霞ヶ関の高層ビル群

 12月10日、全国のほとんどの公務員に、冬のボーナスが支給。金額は、民間企業との格差を解消するなどとして、0.05カ月ぶん(実質5%)の引き下げがあり、2019年より3万円ほど少ない「平均約65万円」と報じられている。これで、3年連続の値下げとなる。

 2020年、コロナ禍による業務増大にあえいだ公務員の実感は、どうだろうか。現在、不要不急の外出自粛や一部の飲食店などへの営業時間短縮の要請をおこなっている、大阪府庁の職員Aさん(40代女性)が語る。

「コロナで業務が増えているにもかかわらず、ボーナスはカットです。それは2020年のことだけなく、じつは2021年度までのカットが決定しているんです。私たち職員のモチベーション低下はとてつもなく、退職を検討してる人も少なくありません……」

 Aさんの嘆きに、中央省庁に務める官僚のBさん(40代男性)が異議を唱える。

「うちは、ボーナスの金額は下がりませんでした。ただ、あまり知られていないのですが、地方公務員は国家公務員より基本給が高いのです。また、組合が強いところもあります。

 ボーナスのベースとなる基本給は、いまだ『聖域』と言われて下げられたりしておらず、カットされたといっても、彼ら地方公務員のボーナスは、私たちよりは多いはずなんです」

 実際、本誌が2人の給与明細を見せてもらうと、大阪府庁職員Aさんのボーナスのほうが、同世代の中央省庁キャリア官僚であるBさんのボーナスより、約10万円ほど高かった。

 しかし、コロナ不況下で平均65万円というボーナス支給は、十分な “高給取り” だ。同じ40代で一般企業に務めるCさん(男性)は、絶望と憤りを吐露した。

「2020年の冬は、コロナ禍のせいでボーナスはゼロでした。コロナ騒ぎが始まったばかりのころは、リモートワークになったことで勤務上のストレスが軽減し、むしろ喜んでいましたが、こんな絶望的な事態に陥るなんて……。

 というのも、住宅ローンなどいくつかの支払いを、当然のように『ボーナス払い』を前提に組んでいたのです。いちばんの痛手は、コロナの影響で残業代がカットになり、カード払いが増えて溜まったリボ払い。

 住宅ローンは、妻が『貯金を崩してなんとかする』といっていますが、2021年夏のボーナスも同じような状況になるかもしれないと考えると、不安でしかたありません。まもなくクリスマスやお正月がやってきますが、当然なにもできません。

 それなのに公務員は、平均65万円でも文句ですか。“民間の給与水準に連動する” と言っているのに、まったく違うじゃないですか。仕事が増えて辞めたいなら、私と代わってくださいよ」

 世界中が等しく厄災にさいなまれた2020年、ボーナス戦線には “天国と地獄” の分かれ道があった――。