「このままではお先真っ暗だ」。駆け出し会社員の20代女性が絶望感を抱いたきっかけはニュースで流れてきた「老後2000万円問題」でした。しかし、その焦りによって節約や投資に目覚めた彼女は、赤字家計から4年間で1000万円の貯蓄を実現します。人気YouTuber・節約オタクふゆこさん、その人生の転機と「貯金は9割がメンタル」と語る真意とは。

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手取り20万円。奨学金返済で家計は赤字続き

YouTubeで脱サラ後2年目のありのままの様子を配信

── YouTubeやブログなどで節約や資産運用の情報を発信し、20代で1000万円を貯金されたそうですね。始めたきっかけは何だったのでしょうか。

ふゆこさん:将来に絶望したことがきっかけです。社会人になりたてのころ、世間で「老後2000万円問題」が話題になりました。駆け出しの会社員だった私の手取りは20万円程度。しかも奨学金の返済もあったので毎月、赤字家計で、不足分をボーナスで補填するという生活でした。

これから給料が上がるかわからないし、やりたいこともたくさんあるなかで老後までに2000万円貯めるなんて到底無理な話で、「これじゃあお先真っ暗だ」「夢だった海外旅行も一生行けない」という絶望感を抱きながら、「なんとかしなきゃ」という焦りを感じていたんです。

── そのころは今のような金融知識はまったくなかったと思うのですが、まず何に取り組んだのでしょうか?

ふゆこさん:焦って家計簿を始めたのですが結局、三日坊主に終わりました。節約ももちろん試みましたが、貯金はいっこうにふえません。そのとき、たまたまYouTubeで「資産運用」に関する動画を見たことが、私の人生を大きく変えました。

それまでお金をふやす=「貯金」しか発想がなかったのですが、「運用」することで「お金に働いてもらう」という方法を知ったんです。いざというときに支えるお金、生活費6か月分程度の「生活防衛資金」を手元に残し、残りのお金を運用。「貯蓄率」をあげていくことで、私にも明るい未来があるかもしれないと知り、資産運用を学びたい気持ちに火がつきました。

── 生活するのも精一杯な状況から、運用資金を捻出するのはなかなか大変だったはずです。

ふゆこさん:はい。ただ当時、社会人生活がつらくなっていたこともあり、FIRE(早期リタイア)したい気持ちがあって。手元にあった書籍を参考に計算すると私の場合、貯蓄率が順調に増えれば、13年後に資産額が5000万円になり、その後は収入がなくても、運用益だけで当時の生活費相当が賄えることがわかりました。それで、とにかく運用に回すお金を増やそうと、月10万円の節約生活を始めるようになりました。

4年間で貯蓄1000万円達成もうつ状態で退職

固定費を見直して、築30年の物件にお引っ越し

── 手取り20万円程度で赤字家計だった状態から、投資に月10万円を捻出。いったい、どうやったんですか?

ふゆこさん:まずは固定費を見直しました。具体的には「引っ越し」と「電気会社の乗り換え」です。それまでオートロック付きの新築物件に住んでいましたが、リフォーム済みの築30年の物件に引っ越したことで、月の家賃が2万円以上も節約できました。最初は心配しましたが「住めば都」です。生活に対する満足度は以前と変わりませんでした。

引っ越しと同時に電気会社も見直し、年間で約2万円もお得に。ネットでの簡単な手続きだけで「こんなに節約できる!」と、ますますのめり込んでいきました。

── でも、目標金額にはまだ遠く及ばない状況ですよね。

ふゆこさん:節約ができたら、次にやるのは収入を増やすことです。13年後にFIREするためにはこれまでの収入ではダメだと思い、転職もしました。奨学金の返済があり、手取り月20万円では節約したところで、どうしても苦しくて。会社でのセクハラ、収入面、経営の将来性を考えて勇気を出して転職し、手取りが月30万円にふえ、運用資金をさらに確保できたんです。

転職したことで目標がよりクリアになって節約にも力が入りました。外食や出前をやめて、自炊で食費をとことん抑え、月の食費を4万円から1万円に、格安スマホを利用するなどし、通信費を1万2000円から2280円に、服やコスメ代も月3万円を1000円にするなど、月の生活費を徹底的に抑えて10万円でやりくり。残りの20万円を貯金や運用に回す生活を送るようにしたら、1年で賞与も合わせて300万円、4年間で1000万円を貯めることができました。

── 会社員を辞めたのは、1000万円が貯まったからですか?1000万円では老後までを考えると難しいように感じますが…。

ふゆこさん:FIREの目標金額は5000万円でしたが、辞めた直接の理由は、うつ状態になったからです。前の会社の業績が傾いたこともあり、収入を増やすために思い切って転職したのですが、新しい会社で人間関係の板挟みにあってしまって。でも、退職にあたって1000万の貯蓄があるのは少なからず心の支えになりました。「いま辞めても月10万円で暮らせば100か月は生きていられる」、と。だから1か月ほど休職した後、会社を辞めることにしたんです。

会社を辞めてからは、そのときすでにやっていた YouTube活動に専念することにしたのですが、最初は収益がなかなか伸びなくて。赤字が続いた月もありましたが、私個人の資産運用を紹介する動画がきっかけで、少しずつ視聴者が増えていきました。

「貯金はメンタルが9割」と語る理由は

── 会社を退職するほど追い詰められたり、配信動画の収益が伸びなかったりとつらい時期を乗り越えてきたと思います。そんなとき、何が支えになったのでしょうか?

ふゆこさん:会社を辞めるときは不安もありましたが、節約を通して「貯金はメンタルが9割」と考えるようになっていたんです。だから気持ちだけは強く持っていて、「ここでダメならどこか働けるところを探そう」という気持ちでした。

──「貯金はメンタルが9割」とはどういう意味ですか?

ふゆこさん:実は、節約を通して私自身のお金に対する見方に大きな変化がありました。以前の私は最初の会社で受けたセクハラや、そのストレスのせいでメンタルが不安定だったんです。そのせいで他責思考が強く、都合の悪いことがあるとその原因を他人や環境、国のせいにしていました。たとえば貯金が少ない状況を「こんなに頑張っているのに、報われない(お金が貯まらない)のは会社のせいだ、国のせいだ」と考えて、何も行動しておらず、環境に対してイライラしていました。

ただ、会社を辞めてストレスが減り、心に余裕が生まれました。すると、お金がないことを周りのせいにせず、自分の浪費癖を見直し、節約する行動が起こせるようになったんです。

他責ではなく自責の思考になって、問題が解決できたのは、貯金メンタルが整っていたからこそ。適切でないレベルのストレスを受けていると、それにより気持ちを浪費してしまいます。そこから、根本的解決として、「転職」「自責(対策自分論)への考え方のシフト」により、貯金メンタルが整い、適切な知識が組み合わさり、効率のいい資産形成のための行動ができるようになり、実際にお金が貯まっていきました。


取材・文:酒井明子 写真:ふゆこ