タレントの三田寛子さん(写真提供:プントリネア 以下すべて)

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歌舞伎俳優・中村橋之助さんと元乃木坂46で俳優の能條愛未さんが5月30日、東京・ホテルニューオータニで披露宴を行った。歌舞伎界や芸能界から約1000人が参加し、2人の門出を祝った。2人の婚約について橋之助さんの母・三田寛子さんが語ったインタビューを再配信します。**********タレントの三田寛子さん(60)と歌舞伎俳優の中村芝翫さん(60)の長男で歌舞伎俳優の中村橋之助さん(30)が2025年11月10日、都内で婚約発表会見を行った。お相手は、元乃木坂46で女優の能條愛未さん(31)。芸能界から梨園に入り、3人の男の子を歌舞伎俳優に育てあげた三田さんは、今何を思うのか。前編では、橋之助さんと能條さんの婚約に寄せる気持ちや会見に至るまでの歌舞伎の家ならではの裏舞台などを伝える。(構成:山田道子)

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婚約会見で橋之助はとても幸せそうだった

多くの皆さまから2人を祝福していただき、ありがたい限りです。何より橋之助は、普段あまり感情を出さないのに、会見を会場で見ていたらとても幸せそうだったので、うれしかったです。会見の後も、「今日、誰々さんにおめでとうって言われてさ」と笑っている。男の子って母親にあまり笑顔を振りまかずにボソボソしているのに、ニコニコで幸せにあふれているからよかった! よかった! です。(笑)

息子さんが結婚したママ友の中には「寂しい」と言っている人もいましたが、私の場合、そうではなかったです。実際に結婚したらそうした感情も湧いてくるのかもしれませんが、今は最愛の息子が最愛のパートナーを見つけて、あんなに幸せそうな顔をしているのだから、「どうぞよろしくお願いします」という気持ちのほうが大きい。とにかく愛未ちゃんが「このうちにお嫁に来てよかった」と思える素敵な人生を送ることができるよう、私も精一杯やれることはやってあげたい。

婚約会見は、歌舞伎界の諸先輩方に失礼がないように、橋之助が松竹の方と相談してタイミングを決め、ご挨拶、会場選びなども全て橋之助がやりました。


婚約会見でお相手の能條愛未さん(右)を紹介する橋之助さん(撮影:荒木大甫)

結婚が決まるまでは会わない

<婚約会見後、三田さんは、夫の芝翫さんと連名で「これまでも多くの皆さまに温かく見守っていただき、心より感謝申し上げます。2人はこれから、新たな家族を築くとともに、芸の道にも一層精進を重ねてまいります」とコメントを出した>

歌舞伎界といえども、その子の人生があります。私は、子育てが一段落ついてからバウンダリー(境界線)を大事にしようと考えてきました。私が元気なうちは責任を持って見守ってあげたいし、役にも立ちたい。でも、子離れ・親離れした後は、バウンダリーを保ちたい。

そして橋之助に結婚については、お願いしていたことがありました。結婚するという確信が生まれるまで、相手の方を絶対に私に紹介しないでね、と。ガールフレンドの段階で紹介され、情が移ったのに別れたりしたら辛いから。40年近く前、主人も私に「結婚が決まるまで親兄弟には会わせられない」と言いました。主人の実家に行っても、私は車の中で待っていました。

ある時、橋之助から、「ちょうど今、愛未ちゃんが家の前まで来ているんだけど、家に上がってもらってもいい?」と言われたことがありましたが、(愛未ちゃんには)悪いけれどお断りしました。

「念押しして」と伝えていたこと

<そのように三田さんから言われていた橋之助さん。家族に「プロポーズするけれどいいかな」と相談したそうだ。「プロポーズしました」ではなく――>

主人と私、二男の福之助、三男の歌之助がリビングに集められ、「プロポーズする。大事なことなので家族にきちんと報告したい。受けてくれたら、結婚したい」とものすごく改まって報告されました。私は「ああ、来た、来た」。で、「もし断られたら笑顔で戻っていらっしゃい」と冗談っぽく言ったら、息子たちに「それ今言うことじゃないから」とたしなめられました。


三兄弟仲良く、愛犬めんまと一緒に。左から二男の福之助さん、三男の歌之助さん、橋之助さん

橋之助には、結婚したい人ができたらこれだけは必ず念押しして、と伝えていたことがあります。それは「歌舞伎の世界は、中に入ってみないとわからないことや大変なこともたくさんある」ということ。せっかくのご縁なのに、後で「えっ!」となるのは悲しい。私は「どこの家にお嫁に行こうが、苦労するのは当たり前」と覚悟していましたが、それでも歌舞伎の家は想像以上に大変だったからです。 

「大変」といっても時代も変わってきています。「昔はこうだった」はすごいプレッシャーになると思うから、愛未ちゃんには「今の時代」に合わせて一番いい形でいろいろ教えてあげたいと思っています。

婚約発表会見の薄藤色の着物は

<婚約発表会見で能條さんがまとった薄藤色の着物は、34年前に三田さんが芝翫さんとの婚約会見で身に着けていたものであることが注目された。三田さんは会見前、成駒屋(中村家の屋号)の流儀で能條さんの着付けを直したという>

橋之助と愛未ちゃんが、私たち夫婦の婚約会見の写真を見て、「この着物いいね」と言ったのです。あの着物は、お義父様(七代目中村芝翫さん)が反物を選んでくださり、実家の両親が仕立ててくれたものです。思い出深い着物なので、記念の日に愛未ちゃんに着てもらえたらうれしいと思いました。

愛未ちゃんは私より手足が長いから仕立て直しが必要かなと思ったけれど、お直しなしで大丈夫でした。着付けに関しては、成駒屋流というか、お義母様たちがやってこられた好みがありますから、ホテルの方に着付けていただいた後、襟の角度とか帯揚げ、帯締めを少し直してあげました。

お互いをリスペクトしながら

<橋之助さんと能條さんの結婚式・披露宴は、今年初夏に開く予定。既に式場は決まっているという>

プロポーズの後、私から「一緒に結婚式場を見に行こう」と愛未ちゃんを誘いました。まだ婚約を発表していない時でしたし、愛未ちゃんの思いも大事にしたいと思ったから、2人でマスクとメガネを装着し、帽子をかぶり変装して何ヵ所か回りました。

<橋之助さんは婚約会見で、「僕は弟の福之助と歌之助が大好きで、とても仲がいい。僕ら兄弟のような子どもが育てられるよう温かい家庭にしたい」と述べ、愛未さんも「3人兄弟を見ていると心が温まるので、授かるなら賑やかな家族になったらいい」と応じた。三田さんは、どのような家庭を築いてほしいのか>

私の願いは一つ、兄弟3人が仲良く、お互いをリスペクトし合えることなので、2人の言葉はとてもうれしかったです。橋之助は責任感が強く何でも頑張って自分でやってしまうところがあります。若いうちはそれでも無理がきくけれど、体が一番心配。2人とも無理をしないで、お互いの気持ちや体調を気遣えるようにしてほしいと思います。

私たち夫婦と橋之助・愛未ちゃんとは約30歳違うし、時代も違います。橋之助と愛未ちゃん、それに福之助や歌之助たちがお互いをリスペクトしながら、感謝と思いやり、謙虚な気持ちを忘れないで新しい成駒屋を築いていってほしいと思います。

いずれ、福之助や歌之助も結婚する時がきたら、お嫁さん3人も一緒に仲良く、力を合わせていけるよう私も応援したいので元気でいなくっちゃ。(笑)

<後編につづく>