甲状腺疾患があっても安全に出産できる? 妊娠前後の注意点と治療について【医師解説】
甲状腺疾患は女性に多く、全体の約8~9割を占めるとも言われていますが、軽い段階では自覚症状がないため、見過ごされやすいそうです。また、甲状腺ホルモンは妊娠や出産にも深く関わると聞きますが、具体的にどういうことなのでしょうか? そこで、甲状腺疾患と出産の関係についてと、出産後に及ぼされる可能性がある影響について、内分泌代謝科専門医の川名部新先生(おばな内科クリニック院長)に解説してもらいました。
監修医師:
川名部 新(おばな内科クリニック)
聖マリアンナ医科大学卒業。同大学病院では代謝内分泌を主として、糖尿病や生活習慣病を専門に経験を重ねる。2023年4月より川崎市中原区にある『おばな内科クリニック』を継承し、院長を務める。日本内科学会認定医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医、臨床研修指導医
編集部
妊娠前からの検査がよいのですね。
川名部先生
そうですね。脳や神経の形成が始まるのは妊娠4週頃からと言われています。この時期はまだ妊娠に気がついていない方がほとんどなので、妊娠に気づいてから検査したのでは遅い場合があるのです。
編集部
甲状腺疾患を持っている場合、安全な妊娠・出産は難しいのでしょうか?
川名部先生
そんなことはありません。甲状腺疾患があっても、適切に治療や管理をおこなえば、妊娠・出産は可能です。医師の指導を受けながら甲状腺ホルモンのバランスを整えることで、母体と赤ちゃんの健康を守ることができます。もし不安なことがあれば、早めに専門医に相談してください。
編集部
甲状腺疾患は出産後にも影響を及ぼしますか?
川名部先生
出産後はホルモンバランスが大きく変化するため、甲状腺の機能に異常が出ることがあります。産後の疲れや不調が甲状腺疾患によるものだったという例もあるため、気になる場合は医師に相談するとよいでしょう。特に、産後3カ月くらいの時期は慢性甲状腺炎を発症しやすいので注意しましょう。
編集部
最後に読者へのメッセージをお願いします。
川名部先生
甲状腺疾患は、軽症であれば自覚症状はほとんどないのにもかかわらず、妊娠・出産に影響を及ぼすリスクがあります。妊娠を検討している方や、不妊、流産を経験している方などは、一度甲状腺の検査をすることをお勧めします。もし不妊が甲状腺疾患によるものであれば、ホルモン補充療法など適切な治療をすることで妊娠が望めます。実際に、3年くらい不妊に悩んでいた方が、甲状腺の治療をして妊娠したケースもありました。また、甲状腺疾患とヨードの過剰摂取との関係もわかっています。海藻を過剰に摂取している方や、イソジンなどのヨード入りのうがい薬を頻繁に使用している方なども、甲状腺の検査をしてみてはいかがでしょうか。
※この記事はメディカルドックにて<甲状腺疾患=「妊娠しにくい・流産しやすい」って本当? 不妊や流産リスクを医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
