次回大会はどうなる?

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まだ手探り状態?

 メジャーリーグ組の出場も解禁となった3月2日の侍ジャパン強化試合で、注目の大谷翔平(31)は「2番DH」で3打席に立ったが、快音の聞かれないまま交代。先発の菊池雄星(34)も初回に連打を食らい、試合主導権も奪い返せないままゲームセットとなった。「手探り状態」。そんなゲーム評も聞かれた。

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「試合の前日、日本ハムの北山亘基(26)が大谷から『何か、セレブレーションを決めて発表しろ』と言われていました。3年前の侍ジャパンではラーズ・ヌートバー(28)のペッパーミル・ポーズで盛り上がり、チームも勢いづきました。ちなみに北山は、お茶をたてるポーズを提案しています。あとは実戦で勢いを持った選手が現れたら良いのですが、お互いにまだ遠慮し合っている感じでした」(スポーツ紙記者)

 チームの盛り上がりがイマイチなのは、出鼻を挫かれたせいもある。侍ジャパンの招集メンバーを発表した際、大谷のポジションは「投手」だった。公式ホームページでもしばらくは「投手」のままで、強化合宿が始まる直前に「指名打者」に変更された。その背景にWBCの出場メンバーに掛けられる「保険」の問題があったのは既報通りだが、この問題が次回大会での大谷の招集に大きく関わってくることになりそうだ。

次回大会はどうなる?

「WBCでは出場する全選手に保険が掛けられます。大会を運営するWBCIと保険会社との間で契約が結ばれ、今大会では総額で約50億円の掛け金がWBCIから支払われたと聞いています」(NPB球団スタッフ)

 保険会社とは、世界トップクラスに数えられるAONグループの「ナショナル・ファイナンシャル・パートナーズ」(以下=NFP)。正規発表はされていないが、米スポーツ専門誌「The Athletic」などによれば、故障歴がなく、健康体の20代選手であれば、年俸の1%から5.6%がその掛け金となるそうだ。

 しかし、プロスポーツの世界において怪我を負うリスクは避けられないもの。NFPが各国の代表候補選手の掛け金を審査するにあたって着目したのは、やはり「故障歴」。その怪我が慢性化しているのかも調べ上げ、直近の手術歴や年齢も加味して、選手個々の掛け金を決めて行った。また、投手は自動的に掛け金が高くなったそうだ。

「侍ジャパンはメジャーリーグ機構に対し、昨年の8月下旬には招集する可能性のある日本人選手のリストを提出しています。でも、11月のゼネラルマネージャー会議が始まっても、大谷、山本由伸(27)のいるドジャース、鈴木誠也(31)のカブスのチーム首脳陣は『選手を派遣するかどうかはこれから決める』と話していました。リストを提出して3ヶ月ほどが経ったのに『これから』と聞き、やきもきさせられました」(前出・同)

 NFPも審査に相当な時間を要したのだろう。また、別のNPB球団スタッフによれば、「06年と09年大会での保険の掛け金は、日本円で20億円を少し超えたくらいだった」という。今大会の保険の掛け金が「約50億円」とのことなので、倍以上に跳ね上がったわけだ。

高額年俸の選手が…

「前回大会を視聴したメジャーリーガーもたくさんいました。決勝戦で大谷と当時チームメイトだったマイク・トラウト(34)の一騎打ちが実現し、それに感銘を受けて、『WBCに出たい』と話す選手も増えた。それもメジャーリーグ各球団の主力選手が出場に名乗りを挙げるようになりました」(米国人ライター)

 保険の掛け金が跳ね上がった理由に、高額年俸の大物選手の出場も影響しているという。

 WBCIは各国の代表候補となったメジャーリーガー個々に掛け金の上限を決め、それをオーバーした選手には出場NGを通達した。プエルトリコ代表チームで主将役も予定されていたメッツのフランシスコ・リンドーア(32)、アストロズのカルロス・コレア(31))、ベネズエラ代表入りを目指していたフィリーズの剛腕リリーバー、ホセ・アルバラード(30)が出場できなかったのはそのためで、大谷の二刀流出場が叶わなかったのも「投手出場時の掛け金」が上振れしたからとされる。

 保険の掛け金が出場の足かせとならないようにするには、サッカーのワールドカップのように、もっと大きな収益をもたらす大会規模に発展させなければならない。

 また、前回大会はアメリカの民間テレビネットワーク・FOXテレビでも中継されている。同社はアメリカの主要都市での視聴が可能で、アメリカ代表チームの試合を中心に放送したそうだが、日本との決勝戦の平均視聴者数は実に500万人。最高で「700万人が観た」とも言われている。

「前回大会が、WBCが認知されるきっかけになったと見る声も少なくありません。米国で3月中旬から下旬の人気スポーツ中継といえば大学のバスケットボール大会です。メジャーがオープン戦をやっていてもかないません。前回大会の売上げが約150億円なのに対し、WBCIは今大会で300億円以上を見込んでいます。強気に売上げの倍増を狙っているのはFOXテレビでの中継の反響があったからです。WBCIは日本が最大の収入源であること、日本のファンが育てた大会であることを認めつつも、放映権とスポンサー料が頭打ちなのでNetflix社の独占配信に切り替えたんです。正式な発表はありませんが、前回大会までの日本の国内放送権料は30億円。Netflix社は約150億円と伝えられました」(前出・同)

 この平均500万人とされるテレビ視聴者数は、地方都市を本拠地とする球団同士のワールドシリーズにも匹敵する。WBCIが前大会から2倍の収益増を目指す根拠はそれにあるが、メジャーリーグ30球団のオーナーたちは別の見方をしているそうだ。

「300億円の数値が達成されたとしても、『物足りない』と捉えるでしょう。WBCを開催するとき、メジャーリーグ機構は世界規模での市場拡大を目指し、後々、必ず大きな収益になるから協力してくれとオーナー陣を口説きました」(現地記者)

WBCの収益はドジャースの贅沢税と同じ?

 乱暴な比較かもしれないが、昨季のドジャースのチーム総年俸は4億1734万1608ドル(約658億円)。ドジャースがメジャーリーグ機構に支払った贅沢税は1億6973万5768ドル(約267億200万円)。

 収益倍増であっても、ドジャースが納める贅沢税と大差がないというわけだ。また、大会に派遣する人気選手は球団の財産であり、彼らのシーズン中の活躍が球団の価値を高めている。その貴重な財産を貸し出し、怪我のリスクを負わせるのは、それだけでオーナーにとって“大損失”なのである。

「投手は保険の掛け金が上振れします。NFPは故障歴も重視しましたが、30代の選手の審査にも厳しかったと聞いています」(前出・同)

 次回大会、大谷は30代半ばとなる。それでもドジャースの主力選手として活躍しているはずだが、保険の掛け金は大幅に跳ね上がるだろう。WBCIが出場候補の選手個々に設けた上限額を超える可能性は否定できない。

デイリー新潮編集部