3歳時から素質を高く評価されてきたプログノーシス 春のビッグレースでの活躍にも期待

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆先週の血統ピックアップ
・3/12 金鯱賞(GII・中京・芝2000m)
後方を追走したプログノーシスが外から伸び、粘るフェーングロッテンをとらえて初の重賞タイトルを獲得しました。これで通算8戦5勝。3歳時から素質を高く評価されてきたものの、体質面の弱さと気性面の難しさを抱え、なかなかトップクラスに上がることができませんでした。今回も道中力むロスがありました。スムーズに力を出し切ることができればGIでも楽しみな存在です。
ディープインパクト産駒はライトクオンタム(シンザン記念)に次いで今年重賞2勝目。母ヴェルダはイタリアで走って2勝しか挙げられませんでしたが、繁殖牝馬として成功し、チェヴァリーパークS(英G1・芝6ハロン)を勝ったヴォルダを産みました。母はヨーロッパ血統ですが、サドラーズウェルズやデインヒルといった本格派の主流血統を含んでいないため素軽さがあり、プログノーシスは日本の高速芝に対応しています。
母の父オブザーヴァトリーはクイーンエリザベス二世S(英G1・芝8ハロン)、イスパーン賞(仏G1・芝1850m)の勝ち馬で、種牡馬としてトワイスオーヴァー(英チャンピオンS2回など英G1を4勝)を、母の父としてネイティヴトレイル(カルティエ賞最優秀2歳牡馬)を出しています。日本の高速馬場に対応できる血です。プログノーシスはまだまだ伸びしろがあるので春のビッグレースでもいいところがありそうです。
◆今週の血統Tips
今週は阪神大賞典が行われます。芝3000mの長距離戦です。JRAでは年間に芝3000m以上の平地競走は8つしか組まれていません。特殊な条件なので得意とする馬は繰り返し好走する傾向があります。2013年以降の10年間では、13~15年にゴールドシップが3連覇、21、22年にディープボンドが2連覇しています。この他、シュヴァルグラン、ユーキャンスマイルが二度連対を果たしています。
今年は、3連覇を狙うディープボンド、昨年2着のアイアンバローズ、過去2回連対しているユーキャンスマイルが登録しています。アイアンバローズは芝3000m以上のGIIで3回走って2、2、4着。前走、ダートの東海Sにチャレンジし、10着と大敗したので人気を落とすかもしれません。ただ、今回の条件は合っており、芝長距離戦における父オルフェーヴルの適性も素晴らしいものがあります。侮れません。