赤沢亮正大臣の公式Xより

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官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が統廃合の検討対象となっている。赤沢亮正経済産業相は「(損益が目標に達しなかった場合)検討会を設置し、対応を検討したい」と記者会見で明らかにした。

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クールジャパン機構は、日本の魅力(コンテンツ、食、地方の特産品など)を海外に売り出す民間企業を支援する官民ファンドとして2013年に設立された。

安倍晋三元首相の肝いりだったファンドには多額の公的資金が投入されてきたが、当初から収益は上がらず、累積赤字額は2024年度末時点で383億円にのぼった。

失敗例はいくつもある。2014年に出資したマレーシア・クアラルンプールの百貨店事業は集客に苦戦し、2018年に撤退を余儀なくされた。最大の投資先だったバイオ繊維開発の新興企業(スパイバー)が債務超過で私的整理に入り、約140億円の出資が大きな損失となった。これが廃止検討の決定打となった。

ファンド失敗の主な要因として、市場ニーズの調査不足、民間事業に不慣れな官主導のずさんな経営、「目利き」不在による安易な高額投資などが指摘されている。

一般論として、監督官庁(経産省など)からの出向者は、数年単位のジョブローテーション(異動)で変わってしまう。そのため、投資を決めた役人は、その投資が最終的に回収できるかどうかの結果を見届ける前に元の省庁に戻ってしまう。

資金は現場に届かずアニメーターは低賃金のまま

日本発のコンテンツでもっとも世界で評価されているのは、アニメ・マンガやゲームだが、そのアニメ関連事業に関しては、制作現場には資金がほとんど届いていなかったと言われる。コンテンツ産業は作家や制作者が潤ってこそ長く発展できるものだけに、これは厳しい評価だ。

クールジャパン戦略はもともと「完成済みコンテンツの輸出振興」が目的だったので、制作現場の助成よりも、海外での宣伝・販路拡大に重点が置かれたのは、ある意味で仕方のないことだったかもしれない。

しかし、アニメやゲームの制作現場は低賃金が続き、ときに“ブラック”“奴隷制度”とまで表現されるだけに、ファンドへの期待はあっただろう。このファンドを使ってもうかったのは広告代理店だけだ、という声もある。

そして、業界を長く見てきた専門家からは、「アニメやゲームを世界に広げたのは各コンテンツ企業の努力によるもので、政府の関与は限定的だった」という評価である。

政府は2024年時点で約6兆円の日本発コンテンツの海外売上高を2033年までに20兆円にすることを目指している。このため経産省は3月、「IP360」という補助金制度を新設した。ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写の5部門で海外展開や大規模作品制作、起業などを支援する方針だ。

実際にどんなふうにお金が使われるのかまだわからないが、クールジャパン戦略の二の舞にならないことを願うばかりである。そして、目先の輸出額の増加だけでなく、人材育成を含め長い目で強い産業に育ててほしい。

文/横山渉 内外タイムス