最大の論点は、ソン・フンミンへの高い依存度。決定力と経験は突出しているが、その負担は小さくない。(C)Getty Images

写真拡大 (全2枚)

 北中米W杯に臨む韓国代表は、アジア最多の出場回数12回を誇る常連国として本大会に挑む。最高成績は2002年日韓大会の4位だが、その後も2010年南アフリカ大会と2022年カタール大会でベスト16に進出しており、日本とともにアジア勢の存在感を押し上げてきた牽引者である点は揺るがない。

 ただし、ここ数年はパフォーマンスに安定感を欠いているのも事実だ。アジア最終予選は首位通過で本大会出場を決めたものの、3月シリーズではコートジボワールに0−4と大敗し、オーストリア戦も0−1で落とした。こうした結果を受け、同国のレジェンドでもあるホン・ミョンボ監督への風当たりも厳しくなってきている。

 最大の論点は、エースでキャプテンのソン・フンミン(ロサンゼルスFC)への依存度の高さだ。大会期間中に34歳となるストライカーは依然として決定力、経験ともに突出しているが、その負担は小さくない。彼に続く存在として期待されているファン・ヒチャン(ウォルバーハンプトン)は度重なる負傷によりコンディションが不透明で、攻撃陣の層の薄さは否めない。

 そうしたなかで、当然ながらイ・ガンイン(パリSG)には創造性と局面の打開力だけでなく、攻撃面でのリーダーシップも求められる。さらにカタール大会を経験していない新戦力の台頭も飛躍の鍵になりそうだ。

 FWオ・ヒョンギュ(ベシクタシュ)はボックス内での勝負強さとアクロバティックなフィニッシュを武器に、流れを変える存在として期待される。

 中盤は現在の韓国で、最も安定したセクションと言える。運動量と対人強度に優れるファン・インボム(フェイエノールト)を軸に、経験豊富なイ・ジェソン(マインツ)、配球力と技術に優れたペク・スンホ(バーミンガム)が揃い、試合をコントロールする基盤は整っている。
 
 本大会も3−4−2−1をメインに戦い場合、イ・ジェソンとイ・ガンインが2シャドーを組む形が有力で、前線との連係が攻撃の質を左右する。

 アウトサイドでは左のイ・テソク(オーストリア・ウィーン)と右のソル・ヨンウ(ツルベナ・ズベズダ)が、攻守両面で大きな役割を担う。豊富な運動量と高精度のクロスは、前線の決定機創出に直結する要素であり、守備時に5バックへ移行する際にも、彼らのフィジカルの強さが生命線となる。

 最終ラインはキム・ミンジェ(バイエルン)が中心となる3バックが基本だが、彼以外のポジションは流動的だ。Jリーグで経験を積むキム・ジュソン(広島)やキム・テヒョン(鹿島)がどこまで存在感を示せるかは、守備の安定性に直結するテーマとなる。

 GKについても序列は固定されていないが、近況のパフォーマンスを踏まえると、前回大会で正守護神を務めたキム・スンギュ(FC東京)がチョ・ヒョヌ(蔚山)をややリードしていると見られる。
 
 韓国の持ち味は、テクニカルな傾向が強まっている現在でも、やはり90分を戦い抜くスタミナと敢闘精神にある。過酷な環境が想定される今大会も、彼らにとって不利とは言えない。

 ただし、グループステージはすべてメキシコで行なわれ、標高の高いグアダラハラでのチェコ戦とメキシコ戦、さらに酷暑が予想されるモンテレイでの南アフリカ戦と、コンディション管理と選手層が勝敗を分ける要素になりうる。
 
 開催国メキシコと同居するグループに入ったことで、いわゆる列強が同組におらず、韓国メディアの楽観的な声も見られる。しかし、現状のチーム状態を踏まえれば、3月シリーズで露呈した課題を解消できなければ、堅守速攻を持ち味とするチェコや、完全ホームの環境で戦えるメキシコから勝点を積み上げるのは容易ではない。

 その2試合の結果によっては非常に苦しい状況で、南アフリカ戦を迎えることになるだろう。大会を通じて結果を残すためには、スタートから高い強度で試合に入り、流れを掴むことが不可欠であり、ホン・ミョンボ監督の手腕にかかるところも大きい。

文●河治良幸

【画像】史上初のモノクロエンブレム&三つ葉ロゴが31年ぶり復活!日本代表の新アウェーユニホーム