「乱暴にしないで」風俗店に侵入→女性2人の下着を脱がせ⋯26歳・海上自衛隊員が性犯罪者に変貌した“衝撃の理由”(平成21年の事件)
「乱暴にしないで……」
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震える女性の願いが聞き入られることはなかった。開店前の風俗店に侵入した全裸の男は、わずかな時間で2人の女性に暴行を加える。しかも犯人は、海上自衛隊に所属する26歳の現役隊員だった。なぜ彼は暴挙に出たのか? 平成21年、神戸市で起きた事件の発端をお届け。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む)

写真はイメージ ©getty
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突如襲ってきた「謎の男」
開店前の風俗店。早朝勤務のマミさん(当時33)は前日夜から部屋に泊まり込んでいた。
明け方に廊下に出たときのことである。1階の廊下をものすごい勢いで突進してくる全裸の男に遭遇した。
「だ、誰?」
声をかける間もなく抱きつかれ、押し倒されて下着を脱がされた。男は目がギラついていて、フーフーと荒い息を吹きかけ、明らかに正気を失っている様子だった。
いきなり男に襲われ、何をしようとしているのか分かったマミさんは、とっさに「ちょっと待って」と言って、自分の下半身に唾を塗りつけた。もちろん同意したわけではない。ただ、恐怖心からそういう行動を取っただけだ。
男は前戯もなく、無言で体を重ねてきた。マミさんは男を怒らせないように黙って要求に応じた。行為の途中、男は初めて口を開いた。
「お前じゃダメだ、他に女はいないのか?」
いきなり布団を剥ぎ取られ⋯
マミさんは震えながら、同じく前日夜から宿泊していたリカさん(同31)の部屋を案内した。男は無言で侵入したが、寝ぼけ眼だったリカさんは、掃除の従業員が入って来たのかと思い、「ここの部屋はいいから」と答えたが、いきなり布団を剥ぎ取られ、全裸の男に襲いかかられた。
「キャーッ!」
リカさんは仰天して逃げようとしたが、背後から腰を持ち上げられ、一瞬で下着を脱がされた。男は急いで行為に及んだ。
「乱暴にしないで……、お兄さん、いくつなの?」
彼女は少しでもその場を和ませようと、客を相手にするときのように話しかけたが、男は「黙れ、偽善者め!」と言って、行為を続けた。怒らせたら殺されるかもしれないと思い、もう話しかけるのをやめた。
男は本番行為にしか興味がない様子だった。キスをしたり、胸を触ることもない。リカさんは「とにかく出て行ってもらうには、男を満足させるしかない」と覚悟を決め、どうにかして行為を終わらせた。
「うーん、性交しても何も変わらないな。また別のことを何かしなければならない」
リカさんは男が部屋から出て行った後も、恐怖感から一歩も動けなかった。マミさんも同様で、店のオーナーに連絡し、保護されるまで、部屋の中で震え上がっていた。
こうして前代未聞の風俗嬢連続強姦事件は、様々な思惑や事情が絡み、発生から3時間も経ってから警察に通報されることになった。
何が男を変えたのか?
風俗嬢たちを襲った男は海自隊員の山口賢作(同26)だった。山口は1カ月間の外洋勤務後、2週間の休暇をもらい、地元に戻って友人たちと遊んでいた。
事件前日は昼間からシンナーを吸ってナンパにいそしみ、夜は友人たちと4人で心霊スポットの山へ車で行くことになった。
「オレは心霊現象なんて信じない。怖くもないし、興味もない」
山口は車内でもシンナーを大量に吸い、山頂で車から降りて、2体のお地蔵さんを見たが、何も感じなかった。鼻でせせら笑って帰る途中、体調が悪くなって意識を失い、ふと目を覚ました瞬間、シンナー中毒による影響からか、突然真昼に変わってしまったかのような幻覚を見た。
周囲の風景が神々しい光に包まれ、「自分は天国に行き、死んでしまったのではないか」と考えたのである。
一緒に車に乗っていた友人たちも光に包まれ、生きている人間とは思えず、山口は1人で車から降りて、街をさまよい始めた。
「オレの姿は周囲からは見えているのだろうか?」
それを試すため、コンビニでカップラーメンを買ってみたが、ごく普通に対応されただけだった。それでも周囲が光り輝いている状況は変わらず、「自分は魂だけが動いているに違いない」と思い込み、「どうにかして元の世界に戻らなければならない」という強迫観念が生まれたのだ。
◆◆◆
「女とすれば、生き返れるかもしれない」
全裸で逃走した男はその後⋯
〈《懲役は⋯》「女とすれば、生き返れるかも」シンナーを吸って2人強姦⋯「一線を越えた」26歳・海上自衛隊員の末路(平成21年の事件)〉へ続く
(諸岡 宏樹)
