途中出場で抜群の存在感を放った伊東。オランダの守備陣にとっては脅威だったはずだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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【W杯GS第1節】日本 2−2 オランダ/6月14日/ダラス・スタジアム

 価値のある、本当に価値のある勝点1だ。

 常に先行される苦しい展開のなか、優勝候補の一角であるオランダを相手に、二度も追いついてみせた。ここで「黒星」を喫するのか、それとも「引き分け」で終えるかによって、これからのグループステージの戦い方は大きく変わってくる。

 逆境のなか、最後まで粘り強く戦って、貴重な勝点をもぎ取った選手たちの奮闘を称えたい。

 前半の戦い方に関しては、前線からのハイプレスではなく、完全にブロックを作って、まずは守備から入る選択をした。馬力のある前田大然をスタメンに置いたから、立ち上がりから積極的にプレスに行くのかなと思ったら、意外にもしっかりブロックを敷いてきた。結果的にそれが功を奏したとは思う。

 ただ、ちょっと気になったのは、前半の立ち上がり早々にコディ・ガクポのカットインから中央のドニエル・マレンにクサビを入れられて、1人かわされてシュートを打たれた場面。オランダの最前線に入ったマレンのキレは厄介で、あれは鈴木彩艶のビッグセーブがなかったら、いきなり失点していてもおかしくなかった。ヒヤッとしたよね。

 それ以外では、谷口彰悟、渡辺剛、伊藤洋輝の3バックを含めて、組織として粘り強く守れていた。34分に相手のコーナーキックから、再びマレンにヘディングシュートを打たれた場面も、鈴木のセーブと谷口のクリアでなんとか凌ぎ切った。
 
 でも、後半のスタートからは少しポジションのズレが出始めて、相手に間、間でパスを繋がれるシーンが徐々に増えてきてしまった。ちょっと守備の寄せが甘くなる時間帯があった。慌てて閉めたけど、また嫌なところにパスを入れられてピンチを招く場面もあった。

 1失点目では、左サイドからライアン・フラーフェンベルフに精度の高いクロスを上げられて、フィルジル・ファン・ダイクに完璧なヘディングシュートを叩き込まれてしまった。

 ここは完全に渡辺とのミスマッチを突かれた形になったね。いくら渡辺はヘディングが強いと言っても、あの高さと強さを持つファン・ダイクを1人で抑え込むのはやはり厳しい。それ以外の局面はよく守れていただけに、こうした一瞬の「個のミスマッチ」からファン・ダイクに決められたのは、さすがオランダと言わざるを得ない。

 2失点目は、クリセンシオ・サマービルのカットインからのシュートが、本当に良いコースに決まってしまった。ポストに当たるくらいのギリギリのコース。相手のシュートの精度を褒めるべき部分もあるけれど、その前の局面で、前半にできていた「間を締める対応」が少しズレてしまったのは悔やまれる点だ。

 一方で、日本の反撃は見事だった。57分の中村敬斗の同点弾。オランダのDFミッキー・ファン・デ・フェンがラインを上げるのを一瞬怠ったところを突いた形だった。もちろん、相手のミスや隙に助けられた部分もあるけれど、そこを逃さずにきっちり突いた中村のポジショニングと決定力をまずは褒めるべきだよ。

 そして、この試合のMVPを挙げるなら、文句なしで後半の途中から入った伊東純也だ。彼の投入によって、オランダに傾きかけていた流れが完全に一変した。

 あの圧倒的なスピードと縦への推進力、そして仕換けるテンポには、ファン・ダイクらオランダの守備陣も明らかに後手に回り、苦労させられていたからね。

 相手が疲れてきた後半から伊東が出てくるのは、戦術的にもすごく効果的だし、対峙する相手にとっては悪夢でしかない。間違いなく、オランダを最も慌てさせた日本の最大の“武器”だった。

 オランダのロナルド・クーマン監督は終盤、リードを守り切ろうと守備的な選手交代に踏み切った。でも、結果的にこれが完全に裏目に出て自滅する形になったね。