KinKi KidsからDOMOTOへ 改名で実感する歴史の重み、変わり得ない二人の関係性
KinKi KidsからDOMOTOへ--。ついに、堂本光一と堂本剛によるデュオが、7月22日から新たな名義「DOMOTO」として歩みを進めた。前日の7月21日には、2人そろってYouTubeで生配信を実施。長年ファンが“KinKi Kidsのデビュー日”として大切にしてきた7月21日と、DOMOTOとして新たな歴史が始まる7月22日。この2日間を並べて刻みたかったという2人の言葉に、「進化する」とは、新しい記念日が少しずつ増えていくことなのだと感じさせられた。
(関連:KinKi Kids、三浦大知、観月ありさ……ドリカム提供曲で味わえる“作詞 吉田美和&作曲 中村正人”の真骨頂)
この日、生配信が行われたのは、2人が何度も公演を重ねてきた“ホーム”とも言える東京ドーム。他アーティストのライブ設営中にもかかわらず、「2人のためなら」と特別に場所を貸してくれたのだという。そんな彼らの背後にあるスクリーンには、大きく「39」の数字が表示されていた。これは読売ジャイアンツのリーグ優勝39回を記念したもの。一方で、2人の手元にも「39」の文字が光っていた。こちらは、KinKi Kids名義として最後の作品となるベストアルバム『39 Very much』のボックスだ。
こうした“数字のマジック”を生み出してしまうのも、スターの魔力といったところだろう。実際、DOMOTOのファンクラブがグランドオープンした時間も「24(つよし)時51(こういち)分」と、2人の名前にちなんだ時刻に設定されていたように、彼ら自身も数字の巡り合わせを大事にしてきた。だからこそ、偶然のようでいてどこか意味があるようにも思える一致を、つい楽しみたくなるのだ。
7月15日放送のラジオ番組『KinKi Kids どんなもんヤ!』(文化放送)は、「KinKi Kids」として最終回となる放送だったが、「ちょうど5124回目だったのではないか!?」とファンの間で話題に。正式な回数として発表されたわけではないため、実際には多少前後している可能性もあるが、そんな偶然にロマンを感じられること自体が、KinKi Kidsを応援する醍醐味でもある。
デビューから28年、そして「KinKi Kids」という名前を名乗るようになってからは30年以上。これほど長い時間をともに過ごしてきた名前を改め、新たな活動を始めるには多くの調整が必要だったことは想像に難くない。7月15日放送のラジオでも、「僕らが描いていたスピードでは全くなくて」(剛)、「完全に振り出しに戻ったりとかありましたからね」(光一)と語っており、ファンの目に触れないところではさまざまな困難があったことをうかがわせた。
どのくらい細かな調整が行なわれてきたのか。この日の放送内容からも、その丁寧な話し合いを垣間見ることができた。まず話題に上がったのは、継続が決定したこの番組のタイトルコールについてだ。現在は、番組開始当初に録音された10代の2人の声がそのまま使用されており、もはやここでしか聞くことのできないお宝音源となっている。
そのため、堂本剛が「もし皆さんのお気持ちが許すなら」と『どんなもんヤ!』の部分だけ残せないかとアイデアを提案する。仮にタイトルが『DOMOTOのどんなもんヤ!』になる場合、「DOMOTOの」だけを新たに現在の2人の声で録り直し、前半だけ差し替えてはどうかというのだ。新旧どちらの声も楽しめるタイトルコールを「おじさんフレッシュ!」と表現した堂本剛に、堂本光一も思わず大笑い。
すると今度は、堂本光一が「おじさんとフレッシュって言ってたけど、言ってみればDOMOTOもフレッシュなんですよ」と、いい感じにまとめていく。だが、「フレッシュ……フレッシュフレッシュフレッシュ~」と我慢できずに、松田聖子の名曲「夏の扉」を口ずさむ。もちろんこれには堂本剛からの「おじさんやないか!」とツッコミが飛んだのは言うまでもない。
タイトルコールは前半を録り直すということで決まったものの、肝心のタイトルをどうするのか。さらに詰めていく2人。『KinKi Kids どんなもんヤ!』にならって『DOMOTO どんなもんヤ!』にするのか、あるいは『DOMOTOのどんなもんヤ!』にするのか……。「もう言ってみれば、KinKi Kidsという長い歴史があって、KinKi Kidsとしてのファミリーもありました。DOMOTOとしてのファンのみなさんと作り上げていくこれから、言ってみればDOMOTOの2人じゃないですか。そうなってくると、ある意味ファンのみなさんもDOMOTOの2人じゃないですか!」と、またもやいい感じにまとめようとする堂本光一に、堂本剛が「ちょっと待って。無理やり押し切られておっとっとって。今、土俵から出かけたけど、ちょっと待ってください」と吹き出す。
その上で「いや、うん、1回聞きましょう。はい」となるのが、KinKi Kidsらしさ。ツッコミを入れながらも、ちゃんと相手の思いを最後まで聞く。仮に意見が異なっても道を分かつのではなく、新しい道を作っていけるのではないかと模索する。表面的には笑いにしているのだけれど、その根底には「繊細に優しく考えたい」という彼らが大事にしてきたコミュニケーションスタイルを見るようだった。
そして「何を言ってんねん、さっきから」と呆れたような声色を出すのは、盛大な前フリの合図だ。「DOMOTOになるんで、よりその濃厚ですよね、僕らの名前なんで。そうなってきた時にファンの方々応援してくださっている方々もより、今まで以上に僕らのこの名前に寄り添ってくださる時間が増えるということなんで、みんなDOMOTOなんですよ」と語り、「みんながDOMOTOなんです」と強調。堂本光一も堂本剛のノリに気づいて「お? 俺と同じこと言うてへんか?」と笑い出すのだった。
お互いを「おじさん」と笑い合えるほど長い時間をともに過ごしてきた2人が、それでもなお、相手の言葉やリアクションに新鮮な笑いを返せる。そして、そんな関係性に心から魅了されるファンがいる。先述のYouTube生配信には、12万人もの視聴者が集まり、そのなかで2人は、東京ドームという広大な場所で「いっせーのせっ!ふん!」と肩を寄せ合い、指遊びを披露していたのを思い出す。30年以上の歳月をかけて、2人が繊細に築いてきたもの。そして、2人にしか見せられない特別な景色が、これからも変わらず続いていくことが、ただ素直に嬉しい。
「変わっていかなければ、なくなってしまうんですよ」とは、生配信中に堂本光一が語った言葉だ。変わっていくことには、当然、負荷がかかる。けれど、変わることができるからこそ、守れるものもある。 その言葉に、彼らがこれまで背負ってきた時間の深さと、これから進んでいく覚悟がにじんでいた。
ラジオでも「なんかこう、思いついて、いっぱい話しておもろいことを実現していくっていうのが、やっぱ良さそうですね」(剛)、「そうですね」(光一)と話していたように、2人には2人らしく、ボケとツッコミを交えながら丁寧な話し合いで、これからもDOMOTOとして新たに続いていく世界でたくさん遊んでほしい。まずは「DOMOTOとしての第一弾シングル『フレッシュ』」(光一)、「いやいやおじさんやないか!」(剛)と冗談めいた話もぜひ実現してほしいところだ。
(文=佐藤結衣)
