倉沢杏菜、『豊臣兄弟!』で踏み出した大きな一歩 「どのお花を摘むかは自分で決める」
現在放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)。主人公・豊臣秀長(仲野太賀)と兄・秀吉(池松壮亮)が、固い絆で天下統一という偉業を成し遂げていく姿を描く本作で、偉大な兄弟の妹・あさひ役を演じているのが倉沢杏菜だ。
参考:倉沢杏菜、『豊臣兄弟!』で感じる愛 「現場全体が本当の家族みたいな団結感」
近年、話題作への出演が続き目覚ましい活躍を見せる彼女に、俳優業を志した原点である母の言葉やバレエの経験、オーディション前に自らお墓参りに赴いたという並外れた行動力、そして偉大な先輩たちに囲まれた現場で得た自身の成長まで、たっぷりと語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
俳優業のルーツは『ハイスクール・ミュージカル』と8年間のバレエ
ーーここ数年で出演作がかなり増えている印象があります。改めて、俳優を志したきっかけから教えていただけますか?
倉沢杏菜(以下、倉沢):お芝居やエンタメに興味を持ったのは、5歳の頃に母が映画『ハイスクール・ミュージカル』を見せてくれたことが始まりです。直接的なきっかけというよりは、習っていたバレエの経験や作品を見ることが好きだった気持ちが積み重なって、今の仕事にたどり着いた感覚ですね。中学生のとき、英語劇を見た母から「女優さんっていう道もあるんじゃない?」と言われ、初めて職業として意識がしました。
ーーお母様の言葉が大きな後押しになったんですね。
倉沢:そうですね。母はいつも背中を押してくれますが、「最終的な決定は自分でする」というふうに育ててくれました。5歳から8年間続けたバレエも、体験に連れて行ってくれたのは母ですが、「やる」と決めたのは自分。いろんな種まきをしてくれて、どのお花を摘むかを自分で決めてこられた人生だなと思います。
ーーバレエの経験は、今の俳優業にも通じていますか?
倉沢:バレエは言葉こそありませんが、身体表現として自分ではない役になりきって物語を紡いでいくという点では、いまのお芝居に深く通じています。それが私のルーツなので、お芝居の経験がなかった頃でも、すんなりと自分の中で受け入れることができました。
オーディション前に行った“あさひ”の役作り旅
ーー『豊臣兄弟!』にあさひ役での出演が決まったときの心境はいかがでしたか?
倉沢:すっごくシンプルに、とっても嬉しかったです。オーディションで選んでいただいたのですが、受ける前に「あさひさんの役作りをすべて終えて挑みたい」と思い、いろいろな準備を頑張ったので、それが結果につながったことが嬉しかったです。
ーーオーディション前にどのような準備をされたのでしょうか?
倉沢:京都と静岡にある、あさひさんのお墓にまずお参りに行かせていただきました。「オーディションを受けさせていただきます」とご挨拶をして、その旅自体を“役作り旅”として、いろいろな本を読みながらあさひさんの人生をすべて把握してから挑みました。
ーーオーディション前からそこまで行動されるとは驚きです! 史実と脚本の描かれ方にギャップは感じましたか?
倉沢:あさひさんは当時の女性の立場もあり、言葉が後世にあまり伝わっていない方なので、最初は脚本の「天真爛漫さ」にびっくりしました。でも、知れば知るほど辻褄が合ってくるんです。歴史は勝った人が残す平面的なものですが、実在する人間が生きていたとすれば、そこには絶対に“感情”がある。その“感情”を用いて進んでいくのがフィクションだと思うので、そこから得た深みで、私自身があさひという人物をより深めていけたらと頑張っています。
仲野太賀&池松壮亮の凄みは“遊び心”にあり
ーー豊臣家(羽柴家)の撮影現場の雰囲気はいかがですか?
倉沢:すごく和気あいあいとしています。主演の仲野太賀さんが本当に周りをよく見て気遣ってくださる方なので、太賀さんを中心にいつも笑い声が絶えない現場です。名古屋で開催されたパブリックビューイングイベント(1月4日)でいただいたおそろいのカバンを、母・なか役の坂井真紀さんや姉・とも役の宮澤エマさんたち家族みんなで買ったお守りや缶バッジでデコレーションして、おそろいの現場バッグとして使っていたりと、本当に仲が良いですね。
ーー今後の物語では、徳川家康役の松下洸平さんとの共演も控えていますね。
倉沢:そうなんです。松下さんとは大河ドラマ『光る君へ』(NHK)でも共演していましたが、同じシーンへの出演はなかったので、お芝居としてしっかり対峙させていただくのは今回が初めてになります。まだご挨拶をさせていただいただけの段階で、あさひと家康としてはお芝居をしていないので、どんなシーンになるのか、どんな関係性の2人になるのか、今からドキドキしていますしすごく楽しみですね。
ーー仲野太賀さん、池松壮亮さんのお芝居を間近で見られていかがですか?
倉沢:お芝居がすごいことはもちろんですが、一番の発見は“遊び心”がとにかくすごいなということです。役や脚本のことを誰よりも深く理解しているからこそ出てくる行動で、リハーサルでも「こういう言葉や目線があった方がいいよね」と付け足したり、逆に削いだりされています。脚本にあるものを自分たちの力でより良くしていく姿が、本当にカッコいいです。
『豊臣兄弟!』を経て変わった芝居への考え方
ーー倉沢さんご自身も、現場で意見を出されることはあるのでしょうか?
倉沢:最初は自分のキャリアの違いから「意見していいのだろうか」という葛藤がありました。でも逆に意見をしないと、「みんなでより良くしていく作品の一員としての自覚を持っていないことになる」と気づいたんです。今は「あさひとしてどう思うか」を言えるようになってきました。お芝居の考え方が、この作品を経て変わったと思います。
ーー役者として今後挑戦してみたい役や目標はありますか?
倉沢:個人的に『名探偵コナン』のアニメにハマっているので、探偵系や刑事系のカッコいい役はやってみたいですね! 今まで天真爛漫で明るい役が多かったので、キリッとした役にはいつか挑戦できたらいいなと思っています。アニメも大好きなので、声優やナレーションなど声のお仕事にも挑戦してみたいです。
ーー最後に、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
倉沢:まずはこのインタビューを読んでくださって、そして『豊臣兄弟!』を観てくださってありがとうございます。この作品は私にとって非常に大きな思いがこもった作品になっています。1週間の終わりに、少しでも元気になれるきっかけになれればいいなと思って日々撮影しておりますので、ぜひ今年の年末まで、あさひと共に日々を過ごしていただけたらうれしいです。(文=玉置正義)
