撮影・内外タイムス

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石破茂前首相は内外タイムスの単独インタビューで地方創生や防災庁創設の重要性、消費税減税への懸念について語った。党是である憲法改正については自衛隊の明記とともに、軍隊としての明文化が必要との考えを示した。さらに米国によるイラン攻撃、リベラルの危機についても言及。全2回で紹介する。

――2014年に初代地方創生担当大臣に就任し、これまで積極的に取り組んできた。現在の状況は?

石破 具体的に何パーセントまで達成できたとは言えないが、最初の頃はまだ“点”だったものがだんだん“面”になってきたという感じはする。日本には1718の市町村があるが、その中で「よし、やろう」ってところがずいぶん増えてきて、ずいぶんと進んできたとは思うけど、(地方創生は)まだまだ。

――憲法改正で自衛隊の明記の必要性について訴えているが、9条第2項についての考え方は?

石破 「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」というのが9条第1項で、これは小学校で習ったことだ。第2項は、「目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。この第2項を聞いて何のことか分かる人はいるだろうか。

(日本は)立派な戦闘機を持っている、立派な戦車を持っている、立派な護衛艦を持っている。だけど、軍隊ではないという。なぜだろうか。それは必要最小限だからという。必要最小限のものしか持ってないから戦力ではない、軍隊ではない。そんなことを言っても、だまされている気がしてならない。

だから、単に自衛隊を憲法に明記するだけではダメだということ。自衛隊はきちんとした軍隊であり、最小限だから戦力じゃないとか、そんなまやかしめいたことは止めましょうということ。私が言っていることは。

――防災庁の創設を推し進めてきた。

石破 東日本大震災(2011年)から15年となった。その前には阪神・淡路大震災(1995年)もあった。熊本地震(2016年)も能登半島地震(2024年)もあった。世界でもこんなに災害の多い国は珍しい。災害が多い国なのに、まだ防災の体制というのはそんなに立派じゃない。いつ地震が起こるのか、いつ火山が噴火するのかは分からないが、衛星を上げたりスーパーコンピューターが発達してきて、次第に予知能力は上がってきた。これをもっと上げましょうということ。

(災害時の被災者は)避難所となる体育館で雑魚寝している。これでは100年前の関東大震災の被災時と何も変わらない。家は崩壊し、自分はけがをして、家族は亡くなり、仕事もどうなるのか分からない。そんな一番つらい思いをしている人たちに、一番温かい手を差し伸べることは当たり前のことであって、世界の国々ではすでにやっていることだ。台湾でもイタリアでも、災害が起こったら24時間以内にコンテナトイレがやって来る。そして、キッチンカーが来て、簡易ベッドが届く。この体制を整えるため、防災庁という一つの役所が仕切ってやっていく。

――2月の衆院選では消費税減税が大きな争点となった。

石破 消費税は好きか、嫌いかと聞いたら、好きなんていう人はいない。だけど、高齢化は進み、医者にかかるお金、介護にかかるお金はどんどん増える。法人税や所得税は景気が良ければそれだけ多く入ってくるけれど、逆に景気が悪いと税額も落ち込んで入ってこない。でも、景気が悪いから医者にかかるお金もっと上げますとか、年金(の受給額)を減らしますだとか、そういうわけにはいかない。

消費税は景気に左右されることなく、きちんと(国に税収として)入ってくる。だから、みなさん嫌いでしょうけど、これがないと医療も年金も、介護も維持できませんよっていう話だ。

――食料品の消費税率ゼロについては?

石破 食料品の消費税をゼロにした場合、2年間で10兆円(の税収)がなくなる。その金をどこから捻出するのか。10%からゼロ%になると、お金がなくて困っている人も、大金持ちも同じように減税になる。お金持ちの方が減税の恩恵を大きく受けることになる。本当にそれでいいのか。

消費税率を下げることになると、レジのシステムをすべて変えなければならないので1年はかかるだろう。それでなくても今は円が安くなり、物価が上がって、生活が苦しいという人が多くいるわけだから、その人たちにすぐに届くお金を配ったほうが私はいいと思う。

石破茂前首相単独インタビュー(後編) 独立主権国家で法治国家の日本 イランへの自衛隊派遣は現状困難 に続く

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《プロフィール》
石破茂(いしば・しげる)1957年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒。1986年衆議院議員に初当選。防衛大臣、農林水産大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを歴任。2024年第102代内閣総理大臣に就任。著書に「保守政治家わが政策 わが天命」(講談社)、「私はこう考える」(新潮社)など。