Image: NASA

テック業界は宇宙でも張り合い中!

アメリカは中国より先に月面着陸をしようと宇宙空間でも競争している状態ですが、イーロン・マスクのSpaceXとジェフ・ベゾスのBlue Originも競争を繰り広げています。両社はNASAのアルテミス計画向けに有人着陸船をそれぞれ開発しているのですが、アメリカの宇宙飛行士を月面に最初に送り届けられるのはどちらか一社だけなんです。

Blue Originの着陸船は、Blue Moon Mark 2(MK2)。そしてSpaceXの着陸船は、Starship有人着陸システム(HLS)。2028年にNASAが予定しているアルテミス4の有人月面着陸に向けて、このふたつの着陸船が2027年末に計画中の軌道実証ミッション「アルテミス3」でテストされると言われています。ただ、Starship HLSが間に合うかどうかはまだ不明なのですが、MK2についてはNASAは間に合うと自信を持っているようです。

先にプロトタイプ出したのはBlue Origin

5月7日、NASAはMK2クルーキャビンの実物大プロトタイプがヒューストンのジョンソン宇宙センターに到着したことを写真で報告しています。訓練と試験が目的で、NASAはこのプロトタイプをアルテミス3と4のミッションシミュレーションに使うと説明しています。

声明では、

Blue Originの着陸船は、同社の大型ロケット「ニューグレン」で無人状態で打ち上げられ、月軌道上でNASAのオリオン宇宙船と合流します。宇宙飛行士2名がBlue Moonの有人着陸船に乗り移り、月面へと降下します。月面滞在を終えたあとは、再びオリオン船へ戻ります。

と述べています。

どちらが本命?

ここ数ヶ月、NASAとBlue OriginはBlue Moon Mark 1(MK1)の開発状況を積極的に発信しています。MK1はMK2への足がかりとなる無人貨物着陸船で、「エンデュランス」呼ばれています。ジョンソン宇宙センターでの熱真空試験を終了し、現在はフロリダ州のケネディ宇宙センターで追加試験が進められているとのことです。

この試験は、今年後半に予定されているMK1の実証ミッションに向けた準備です。このフライトでは、より大型の有人対応機MK2にも使われるハードウェアやシステムを検証します。有人着陸船の完成までまだ時間はかかりそうですが、着実に前進していることがわかりますね。

一方、SpaceXのStarship HLSの開発については情報が少ない状態。2025年10月末にSpaceXは「月面着陸に必要なサブシステム、インフラ、運用に関する49のマイルストーンを達成した」と発表しましたが、それ以来、詳しいアップデートはありません。

HLS開発の最大の壁は、まずStarship V3を飛ばすこと。HLSは基本的にV3の上段部を改造して作るため、V3の打ち上げが軌道に乗るかどうかが、HLSの行方を左右します。SpaceXは5月7日にブースターの全推力燃焼試験を行い、5月15日に初の打ち上げを目指していると伝えられています。HLS開発を進めるには、このロケットを定期的に打ち上げ、軌道上でのドッキングと燃料補給をきちんと実証していくことが不可欠です。

一歩リードしているのはBlue Origin

Blue OriginのBlue Moon着陸船は、ニューグレンから打ち上げる予定です。Blue Originは今年、打ち上げ頻度を上げたい考えのようですが、4月20日の最終飛行で衛星を誤った軌道に投入してしまい、現在は連邦航空局(FAA)から飛行停止処分を受けています。これがエンデュランスの初飛行に影響が出るかどうかはまだわかっていません。

Starship V3と同様に、ニューグレンも有人月面着陸の前に定期打ち上げと軌道上でのドッキング・燃料補給を実証しなければなりません。また両社とも、着陸船の生命維持システムの開発と試験を行なう必要があります。

この競争、どちらが勝つか予想するにはちょっとまだ時期尚早ですが、NASAがBlue Originの着陸船プロトタイプでアルテミスの訓練を始めたことは、Blue Originの一歩リードかもしれませんね。このモックアップを使って、ミッションシナリオ、管制との通信、宇宙服の点検、月面歩行シミュレーションの準備など、実際に人が関わる一連の試験が行なわれる予定とのこと。また、NASAのスタッフがBlue Originのエンジニアに設計面のフィードバックを行なう場としても活用されるとのことです。

この先数ヶ月は、Blue OriginにとってもSpaceXにとっても宇宙を巡る競争の大事な時期となってきそうです。

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