お目当ての弁当をカゴに入れて2時間徘徊…値引きセールの時間になるや「これにも半額シール貼ってよ!」 スーパー店員が頭を抱える“迷惑な高齢客”の実態
物価高の影響で、コンビニやスーパーの弁当や総菜が軒並み値上がりしている。かつては120円程度で買えたツナマヨおにぎりが、今や200円近い値段に。100円前後で安売りされることが多かったカップラーメンも180円近くなっており、支出を切り詰めて生活している人も多いだろう。
そうしたなか、スーパーの閉店間際に、弁当や総菜に「値引きシール」が貼られるタイミングを狙って訪れる人も少なくないようだ。
だが、そんな値引きシールを巡り、迷惑行為が勃発しているという。執拗に店員に値引きを迫り、店側に損害と迷惑を与えている客がいるようだ。【取材・文=山内貴範】
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“値引きおばさん”の問題行動
値引き販売される時間帯を狙って買い物をする行為自体は、別に問題ではないし、この記事の読者にもやっている人は多いだろう。何を隠そう、筆者もスーパーで普段買うのは値引きされた弁当ばかりである(帰宅時間がスーパーの閉店間際なので、必然的に安くなっているという面もあるが)。

食べたい弁当が安くなっていると「ラッキー」と思ったりするものだが、値引き狙いも、行き過ぎるとたちまち問題行為になってしまうのだ。とあるスーパーで“値引きおばさん”と言われ、ブラックリストに入っている高齢者がいる。その手口を、店員がこのように説明する。
「値引きおばさんはまず、10%引きになった弁当をいくつもカゴに入れていきます。そのままなんと、カートを押しながら店内を2時間ほど徘徊しているのです。その間、値引きされていない他の商品をカゴに入れることはほぼありません。
閉店30分ほど前になると当店では半額の値引きシールが貼られるのですが、値引きおばさんはそのタイミングになると、一目散に売り場に戻るのです。そして、確保していた弁当をカゴから取り出し、“こっちにもシールを貼ってちょうだい!”と要求するのです。店員が断ると、“どうして貼ってくれないのよ!”と逆ギレします。
これって、正常な行動でしょうか。極めて悪質な手口だと思いますし、カスハラです。何より、買い物目的以外で、長時間にわたって店内に滞在しているのは迷惑でしかありません」
10%引きの段階で買った人もいるはず
こうした手口に、店側もあきれ果てているという。前出の店員は、「物価高なので値引きを狙って来店する気持ちはわかる」「フードロスの解決にも繋がる面がある」と理解を示しつつ、値引きおばさんの行為に対しては、「度を越えており、明確に店に損害を与えている」と憤る。
「10%引きの段階でも買った人がいるかもしれないのに、会計せずに、長時間ストックしているわけですよ。そして、半額になるタイミングでシールを貼らせる。明らかにルール違反だし、モラルのない行為だと思います。一方で、万引きなどを行った形跡はない。彼女の手口はいわばグレーゾーンなので、ブラックリストには入れているものの、出禁にすることはできず、困っています。
もちろん店員の間でも、値引きおばさんについては周知徹底しています。ベテランの店員は一切要求に応じないようになりましたが、以前、若い店員だとどうしてもおばさんの凄みに負けて、応じてしまったこともありました。今ではおばさんが来店したら、インカムで情報共有するようにしています」
ほかにも、値引きのシールを貼ろうとする店員の後ろを尾行し、貼ったら即、カゴに入れるというちょっとしたストーカーのような客もいるようだ。実際、そうした光景は筆者も見たことがある。こんな人でも“お客様”として平等に対応しなければいけないとは、店員の苦労も相当なものだと推察される。
高齢者のほうが問題を起こしやすい
前出の店員によると、値引きシールを巡っては、高齢者のほうが迷惑をかけている事例が多いのだという。結局のところ、わずか200〜300円程度の値引きのために2時間も店内に滞在していては明らかにタイパが合わないため、仕事で忙しい現役世代は行わない。しかし、現役引退した高齢者は時間に余裕がある。長時間滞在しても問題がないのである。
前出の値引きおばさんも、70歳を過ぎて年金暮らしをしている高齢者らしい。一人暮らしで、スーパーと病院以外は特に出歩いている場所はないようだ。もしかすると、値引きされた弁当を買うことが彼女の趣味、生きがいのようになっているのかもしれないが、とにかく店側からすればたまったものではない。
こうしたトラブルを防ぐためには、スーパーでルールを作り、その周知徹底を行うしかなさそうだ。カゴに入れた段階でその値段で選んだこととし、後から値引きシールの要求をしてはいけないなどルールにすべきであろう。何より、弁当や刺身などの食品を売り場から長時間持ちだすことは、衛生上も問題があるように思う。
カスハラが社会問題になっており、強引な要求に応じないと宣言する店も増えている。しかし、実態としては「なかなか強く出ることは難しい」(前出のスーパーの店員)という本音も見え隠れする。店側が問題行動を起こす客に対して注意できる、健全な環境を生み出す必要がありそうだ。
ライター・山内貴範
デイリー新潮編集部
