中国では、電力消費を減らせることを謳(うた)う「節電器」に注目が集まっている。実際には効果のないインチキ商品だ。故障で大量の電気を消費して、電気料金を9倍にしてしまったケースもあるという。電力量計(電気メーター)の表示を低くする事実上の「盗電器」も出回っている。大洋新聞などが報じた。

 中国では家庭における電力消費について、使えば使うほど割高になる「階段式料金制度」が導入されつつある。多くの人が「電気料金を、なんとか安く抑えられないか」と頭を悩ますことになった。

 広東省肇慶市に住むAさんは、電力会社から届いた料金の通知を見て驚いた。電力消費がそれまでの9倍になっていた。料金もほぼ9倍だ。「メーターを読み違えたな!」。Aさんは血相を変えて電力部門の営業窓口に怒鳴り込んだ。

 担当者は「まずは確認しましょう」ということで、スタッフの派遣を約束した。そして、Aさん宅に技術員が到着。メーターや室内配線を調べていた技術員はしばらくして、「分かりました、これですよ」と言った。Aさんがしばらく前に購入した「節電器」だった。

 おそらく、近くで落雷があるなどで、電圧が瞬間的に大きく変動したのだという。「節電器」内部のコンデンサーが破損して、「漏電」するようになった。絶えず大きな電流が流れ、Aさん宅の電力消費が急増した。「節電器」のおかげでAさん宅は電力を浪費した。料金もかさんだ。

 Aさんが購入した「節電器」は広く出回っているタイプだ。電力消費を20%-50%節減すると謳う。インターネット通販では200元(約3480円)程度で販売されている場合もある。

 正常に“機能”しても、内部にはコンデンサーがあるだけで、電力消費を抑える機能はない。「節電器」には小さなランプがついているので、わずかとはいえ、その分だけ電力を無駄づかいすることになる。

 科学知識のない消費者がだまされたと言えばそれまでだが、もしそんな便利な装置があるなら、家電メーカーが自社製品に組み込んで「省エネタイプ」として売り出すはずだ。「200元程度で毎月の電気代を抑えてくれる節電器など、眉唾」と勘づきそうなものだが、それでも購入する人が後を絶たない。

 なおAさんが使っていた「節電器」では、コンデンサーの絶縁が破壊されていた。絶縁が破壊されたコンデンサーを気づかず使い続けると、過熱して爆発したり、火災に結びつく可能性があある。

 広東省東莞市では2012年、青物市場の経営者が民事訴訟の結果、「盗電行為」で推定使用料の3倍の電気料金を支払わされた。当局の検査で、市場で使用していた電気メーターの内部が改造されていたと発覚したからだ。使用電力の50%程度しか記録されないようになっていたという。

 市場の経営者は、「節電機能があると説明されて取りつけた」、「盗電行為だったとは知らなかった」と主張したが、裁判所は認めなかった。

 電気関係の専門家は「節電電気メーター」などと称する商品が出回っていると説明。電気メーターの内部に取り付けるものだが、抵抗器などを使って電力メーターの動きを遅くするだけのものだ。

 知識がなければ「節電電気メーター」のおかげで電力消費を抑えているように見えるが、実際の電力消費を表示に反映させない「盗電行為」だ。悪質な場合には刑事犯罪に相当するという。(編集担当:如月隼人)