【為替】日銀利上げ後の為替への影響は?

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繰り返してきた日銀会合後の円安阻止姿勢を試す展開

2026年の日銀の金融政策決定会合は、4月までに行われた3回は金融政策の変更がなかったものの、それでも160円前後の円安水準での推移したことから、その後まもなく、日米当局による「レートチェック」や日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入など円安阻止の動きにつながった(図表1参照)。以下に詳しく見てみる。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年1月~) 出所:マネックストレーダーFX

1月23日の金融政策決定会合の後、米ドル/円は160円に迫る動きとなった。これに対して日本の当局は、為替介入の前段階の行動と理解されている「レートチェック」に出動。それでも円高への反応が158円程度までに限られると、NY時間に入り米当局も「レートチェック」に出動した。これは「サプライズ」と受け止められたことから、米ドル/円はその日のうちに155円台まで円高に拡大するところとなった。

4月28日の金融政策決定会合後は米ドル/円は小動きにとどまったものの、翌4月29日には160円を大きく超え、円安が広がった。すると30日、片山財務大臣、三村財務官が相次ぎ為替介入の可能性を強く示唆した後、実際に米ドル売り・円買い介入を行ったと見られ、米ドル安・円高はその日のうち155円台まで一段と進んだ。

以上のように見ると、金融政策の変更の有無にかかわらず、日銀会合というイベントが円売りトライの手掛かりと位置づけられ、それに対して日本の当局は160円を超えて円安が大きく進みかねない動きには、為替介入で対応する円安阻止姿勢をとってきたのではないか。

4月以降強まった「投機円売り主導」の円安

興味深いのは、この160円を目安とする当局の円安阻止姿勢と投機筋の関係だ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、1月23日の日米「レートチェック」が行われた頃は売り越しが4万枚程度にとどまっており、これを見る限りでは必ずしも投機の円売り主導の円安局面ではなかった(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ところが、4月30日に日本による介入が行われたと見られた頃には、円売り越しが、「行き過ぎ」圏の目安10万枚以上に拡大していた。そして先週(6月8日週)の段階では円売り越しが14万枚以上と一段と拡大していた。同じ160円前後の円安局面でも、4月以降、急速に投機による円売り主導の様相を強めている可能性がありそうだ。

円高への反転の目安は円売りポジション損益分岐点=120日MA

投機筋の代表格であるヘッジファンドの円売りポジション損益分岐点は、120日MA(移動平均線)が目安とされる。1月の「レートチェック」、そして4月の為替介入では、ともに米ドル/円は反落したものの、この120日MAを大きく割れるまでには至らず、米ドル高・円安再燃となった(図表3参照)。これは、投機筋の円売りポジションが含み益の状態を維持したことから円売りが継続された結果と考えられた。

【図表3】米ドル/円と120日MA(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

その米ドル/円の120日MAは、足下で158円近くまで上昇してきた。円安から円高に転じた局面では、この158円程度の120日MAを大きく割り込むことで、投機筋の円売りポジションが損失に転換、損失拡大を回避するために投機筋が円売りから円買い戻しに転じるかが、円安から円高への反転を考える上では大きな分岐点になるのではないか。

吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長