国家テロ対策センターのトップ辞任も衝撃(MAGA派のジョー・ケント氏)/(C)ロイター

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【トランプ2.0 現地リポート】

トランプ大統領がゴリ押しする「メード・イン・アメリカ」に振り回される日本

 トランプ大統領は、イランが近隣の中東諸国を報復攻撃したことについて「誰も予想していなかった」と語った。だが、この言葉は額面通りには受け取れない。なぜなら、「予想するはずだった人々」は、すでに排除されていたからだ。

 アメリカとイランの戦争は、明確な理由も出口戦略も示されぬまま開戦から1カ月を迎えようとしている。ホルムズ海峡は実質的な機能不全に陥り、世界的なエネルギー不安が広がっている。政権の焦りや混乱が日に日に表面化する中で、ある報道が強く警鐘を鳴らしている。

 ネットメディアNOTUSの取材によれば、開戦のわずか数カ月前、アメリカ政府は人員整理の一環として、本来なら危機対応の中核となるはずだった人材を解雇していた。国務省所属の石油・ガスなどエネルギーの専門家たちだ。ホルムズ海峡封鎖や中東の供給危機をシミュレーションし、国際エネルギー機関(IEA)との調整役でもあった。

 本来であれば、こうした危機を事前に想定し、政策に反映させるはずの機能が、制度ごと抜け落ちていたことになる。元政府関係者たちは、アメリカ政府はかつて持っていた対応能力を失っていると指摘する。

 戦争の正当性そのものをめぐる内部の亀裂も深刻さを増している。中でも国家テロ対策センターのトップで、MAGA派のジョー・ケント氏の辞任は衝撃だった。彼は「イランは差し迫った脅威ではなかった」とし、トランプ大統領が主張する戦争の前提を真っ向から否定した。

■最終判断は大統領の決断

 この亀裂は情報機関全体にも広がっている。トゥルシー・ギャバード国家情報長官とジョン・ラトクリフCIA長官は議会証言で、「脅威の緊急性については最終的にトランプ氏が判断する」と、明確な評価を示さなかった。それに対し民主党議員は、「それで仕事になるのか?」と厳しく追及している。

 これに先立ち、トランプ大統領はCNNのインタビューで、イランとの戦争がいつ終結するのかについて、「終わると直感したとき」に分かると述べている。専門的分析は弱まり、情報機関の評価も一枚岩ではなく、最終判断は大統領の直感に委ねられる。

 想定外だったのは危機ではない。想定する力が失われていることの方が、むしろ怖い。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)