24日、憲法審査会が開催され、れいわ新選組の奥田ふみよ議員が「緊急事態対応」という当日のテーマに触れつつも、独自の主張を展開。政府の防衛費拡大や経済政策を激しく批判し、改憲反対を訴えた。

【映像】奥田氏、「暴走」?の瞬間(実際の様子)

 奥田議員は冒頭、「本日のテーマは緊急集会を中心とした緊急事態対応についてですが、申し上げたい。この国はもうとっくに違う意味で緊急事態なんです」と切り出した。その上で、主権者に対し、「この国が戦争に突っ込もうとしている緊急事態だという認識はありますか? 戦争をするために、戦争ビジネスで稼ぐ人のために、あなたの自由や下手したら命まで取り上げることのできる法整備がどんどん進められている、その認識はありますか?」と問いかけた。 

 続けて、現政権の安全保障政策を批判。「高市政権は武器輸出を認めてしまった」と述べ、1976年に決めた武器輸出の全面禁止の規制を閣議であっさりと完全に取っ払ってしまったと指摘した。その上で、「人は不安だから、武器を持てば安心できると思い、どんどん武器を増やす。でも、武器を持って本当に安心できるのか? 武器を作れば必ず使う。たくさんの人が殺される。そしてまたやり返すために武器を作り、使う。これが安全保障のジレンマだ」と主張した。
 
 また、前日の沖縄慰霊祭での高市総理大臣の記者会見における発言に言及した。高市総理が平和国家としての歩みや防衛力の自主的な強化について述べたことに対し、「この発言こそが、安全保障ジレンマのど真ん中であり、憲法9条違反の発言であり、再び戦争の道へ国民を引きずり込む危険極まりない発言ではないのか?」と述べ、「人間はいつになったらこの負のループから抜け出せるのだろうか」と訴えた。 

 さらに、日本国憲法について「永久に戦争を放棄するこの平和憲法こそが、弱い人間が最大の負のループから脱却し、大きく成長できる武器、人の命を守るための最大の武器ではないのか?」と主張。政府がやるべきことは徹底的な平和外交を尽くすことだとした上で、「戦争は2度と起こしてはいけない。全ての国民を絶対に飢えさせない。政治がやらなければいけない仕事はこの2つだけ」と述べ、憲法第54条の緊急集会もこの2つを政治家に守らせるためにあるとすべての主権者に知ってほしいと語った。 

 憲法第54条2項の規定については、「内閣は、国に緊急の必要があるときには、参議院の緊急集会を求めることができる。大震災であれ、選挙が困難な事態であれ、すでに対応できる道筋は用意されている」と説明し、先週参考人として出席した長谷部恭男教授や只野雅人教授も口を揃えて同様の見解を示していたと言及した。それにもかかわらず議員任期を延長しようとすることについて、「戦争を知る世代がいなくなった時、自分たちは安全な場所にいながら戦争を始められる仕組みを作ろうとしているのではないのか?」と疑問を呈した。議員任期延長を口にすることは、憲法違反をはるかに逸脱した、国会議員として破綻している者の暴走そのものだと非難した。 

 奥田議員は、戦争を経験した国会議員である野中広務氏が1997年4月の衆議院本会議で「国会の審議がどうぞ再び大政翼賛会のような形にならないように、若い皆さんにお願いしたい」と発言したことを紹介。強行的な審議や国家の論理によって異論が押し付けられることへの強い危機感からの発言だったと振り返った。 

 その上で、今国会で成立した国家情報会議設置法について、「改憲をして戦争ができる準備につながる法律だが、衆議院では自民党はもちろん、中道改革連合、維新、国民民主、参政、チームみらいがこぞって賛成し、反対したのはれいわ新選組と共産党だけ。すでに大政翼賛会状態に仕上がっている」と実態を指摘した。その衆議院が緊急事態条項を追加し、『いざというときのため』と議員任期延長を目論む「いざ」は戦争でしかないと主張。アメリカと中国の戦争が起きた際に日本が防波堤になるようアメリカに求められ、それに応えるために緊急事態条項で議員任期を延長させて居座らせ、緊急政令で内閣に独裁を許すものであり、「それは戦争の準備にほかならない」と述べた。 

「自民党を中心とした支持母体の経団連が武器で儲けさせろと言っているから」

 参議院についても「大政翼賛会が仕上がりつつある」と言及した。この日午前中の参議院本会議で、小泉進次郎防衛大臣が「新しい戦い方、新しい守り方」と繰り返し、防衛省設置法等の改正案を提出したことを挙げ、「この法律は、どこまでいっても戦争を始めるための準備であり、自衛隊を戦争に送りやすくするための準備である」と指摘した。参議院でも維新、国民民主、公明、参政はこれに賛成するつもりだとして、「自民党は大きな政党だからと、その言葉の裏にある巧みな騙しに気づかず、すぐに信じてしまっていませんか?」と主権者に問いかけた。 

 また、4月の世論調査で優先課題のトップが物価高対策で7割を超え、次いで年金、医療、介護など景気対策や生活の保障が続く一方、「憲法改正は全選択肢のうちで最下位11%」であったことを紹介した。「なぜこんなに改憲したいのか? 憲法を変えたいという政治屋の行き着く先は結局のところ戦争」と述べ、「アメリカが武器で儲けているから。自民党を中心とした支持母体の経団連が武器で儲けさせろと言っているから」と主張した。先週、衆議院を通過した国民投票法(日本国憲法改正手続法)についても、自民、中道改革連合、維新、国民民主、参政、チームみらいが賛成し、反対したのはれいわ新選組と共産党だけだったとし、「やはり大政翼賛会状態。この法律を作れ作れと言ったのは経団連。2005年のことです」と述べた。 

 続けて、政府の新たな成長戦略に向けた「戦略17分野」での官民投資額が2040年度までに総額370兆円を超える見込みであることに触れ、「少子高齢化が国難だと言いながらも、介護もなければ学校の先生を増やすことも含まれていない」と指摘した。「介護も教育も、年間数兆円ずつ出せばあっという間に少子高齢化は改善できるのに、それらへの投資はしない」と批判した。 

 国内経済や国民生活の現状については、「国民経済の軸である中小零細企業がいくら倒産しても、実質賃金が4年連続マイナスでも、高市自民党にとっては知ったこっちゃない」とし、年金生活者からも介護保険料を徴収し、物価や光熱費が高騰する中で「そんな生殺しの地獄をお年寄りたちに突きつけているのが、今の高市自民党だ」と述べた。「食料品の減税はいつ始めるのかもわからないのに、2年で打ち切りと出口だけはさっさと決めた」とし、現政権に年金生活者の生きる権利は排除されており、国民生活が超緊急事態であるのに守るわけがないと主張した。 

 最後に奥田議員は、「主権者の皆さん、真を問う政治、正しい政治に変えるには、主権者自身が政治を見張り、嘘を見破り、見極め、常に政治家たちを疑う力を持たなければなりません」と呼びかけた。国家予算が軍拡のために膨れ上がっている現状を指摘し、減税や現金給付、ガソリン税ゼロといった憲法25条(生存権の保障)の議論を無視することは時間とお金の無駄だと主張。「『また25条か? 同じことを繰り返す。テーマから逸れたことを発言する』と、私を嘲笑う主権者たちも大勢いるだろう」としつつも、「問題の本質は何なのか。政府は2度と権力を乱用するな。常に全ての国民の暮らしを安定させ、誰一人飢えさせるな。そして平和を守れ」と方針を示した。 

 奥田議員は「れいわ新選組は永久に戦争を放棄する9条2項の削除も、自衛隊明記も、緊急事態条項追加による国会議員の居座りも、そして緊急政令による内閣の独裁も絶対に許さない。改憲自体絶対に認めない。今ある憲法を守れ」と表明。憲法審査会を開くのであれば国民生活を守る憲法25条について徹底的に議論するよう求めて発言を締めくくった。

 この日行われた各会派の意見表明では最後に拍手がおきていたが、奥田議員の時は拍手の音は聞こえなかった。 

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