2021年10月、Intelは第12世代Coreプロセッサとなる「Alder Lake」を正式発表しました。このAlder Lake世代のプロセッサでは、かつてのIntel製プロセッサを搭載したPCにあった「ターボボタン」が復活していると、テクノロジーメディアのThe Registerが報じています。

The return of the Turbo button • The Register

https://www.theregister.com/2021/11/05/turbo_button/

Intel 80286やIntel 80386、Intel 80486といったIntel製プロセッサを搭載し、1980年代半ばから1990年代半ばまでに流通したPCには、ターボボタンと呼ばれるプロセッサの動作周波数帯域を変えるボタンが存在しました。このターボボタンは、主にCPUの動作周波数に依存するプログラムの誤動作、特にゲームがプレイ不能に陥るバグに対処するためのものとして実装されたものです。

そんなターボボタンが、最新のIntel製プロセッサを搭載したPCにも存在しているとThe Registerが報じています。さらに、かつてのターボボタンのように専用の物理ボタンは必要なく、キーボードのScrollLock(ScrLK)キーを押すだけで起動・解除ができるそうです。



Alder Lakeは消費電力が多い高性能コア「Golden Cove」と、消費電力が少ない高効率コア「Gracemont」という2種類のコアを搭載し、各コアに適切なタスクを割り当てることで端末のバッテリー持ちを改善しようとしています。この高効率コアの「Gracemont」は、Intelが省電力設計と位置付けるmont系のCPUコア設計の流れを汲んでおり、低消費電力のAtom系プロセッサに採用されてきたコア設計です。

高いパフォーマンスが求められるゲームなどでは、プレイ時にインストールされているPCの仕様を確認し、システム要件を満たすかがチェックされ、システム要件に満たない場合はユーザーにその事実を伝える必要があります。そういった高いパフォーマンスが求められるゲームがAlder Lakeを搭載したPCでプレイされた場合、ゲームが高性能コアと高効率コアを「別々のPCに搭載されているプロセッサ」と誤認してしまい、ゲームがプレイできなくなってしまう模様。

Intelの第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake」搭載PCで50以上のDRM採用ゲームがプレイ不可との報告 - GIGAZINE



Intelもこの問題を認識しており、「第12世代インテル Core プロセッサーで一部のゲームがクラッシュするのはなぜですか?」というトラブルシューティングをリリースしています。

第 12 世代インテル® Core™ プロセッサーで一部のゲームがクラッシュするのはなぜですか?

https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/support/articles/000088259/processors/intel-core-processors.html



この問題の解決策としてIntelが提供しているのが、「レガシーゲーム互換モード」です。レガシーゲーム互換モードを有効にすると、キーボードのScrollLockキーを押すだけでAlder Lakeではプレイできないゲームのプレイが可能になります。

実際にCPUのパフォーマンスを高めるわけではないものの、プレイできないゲームをプレイできるようにすることができるということで、一部のユーザーが「ScrollLockキーは新しいターボボタンだ」と騒ぎ初め……



The Registerも「Alder Lakeでターボボタンが復活」と報じたわけです。

なお、Alder Lake搭載PCで一部のゲームがプレイできなくなった問題について、Intelは「11月中旬にWindows 11のアップデートでパッチが適用される予定です」と説明しており、レガシーゲーム互換モードでの対応はあくまで一時的なものであり、現代によみがえったターボボタンはすぐに使用されなくなるものと思われます。