日本サッカー界は指導者も海外目指す…「世界の価値観」取り入れて代表強化
サッカー日本代表は前回のワールドカップ(W杯)カタール大会以降、ドイツ、ブラジル、イングランドとW杯優勝経験のある強豪を次々と破り、初優勝を掲げて北中米3か国大会に臨む。
世界の背中を追いかけてきた日本サッカーの「現在地」を探る。
[日本の現在地]<4>
日本代表にビッグネームが加わった。現役時代、司令塔として活躍した中村俊輔氏(47)のコーチ就任。元代表主将の長谷部誠氏(42)に続く、大物OBのコーチングスタッフ入りだ。
多くの選手が欧州で活躍するようになった一方、指導者の海外進出は進んでいない。日本の指導者資格は欧州で効力がなく、言葉の壁も高い。欧州でのプレー経験が豊富な長谷部、中村両氏には、開拓者としての期待もかかる。森保監督は「世界の価値観が身についている彼らが、日本人の良さも生かしてチームに落とし込んでほしい」と話す。
そんな森保ジャパンから、海外に飛び出したスタッフがいる。ドイツ2部のキールで分析官を務める佐藤孝大氏(33)だ。日本代表の分析担当としてワールドカップ(W杯)などを戦い、「選手と同じように海外に出ないといけない」と渡欧した。ドイツで語学学校に通いながら就職活動し、何十ものクラブに断られたが、2024年1月にキールと契約。そのシーズン、クラブは初の1部昇格を果たした。
日本と仕事内容に大差はなかったが、スポーツに対する価値観に違いを感じたという。「日本には武士道精神みたいなものがあるけど、ドイツでは戦術的なファウルも組み込んでいる」。指導者の枠は少なく、クラブには多くの売り込みがある。「みんなこのポジションを狙ってくる。自分も成長して、いつかW杯優勝を目指す日本の力になりたい」と語る。
独自のキャリアを築いている日本人もいる。フランス1部のパリFCでアシスタントコーチを務める太田徹氏(44)は、元々フィジカルコーチ。リヨン女子からスタートし、約20年間、ナントやトゥールーズなど仏国内のクラブを渡り歩いてきた。「欧州でコーチをするのにセオリーはなく、運も大事。日本人に力がないからではなく、そもそも考えられていない」と現状を明かす。
ただ、全ての指導者が海外を目指す必要はないと考えている。「欧州のやり方をそのまま取り入れればいいわけでもない。日本代表では、欧州のことは長谷部コーチや(スペイン1部・セビリアで分析を担当した)若林(大智)分析官のように、欧州の現場を知る人が補えばいい」
森保監督は「察することができるのが日本人。組織が輝くために、個々を見てチームのためにマネジメントができる」と日本人指導者の特長を強調する。来たるW杯は選手だけでなく、日本人指導者の力を世界に知らしめる場でもある。
