ウェブブラウザ「Google Chrome」の最新安定版であるバージョン145がリリースされました。マルチカラムレイアウトの折り返しに対応するなど、CSSを中心にいくつかの新機能が導入されています。

Chrome 145  |  Release notes  |  Chrome for Developers

https://developer.chrome.com/release-notes/145

◆マルチカラムレイアウトの折り返し

CSS Multi-column Layout Module Level 2で定義されているCSSプロパティcolumn-wrapとcolumn-heightが実装されました。このプロパティを使用することで、マルチカラムレイアウト内のコンテンツが列の高さを超えた場合に、次の列に折り返すかどうかを指定できます。

.columns {
column-height: 70vh;
column-wrap: wrap;
}

従来はマルチカラムコンテナの高さが制限があり使用可能なスペースに収まらないコンテンツがある場合、コンテンツはインライン方向にオーバーフローカラムとして表示されていました。



今回の更新で追加されたcolumn-heightプロパティとcolumn-wrapプロパティを使用すると、列の行の高さを設定してオーバーフローした列を新しい行として表示するように設定できるようになります。



これまではユーザーが長大なコンテンツを読み進めるには上下スクロールを使用するかオーバーフロー発生時に現れる水平スクロールバーを使用する必要がありましたが、今回の更新により列の折り返しが可能になるため、より快適にコンテンツを閲覧できるようになります。

◆Origin API

「オリジン」はウェブの実装の基本的なコンポーネントであり、ユーザーエージェントが維持するセキュリティとプライバシーの境界の両方にとって不可欠な存在です。今回の更新でオリジンに関する情報をカプセル化し取得および操作するためのメソッドを提供するOrigin APIが実装されました。このAPIを使用するとオリジンに関連するさまざまな情報にアクセスでき、Originオブジェクトのメソッドを通じてオリジンの比較・シリアル化・解析などを実行できます。従来はオリジンが直接公開されてはおらず、様々なゲッターが用意されていたもののそれらはオリジンをシリアル化したものを返しており、オリジンやサイトの比較を行う際に脆弱性が発生する可能性がありました。今回の更新によりOrigin APIが導入されたことで、オリジンに関する情報を安全かつ効率的に操作できるようになります。

◆デバイスにバインドされたセッション認証情報

デバイスにバインドされたセッション認証情報(DBSC)を使用すると、ウェブサイトはユーザーのセッションを特定のデバイスに紐付けることができるため、セッションCookieが盗み出されたとしても他のマシンで使用することが非常に困難になります。

DBSCは有効期間の短いCookieとハードウェア格納型キーペアを使用して認証セッションをデバイスにバインドさせ、ブラウザは定期的に秘密鍵の所有を証明しセッション Cookieを更新します。DBSCの大まかなフローは以下の通りです。

1:ユーザーのログインに対してサーバーは「有効期間の長いCookie」と「Secure-Session-Registrationヘッダー」で応答する

2:/StartSessionエンドポイントにてサーバーは「受信した公開鍵」をセッションに関連付け、Chromeの持つ「有効期間の長いCookie」を「有効期間の短いCookie」に置き換えさせる

3:「有効期間の短いCookie」が期限切れになるとChromeからサーバーの/RefreshEndpointエンドポイントに更新リクエストを送信し、サーバーはチャレンジを応答する

4:Chromeは「保存している秘密鍵」を用いてチャレンジに署名し、サーバーは署名を検証した上で更新した「有効期間の短いCookie」を返す



◆円形に近い要素に対する影やクリップ境界が視覚的により自然になるよう計算を改善

今回の更新によりborder-radiusが50%に近い、つまりほぼ円形の要素の影とクリップ境界が曲線の視覚的な輪郭と正確に一致するようになるため、複雑な丸みを帯びた形状のレンダリングがより一貫性のあるものになり、半径の値が大きい場合の視覚的な差異が解消されます。具体的には角が小さい半径でシャープに表示されるようにするborder-radius調整係数が、半径の値が50%に近づくにつれて徐々に減衰するようになりました。なおこの変更は同じ半径調整メカニズムを使用しているため、corner-shapeを使用した丸くない輪郭にも適用されます。

◆GlobalEventHandlersインターフェースにonanimationcancelイベントハンドラを追加

CSS Animations Level 1を受けてGlobalEventsHandlerインターフェースに4つの新しいイベントハンドラが追加されます。

・onanimationstart

・onanimationiteration

・onanimationend

・onanimationcancel

これに伴いGlobalEventsHandler IDLに存在していなかったonanimationcancelイベントハンドラが公開されるようになりました。

◆カスタマイズ可能な<select>リストボックスのサポート

カスタマイズ可能な<select>のサポートがリストボックスのレンダリングモードに拡張され、リストボックスモードでの単一選択と複数選択もサポートされます。リストボックスのレンダリングモードでは<select>要素は別のボタンやポップアップではなくフロー内もしくはページ内でレンダリングされ、<select multiple>や<select size=4>といったmultiple属性・size属性を介してプラットフォーム全体でオプトインされます。

◆その他の変更

・CSS:text-justifyプロパティのサポート

・CSS:letter-spacingプロパティとword-spacingプロパティでパーセンテージ値が使用可能に

・CSS:強制カラーモードでモノクロームの絵文字のレンダリングを有効に

・UI:focus()メソッドの呼び出しでfocusVisibleブール値を指定可能に

・UI:ルート以外のスクロールコンテナでオーバースクロール効果を改善

・機能:Androidでウィンドウ位置の情報が正確になるよう修正

・JavaScript:Upsert系メソッドの実装

・JavaScript:クラッシュレポートのKey-Value APIをサポート

・ポリシー:デフォルトで削減されたUser-Agent文字列を送信するよう変更

・Navigation API:navigation.transitionでto(NavigationDestination)を公開

・安全なお支払いの確認:ブラウザバウンドキーをサポート

・安全なお支払いの確認:SPCダイアログのUX要素を更新

・Cookie:Cookie Store APIでmaxAge属性をサポート

・折りたたまれていない選択範囲の削除コマンドで正確なinputType値がレポートされるように

・clipboardchangeイベントのスティッキーユーザーアクティベーション実装

・マルチメディア:WebRTCソースから取得された動画フレームのrtpTimestampメタデータにアクセス可能に

・IndexedDB:SQLiteによる実行に置き換え

・ウェブアプリ:PerformanceNavigationTimingオブジェクトのconfidenceフィールドを追加

・パフォーマンスエントリ:presentationTimeとpaintTimeを追加

・LayoutShift API :アトリビューションデータが物理ピクセルからCSSピクセルに変更

・ローカルネットワークアクセスの権限を分割

・Trusted Types:仕様の調整

・WebGPU:subgroup_uniformity機能のサポート

・独立したウェブアプリ:ControlledFrameのWebRequest.SecurityInfo APIを導入

◆オリジントライアル

・JPEG XL(image/jxl)デコードのサポート

・WebAudio:AudioContext・OfflineAudioContextにrenderSizeHintオプションを追加

◆廃止・削除される機能

・macOS向け:古い仮想カメラのサポート削除

・BMP拡張機能:JPEG・PNGをBMPに埋め込む機能の削除

また、Google Chrome 145には多数のセキュリティバグフィックスが含まれています。

なお、次期安定版の「Google Chrome 146」は現地時間の2026年3月10日(火)にリリース予定です。