強化につながるのであれば、放出も可能と見ているようだ。

 しかも、代理人は強硬な交渉で球団から好条件の契約を引き出すため、「吸血鬼」の異名を持つボラス氏。来オフにタフな残留交渉をしなければいけなくなることも、オリオールズがこのタイミングでチェン放出に乗り出すという案に説得力を持たせるという。

条件のいいオファーがあれば放出も?

 実際に、チェンには今オフに入ってすぐにトレード話が持ち上がっていたことを記事では紹介している。交換相手として名前が挙がっていたのは、2011年にオールスター選出経験もあるエンゼルスのハウィー・ケンドリック内野手だったという。

 結果的にトレードは実現しなかったが、メジャー通算打率2割9分2厘を誇る好打者が交換相手だったという事実は「チェンの市場価値を表している」と記事では伝えている。さらに「ある関係者は、もしオリオールズが真剣にチェンを売ろうと考えれば、数人の若手有望株または即戦力といった、健全なリターンを得るこことができると話した」として、左腕をトレードに出した場合、大きな見返りを得られると見ている。

 オリオールズには、現時点で6人の先発ローテーション候補がいるという。確かに1人をトレードに出すことは可能だ。ただ、記事では左腕がチェンしかいないことに加え、今季は完全に才能が開花したことも指摘しており、チームが優先的に放出したがっているのは大型契約を残す右腕のウバルド・ヒメネスであるとしている。

 それでも、今季本塁打王のネルソン・クルーズがFAで流出したオリオールズは強打者の獲得を目指しており、条件のいいオファーが舞い込めば、トレードに応じる可能性は十分にある。日本で実力を磨いたチェンが、ウインター・ミーティング、そしてストーブリーグの注目株となりそうだ。