見る者を酔わせるとまでいわれる、目まぐるしいガチャガチャとした動きが信条のドミニク・クルーズ。テイクダウンの強さがあるゆえの眩惑スイッチ戦法だ

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ラストWECは、新UFC世界バンタム級王者の誕生を意味する。16日にアリゾナ州フェニックス郊外の避寒地、グレンデールのジョビング・ドットコム・アリーナで開始されるWEC53「Henderson vs Pettis」では、メインの世界ライト級選手権試合以外に、最後のWEC世界バンタム級選手権試合も組まれている。この試合で勝利すれば、自動的に初代 UFC世界バンタム級王者の栄誉を勝ち取ることとなる、両者にとって特別な一戦だ。

今年の3月にブライアン・ボーウルズを破りWEC世界バンタム級王座についたドミニク・クルーズ。8月のジョセフ・ベナビデスとの初防戦を成功させた彼にとって、スコット・ヨルゲンセンの挑戦を受ける2度目の防衛戦が、結果のいかんに寄らずWECベルトを巻く最後の試合となる。

小刻みにスイッチを繰り返し、左右のどちらの構えからも上下の蹴り分け、パンチにヒザ蹴り、さらにはテイクダウンを仕掛けることができる王者クルーズ。 WECのUFC併合、当然のように大歓迎している王者。ユライア・フェイバーの階級変更、山本“KID”徳郁との契約など、より賑やかになるバンタム級戦線で、WECのベルトを巻いている身だからこそ、誰よりも、まずは頂点に立ってこれからの世界最高峰の舞台に臨みたいに違いない。

そんな彼だが、ここに来てこの試合後に拳の手術をし、休養に入るという噂が流れている。常識的に考えて、試合前に選手の負傷が明らかになるケースは、法でもなんでもなくメディアのモラルとして控えられるのが常識だ。よって、その真偽はともかくとして、本当に手術が必要なら、彼の眩惑ファイトも力が半減することになる。クルーズといえば、王座を獲得した試合で、右中指の腱を切ったことがあったが、拳ではなかった。

道着着用の組み技格闘技出身のファイターには、その道着に指を巻き込んで、骨折や靭帯、腱を損傷するケースは時折り見られるが、拳自体の負傷だと、より影響が大きいことは明らかだ。

まことしやかな情報が錯綜するなかで、クルーズに挑戦するヨルゲンセンは、08年からWECに活躍の場を求め、2年半の間に7勝2敗という戦績を残し、日本の大沢ケンジ、水垣偉弥の両選手を判定で破っている。

得意技という部分では、ギロチンチョークがまずは思い浮かぶが、サブミッションのような試合を決める力よりも、ハイ・スピードをキープして動き続けるスタミナと、手数が最大の武器といえる。

その瞬発力+心配能力系のファイターが、目先を惑わせるクルーズの動きに対し、どこまでスタイルを貫くことができるのか。そこが一番見ものだったが、拳の負傷が本当であれば、クルーズの動きもこれまでとは変わってくるはず。事実は藪の中の状態で、このニュースはそれこそ目先を狂わせる挑戦者にとって、最大のフェイントになっているかもしれない。
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