それぞれの思惑とは…

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 高市総理の支持グループとして注目を集める「国力研究会」。だが、その発起人リストをよく見ると、“高市色”よりも“麻生色”が目立つという。派閥横断的な大きな組織は、誰のために、何のために作られたのか。政治ジャーナリスト・青山和弘氏が内幕を解説する。

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「高市さんが作って欲しい」と言ったわけではない?

 総選挙が終わって、自民党内の動きが慌ただしくなってきた。「派閥の復活」とまでは言えなくても、武田良太氏が「総合安全保障研究会」、石井準一氏が「自民党参議院クラブ」を設立するなど、議員の囲い込みが始まっている。

 こうした動きの中で立ち上がったのが、事実上の"高市グループ"とも受け取れる「国力研究会」だ。

それぞれの思惑とは…

 高市総理自身は、こうした議員グループの動きをかねてから気にしていた。緩やかに総理を支える会はそれまでも存在したが、党との連携不足が指摘される中、木原稔官房長官は「派閥横断的な大きなものを作りたい」と語っていたという。「高市さんが孤立している」という報道が相次いでいたこともあり、党内基盤を固める必要性が意識されていた。

 そのような状況のもと、高市総理の側近である山田宏氏が麻生太郎副総裁のもとへ相談に訪れた。「麻生さんを中心としたグループを作りたい」と持ち掛けられた麻生氏は、「高市は総理だから、メンバーを固定しないで、幅広いものを作ろう」と応じたという。

「積極財政」「憲法改正」といった特定テーマにこだわるのではなく、より幅広い視点での勉強会を目指した形だ。山田氏は麻生氏に話を持ち掛ける前に、高市総理・木原官房長官にも相談しており、「やりましょう」となったと聞く。ただし、高市総理が自ら「作って欲しい」と言い出したわけではなく、「話を持ち掛けたところ、『あら、それは良いわね』となった」というのが実態だ。

発起人リストに滲む「麻生色」

「高市支持」を前面に出して排他的な組織にすれば、参加者は集まりにくい。参加自由な勉強会という形にすることで、別の派閥のドンである麻生氏も関わりやすくなる。派閥よりも大きな「主流派」的な組織を作る――そういう構想だったようだ。これは麻生氏にとっても、党内での影響力を高める好機となる。

 だからこそ、「幅広く」という意識で発起人も多様な顔ぶれを集めた。しかし実際は、“麻生色”が強く滲み出る形になった。麻生氏と折り合いの悪い林芳正氏、武田良太氏は排除され、木原誠二氏も同様だった。岸田文雄元首相については、麻生氏が嫌いというわけではないものの、自民党内の総理経験者として最も影響力があるのは麻生氏自身だと示すために、発起人には声がかからなかったとみられている。

 一方で、小泉進次郎氏や小林鷹之氏は発起人に名を連ねている。林氏たちが外れてこのメンバーが入っているという点だけでも、この組織が高市総理の意向よりも"麻生色"が強いことは明らかだろう。

 また、議連が目指す政策的な方向性は不透明だ。「こういう政策を勉強しましょう」という指針はなく、あるのは「高市政権を支える」という軸だけ。初回はジョージ・グラス駐日米国大使を呼ぶ予定というが、2回目以降について明確なビジョンはない。高市総理周辺からも「こんなの続くのかね」「一体何のためにやってんだろう」という冷めた声が出ており、「名前を入れないと変だから、入会だけはするよ」という議員も少なくない。

 現段階では、自民党議員の半数以上がこの議連に加わるとみられているが、逆にそうなれば、組織の結束力は弱まっていくだろう。

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「国力研究会」立ち上げの真の狙いとは――。新潮QUEでは、【麻生氏と高市総理それぞれの思惑、そして「永久主流派体制」構想の全貌】として、政治ジャーナリスト・青山和弘氏による深読み解説をお届けしています。

青山和弘(あおやま・かずひろ)
政治ジャーナリスト、青山学院大学客員教授。1968年千葉県生まれ。東京大学文学部卒業後、日本テレビに入社。政治部では野党キャップ、自民党キャップ、ワシントン支局長、国会官邸キャップを経て、政治部次長兼解説委員を歴任。2021年、フリーに転身した。

デイリー新潮編集部