飲食店で客の「酒持ち込み」は一律OK…北京市当局が通達
北京市工商局は9日、「客の酒や飲料持ち込みを禁止」、「食器利用に対して消毒料として費用を要求」など飲食店に対して6種の禁止事項を通達した。違反があった場合の消費者の通報も受け付ける。中国新聞社などが報じた。
市工商局関係者によると、4月に市内の飲食店の調査を行い、メニューや店入口の表示、店内の表示などの実例を収集したところ、店側がさまざまな「規則」を設けていることが分かった。
中国ではもともと、飲食店への酒や飲料の持ち込みが自由である場合がほとんどで、「持ち込み禁止」に不満を持つ人も多かった。また、飲食店がさまざまな理由を設けて費用を徴収する例も増えてきた。
料理と場所を提供するという立場という「力関係」を利用しての費用徴収ということで、これらの「店が設定したルール」は「覇王条款」と言われている。 市工商局は、「飲食店内で売られている酒や飲料の価格は小売店における一般的かっかうよりも極めて高い」として、客の持ち込みを禁止することは「高額消費の強要の疑いがある」との理由で禁止した。「開栓料」を徴収する場合もあるが、今後は客が同意した場合にのみ従業員による開栓と費用請求を認める。
その他、「個室利用の場合の飲食費用の最低料金設定」、「食器類の消毒費用」、「法で認められた以上のキャンセル料」なども禁止する。
「遺失物について、本店は責任を負いません」との表示も、店側の管理責任が問われる場合があるとした。
飲食店側が「客側が店の提案を拒絶した場合には、食品衛生についてクレームをつける権利を放棄したとみなします」と宣言することも禁止された。店側とトラブルになった際に、客に従わせるための「覇王条款」だが、市工商局は「客には法にもとづいた(店に対する)監督権がある」と説明。店側には客の権利を奪う権利はなく、消費者の店利用について「権利放棄を前提条件とする」ことは認められないとの考えという。
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◆解説◆
「覇王条款」に使われる「覇」の字義は「暴力でもって支配的地位を得る」であり、本来は「正当・正統ではない」との悪い意味が伴う。
日本では「覇」にともなう悪いイメージが薄れ、「実力で地位を得た」のニュアンスが強まった。したがって、たとえばスポーツの優勝・優勝者を「制覇」、「覇者」など表現する場合がある。
中国でも悪いニュアンスをそれほど感じることなく「覇」の文字を使う場合があるが、「正当・正統でない」との意味合いが強調される場合がある。たとえば、国際政治における「覇権主義」は、「他国の正当な権利を力ずくで踏みにじる」との非難の言葉として用いられる。
2000年代初頭に、日本の自動車メーカーが自社の車に「覇道」という中国語名をつけ、「獅子が『覇道』にひざまずく」デザインの広告を用いたところ、中国で「獅子は中国を象徴だ。中国が日本に屈服していることを表現した広告」として、非難が殺到した。
日本人の感覚では過剰な反応にも思えるが、車名が「覇道」だったことも、大きな原因だったと考えられる。中国人にとって日中戦争における日本のイメージはまさに「覇道」であり、その車に中国風の獅子がひれふしていることは「過去の侵略戦争について開き直り、中国を再び屈服させることを意思表示。今の中国人には分からないと高をくくった」と受け止める人が続出した。
中国人からは「悪意はなかったと思うが、知らなかったとしたら中国と中国市場についてあまりにも不勉強」との声も聞かれた。
日本の自動車メーカーのその後の対応が迅速だったこともあり騒ぎは急速に鎮静化したが、日本が中国文化を広く取り入れたという歴史的背景があるからこそ、摩擦が生じる場合もあるということを示した実例だった。(編集担当:如月隼人)

