J1リーグ第28節 FC東京 3(0-2)2 鳥栖
15:04キックオフ 味の素スタジアム 入場者数20,303人
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まだ前半が終わっただけなのに、ゴール裏のFC東京サポーターはブーイングとともに「意地見せろ」コールでチームを叱咤した。それもそのはず。対鳥栖戦は2019年10月以来リーグ戦で8連敗中だ。約4年も勝利から遠ざかっている。さらにこの日も前半で0−2のビハインド。先週の多摩川クラシコのようなパフォーマンスでは、後半も失点を重ねたとしても不思議ではなかった。

ところが後半開始と同時にFC東京は、前半とは打って変わって猛攻を仕掛けた。ボールを失っても高い位置からの連動したプレスで奪い返し、鳥栖を一方的に攻め立てる。そして久しぶりにスタメン出場を果たしたアダイウトンが珍しくヘッドで1点を返すと、5分後にはこぼれ球を渡邊凌磨が押し込んでタイスコアに戻した。ピーター・クラモフスキーが監督に就任してから、FC東京がリードを許して追いついたのは第24節の横浜FM戦以来2度目。このときはアディショナルタイムの失点で1−2と敗れたが、この日は違った。42分、渡邊のシュートのこぼれ球を交代出場で「自分がなんとかしてやろうと思った」というルーキー俵積田晃太が押し込んで、J1初ゴールが決勝点となった。

FC東京の指揮官に就任して初めて逆転勝利を収めたクラモフスキー監督は、ハーフタイムの指示について「ビデオで確認して自分たちの磨きをかけないといけないところを確認した」と多くは語らなかった。もしかしたらモチベーターとして“自分の色”を出したことが、今後のリーグ戦に向けて「いい一歩」(クラモフスキー監督)につながり、選手にとっては自信を取り戻すきっかけになるかもしれない4年越しの勝利だった。

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。