ファンの度肝を抜くWBC各国代表メジャーリーガーの「必見プレー」
3月6日、待ちに待ったワールドベースボールクラシック(WBC)が始まります。メジャーリーグで活躍する選手の多くが各国代表チームの一員に選ばれました。そこで今回は、今年のWBCでぜひともチェックしてもらいたい必見プレーを紹介します。
アンドレルトン・シモンズ(オランダ代表)の華麗な守備は必見だ まずはベネズエラ代表、ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)のバッティングです。特に彼のコンタクトヒット技術に注目してください。ご存知のように、今や現役最高のバッターと称されるアルトゥーベは、昨シーズンもア・リーグ最高打率(.338)をマークし、ここ3年間で2度目の首位打者に輝いています。
アルトゥーベのバッティングの特徴は、とにかく初球から積極的に打つこと。昨シーズンも初球を打ったときの打率は.375で、バッター有利のカウントでの打率は.424という驚異的な数字を残しました。
彼は本来プルヒッターなので、レフト方向に引っ張るバッティングが得意です。よって相手チームは、レフト寄りのシフトを敷くケースが多々あります。しかし、2015年のデータではシフトを敷かれた際の打率で.371をマーク。強烈なゴロで内野手の狭い隙間を抜くバッティング技術を持ち合わせているのです。
しかも状況に応じて、ライト方向に打つのも不得意ではありません。ヒットエンドランの名手とも呼ばれており、ランナーが一塁にいる場面では的確にライト方向に打球を飛ばします。したがって結果的に、アルトゥーベは左右どちらにも打てるスプレーヒッターとも言えるでしょう。
チャンスにも滅法強く、昨シーズンの得点圏打率は.372。さらに身長167cmながら自己最多の24本塁打をマークするなど、まさにメジャー史上最高の小柄なスーパースターです。どんな球種やコースにも対応するので、欠点が見当たりません。WBCでは彼のバッティングの妙技をぜひとも見てください。
ふたり目はアメリカ代表、ジャンカルロ・スタントン(マイアミ・マーリンズ)のパワーと打球の速さです。球界ナンバー1の飛ばし屋と言われるスタントンは、毎年のようにホームランの飛距離ランキングでトップに名前が挙がり、各球場で次々と記録的なアーチを放っています。
昨シーズンは8月6日に敵地デンバーでのコロラド・ロッキーズ戦で、なんと504フィート(約154メートル)の超特大ホームランを打ちました。もちろんこれは、昨年のメジャー全体でもっとも大きなホームランです。近年、500フィートを超す記録はほとんど生まれていません。
さらに2015年5月12日のロサンゼルス・ドジャース戦では、ドジャースタジアム球場史上5本目となる場外ホームランも放っています。ドジャースタジアムは1962年オープンなので、これがいかにすごい出来事かわかるでしょう。飛距離は467フィート(約142メートル)ですが、打球があまり飛ばないドジャースタジアムでは驚異的。ちなみにドジャースタジアムはWBCの決勝の舞台なので、アメリカ代表が出場すればスタントンに期待が集まるのは間違いないでしょう。
ただ、スタントンの魅力は飛距離だけではありません。打球の速さも要チェックです。今、メジャーで話題となっている最新技術『STATCAST(※)』によると、昨年6月9日のミネソタ・ツインズ戦でスタントンが打った内野ゴロの打球の初速が、なんと123.9マイル(約199キロ)をマークしたのです。この規格外の打球の速さは、アメリカでも大いに話題となりました。スタントンはたとえゴロを打ったとしても、その打球のスピードにぜひ注目してください。
※STATCAST(スタットキャスト)=メジャーリーグ専門チャンネル『MLBネットワーク』が設立した専門分野で、最新テクノロジーを駆使してグラウンド上でのプレーを瞬時に細かく数値化する技術。
3人目はプエルトリコ代表、ヤディアー・モリーナ(セントルイス・カージナルス)の巧みなリードです。2006年と2011年にカージナルスを世界一に導き、2008年から2015年まで8年連続でゴールドグラブ賞を獲得しているモリーナは、球界ナンバー1のキャッチャーと言って間違いありません。
2013年のWBCでも、モリーナの存在は際立っていました。特に準決勝での日本戦、モリーナは見事なリードで侍ジャパンを手玉に取りました。バッターの特徴をマスク越しに観察して瞬時に見抜き、2次ラウンドで1試合平均10得点を挙げた日本の強力打線を、わずか6安打1失点に抑えたのです。プエルトリコ代表のマイナーレベルの投手陣が一流投手に見えるような、まさに完璧なリードでした。
モリーナのリードで特に注目してほしいのは、世界屈指のフレーミングです。フレーミングとは、キャッチャーがストライクゾーンぎりぎりのボール球を、審判にストライクとコールさせる技術です。
昨シーズンのモリーナは、メジャー全体でもっとも多い外角の見逃しストライク(1109球)を捕りました。この数字は、いかに彼が審判にストライクと見せる技術が高いかを象徴していると思います。WBCでも対戦する相手バッターは、外角の際どいボール球に気をつけなければならないでしょう。ストライクゾーンぎりぎりの外角のボール球をどう捕るのか、モリーナのキャッチングに注目してください。
4人目はオランダ代表、アンドレルトン・シモンズ(ロサンゼルス・エンゼルス)のショートの守備です。アトランタ・ブレーブス時代の2013年と2014年にナ・リーグのゴールドグラブ賞を獲得し、2013年から4年続けてメジャー全体で各ポジションひとりしか選出されないフィールディング・バイブル賞も受賞しています。シモンズは誰もが認めるメジャーナンバー1の遊撃手です。
セイバーメトリクスの専門家が中心となって選出するフィールディング・バイブル賞の常連でもあるように、シモンズの守備のすばらしさはデータとして顕著に表れています。2012年のデビュー以来、シモンズのDRS(※)の数字は5年間でメジャートップの合計131。ちなみに2位は、WBCアメリカ代表にも選ばれているサンフランシスコ・ジャイアンツのブランドン・クロフォードでDRSの合計は62。つまり、シモンズの数字はダントツで1位なのです。
※DRS=ディフェンシブ・ランズ・セーブドの略で「守備防御点」のこと。たとえば「10DRS」だとすると、その選手は平均選手よりシーズンで10点防いだという評価。数値が高いほど守備力の高い選手。
2年連続でシルバースラッガー賞に輝いているボストン・レッドソックスのザンダー・ボガーツや、「ジーターの後継者」と呼ばれているニューヨーク・ヤンキースのディディ・グレゴリウスなど、WBCオランダ代表は名ショートの宝庫と言われています。しかし、今回のWBCではボガーツを三塁に回し、グレゴリウスは内野のユーティリティとして起用すると、元ヤクルトのヘンスリー・ミューレン監督が発表しました。それぐらい、シモンズのショートは誰も奪えないポジションなのです。
そして最後はドミニカ共和国代表、スターリング・マルテ(ピッツバーグ・パイレーツ)の外野守備です。2012年にメジャーデビューを果たしたマルテは、2013年からレフトのレギュラーとなり、2015年〜2016年と2年連続でゴールドグラブ賞とフィールディング・バイブル賞をダブル受賞しています。
2012年以降の5年間で、DRSの合計はメジャー6位の73。昨シーズンはレフトでメジャートップの19DRSをマークしました。また、16人ものランナーを刺殺した数字もメジャーの外野手全体1位でした。今シーズンはチームの顔であるWBCアメリカ代表のアンドリュー・マカッチェンをライトに追いやり、マルテが新たにセンターのポジションにつく予定です。
ずば抜けた身体能力を持ち、俊足を生かした守備範囲と強肩はメジャー屈指。マルテはWBCでも守備でファンを大いに沸かしてくれることでしょう。アメリカ代表をしのぐ強打者ぞろいのバッティングばかり注目されがちなドミニカ共和国代表ですが、外野のポジションにマルテがいることも注目しておいてください。
