一方で、日本の反撃は見事だった。57分の中村敬斗の同点弾。オランダのDFミッキー・ファン・デ・フェンがラインを上げるのを一瞬怠ったところを突いた形だった。もちろん、相手のミスや隙に助けられた部分もあるけれど、そこを逃さずにきっちり突いた中村のポジショニングと決定力をまずは褒めるべきだよ。

 そして、この試合のMVPを挙げるなら、文句なしで後半の途中から入った伊東純也だ。彼の投入によって、オランダに傾きかけていた流れが完全に一変した。

 あの圧倒的なスピードと縦への推進力、そして仕換けるテンポには、ファン・ダイクらオランダの守備陣も明らかに後手に回り、苦労させられていたからね。

 相手が疲れてきた後半から伊東が出てくるのは、戦術的にもすごく効果的だし、対峙する相手にとっては悪夢でしかない。間違いなく、オランダを最も慌てさせた日本の最大の“武器”だった。

 オランダのロナルド・クーマン監督は終盤、リードを守り切ろうと守備的な選手交代に踏み切った。でも、結果的にこれが完全に裏目に出て自滅する形になったね。

 守りを固めたはずのオランダが、あそこまで自陣に押し込まれて対応に窮してバタついたのは、明らかに引き気味になってしまった戦略的なミスだ。「攻めの姿勢」を貫いた森保一監督のベンチワークとは対照的だった。
 
 この試合、二度目の同点弾が生まれたのは88分。コーナーキックから小川航基がヘディングシュート。これが鎌田大地の頭をかすめてネットを揺らした。

 オランダ戦を振り返って改めて痛感したのは、日本の「総合力」だ。ピッチ内外の全員がハードワークし、組織の歯車を噛み合わせる。その成果を表現できていたと思う。

 その総合力を最大化させられるかどうか、僕たちの悲願である「ベスト8以上」へ進めるかどうかの鍵は、まさに森保監督の腕にかかっている。

 プラン通りに試合をコントロールして、価値のある勝点をもぎ取った。こういう大きな大会で最後にモノを言うのは、やっぱり「チーム力」であり「組織としてのまとまり」なんだ。

 オランダ戦の3日前に、遠藤航の離脱と代表引退という、チームの根幹が揺らぐような大きなニュースがあった。正直、外から見ていて「大丈夫か?」と心配したファンも多かったと思う。

 でも、ピッチ上の選手たちは冷静だった。新キャプテンに指名された板倉滉を中心に、むしろこれまで以上の強い一体感を持って、オランダ戦に集中して入れていたと思う。この大変な状況で、チームをさらに引き締めるようなエネルギーを発していたはずの板倉の牽引力は、本当に見事だったと思う。