気象庁は今日5月12日「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによりますと、エルニーニョ現象ラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、エルニーニョ現象時の特徴に近づきつつあります。今後、夏までにエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(90%)とみられます。

4月の実況

4月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.7℃で、基準値より高い値となりました。エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の2月の値は0.0℃で、基準値と同値でした。太平洋赤道域の海面水温は、日付変更線付近と東部を中心にほぼ全域で平年より高くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、ほぼ全域で平年より高くなりました。対流活動は、太平洋赤道域の日付変更線付近ではほぼ平年並で、3月まで強い状態が続いていた中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年並に弱まりました。このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象ラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、エルニーニョ現象時の特徴に近づきつつあることを示しています。

今後の見通し

実況では、太平洋赤道域の海洋表層で見られる暖水が東進しています。大気海洋結合モデルは、この暖水の東進が太平洋赤道域の中部から東部の海面水温を平年より高い状態で維持するように働くとともに、その後も大気と海洋の相互作用により強化された海洋表層の暖水の東進が継続することに伴い、エルニーニョ監視海域の海面水温が秋にかけて上昇し、基準値より高い値で推移すると予測しています。以上のことから、今後、夏までにエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(90%)とみられます。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

【西太平洋熱帯域】
4月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、夏の終わりにかけてさらに下降し、秋にかけて基準値より低い値で推移すると予測されています。

インド洋熱帯域】
4月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、秋にかけても基準値に近い値で推移すると予測されます。

エルニーニョ現象とは?

エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。

エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。

エルニーニョ現象」発生時の日本は、これまでの統計によると冷夏や暖冬になりやすいと言われていますが、2月24日発表の暖候期予報(6月〜8月)、4月21日発表の最新の3か月予報(5月〜7月)では、2026年の夏の気温は全国的に高い予想となっています。