衆議院選挙 小選挙区制だけではなく比例代表制があるのはなぜ? それは多数政党の暴走を防ぎ、死に票をなくすために必要な仕組みだった(山形)
選挙戦も終盤に差し掛かる衆議院選挙。選挙は「小選挙区比例代表並立制」で実施されます。
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小選挙区制(1つの選挙区から1人を選ぶ)だけで選挙を行えば、「敗者復活」もなくなり、もっとシンプルになりそうです。しかし、あえて比例代表を残しているのには、民主主義を守るための3つの大きな理由があると考えられています。
そもそも比例代表制とは、候補者ではなく政党名で投票する選挙方式。今回の衆院選も、投票所では、候補者の名前を書く小選挙区用の用紙と、政党名を書く比例代表用の用紙が渡され、記入することになります。(正確には最高裁判事の国民審査もあるので3枚の用紙がありますが)
では、民主主義を守る3つの理由とは。
■「死に票(死票)」を救済するため
これが最大の理由と言っていいでしょう。小選挙区制は「勝者総取り」です。
極端な例ですが、小選挙区のみの選挙で当選枠が1だった場合、A候補が51票、B候補が49票だったなら、A候補が当選しB候補に投じられた49票は結果として「議席に結びつかなかった票(死票)」となってしまいます。もし日本中が小選挙区だけになると、「国民の49%の意見が、国会でゼロになる」という極端なことが起こる可能性があります。
比例代表の役割①・・・得票率に応じて議席を配分するため、例えば「国民の10%が支持している少数政党」なら、ちゃんと全体の10%分の議席がもらえます。「投票した一票が、無駄にならずに議席計算に反映される」という点で、比例代表は非常に「民意に忠実」な制度なのです。
■「多様な意見(少数意見)」を守るため
小選挙区制では、どうしても「大政党(組織力が強い政党)」が有利になります。 「1位にならなければ意味がない」ため、幅広い層からそこそこの支持を得るような、当たり障りのない主張になりがちです。
一方で世の中には、環境問題、教育、特定の業界の課題など、「多数派ではないけれど、無視してはいけない重要な意見」がたくさんあると思います。
比例代表の役割②・・・小さな政党や、尖った政策を持つグループでも、一定の支持が集まれば国会に代表者を送ることができます。これにより、国会の中で多様な視点からの議論が可能になると言えるのです。
■「地域」の政策に偏らず「国全体の政策」を叶えるため
小選挙区選挙では、どうしても「地元の利益(道路を作ってくれる、施設を作ってくれる等)」をもたらす候補者が選ばれる傾向があります。地域への利益誘導が色濃く出るのです。
比例代表の役割③・・・候補者個人ではなく「政党」の名前を書くことが多いため、有権者は「国の方向性(消費税、外交、エネルギー問題など)」を基準に投票することになります。「地元の世話役」だけでなく、「国の舵取り役」を選ぶために、広く政党という視点で投票する比例代表が必要とされているのです。
■小選挙区と比例代表を組み合わせる意味は(まとめ)
現在の日本の制度(小選挙区比例代表並立制)は、車の「アクセル」と「ブレーキ」のような関係です。
○小選挙区(アクセル)・・・多数派が勝ちやすいので、政権が安定し、強力に政治を進められる。地域の課題をガンガン前に進められる。
○比例代表(ブレーキ)・・・色々な意見を拾い上げるので、多数派の暴走を止め、細かい民意を政治に反映させるような候補を当選させられます。
比例代表や、比例代表による「復活当選」という仕組みは、選挙で国民の代表を選ぶ上で「多様な民意を切り捨てないための工夫」と言えるのです。
