「わが子に創造力や芸術的な才能はあるだろうか?」と気になる親御さんは多いでしょう。AI時代に必要なのは、問いを立てる力や感性、創造力や芸術センスでしょう。子どもの才能を伸ばすために、親ができることを教えます。

■ドーパミン・サイクルが挑戦し続ける土台をつくる

わが子の創造力や芸術センスを育むために、親ができることは「生の感動体験」を用意することです。

生の感動体験とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の「五感」のフル回転から生まれるもので、スマホやタブレットでは味わえないリアルな体験です。

生の感動体験は、ドーパミンを出す脳の回路を強化します。

ドーパミンは「脳内報酬」といわれるように、やる気の源であり、うれしいことや楽しいこと、驚きがあったときに分泌される神経伝達物質です。

子ども時代に感動体験を繰り返すことで、脳はドーパミンが分泌しやすくなる「ドーパミン・サイクル」を覚えます。すると将来にわたり、自ら意欲的に学び続け、挑戦し続ける土台が築かれます。

つまり、ドーパミンこそが、子どもの才能を伸ばすうえで最も重要になるのです。

また、脳は過去の経験や知識との「差分(ギャップ)」があると敏感に反応し、驚きや感動が大きくなり、ドーパミンがたくさん分泌されます。

子どもの才能とは、何が飛び出すかわからない宝箱。子育てとは、親子で子どもの才能を見つける「宝探しの旅」だと僕は考えています。

「こうなってほしい」と誘導するのではなく、子どもが何に興味を示すか、何に夢中になるかを見守りながら伴走するのが親の役割だと思います。

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者 1962年生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員、東京大学大学院特任教授。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職

※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院特任教授(共創研究室、Collective Intelligence Research Laboratory)。東京大学大学院客員教授(広域科学専攻)。久島おおぞら高校校長。『脳と仮想』で第四回小林秀雄賞、『今、ここからすべての場所へ』で第十二回桑原武夫学芸賞を受賞。著書に、『「ほら、あれだよ、あれ」がなくなる本(共著)』『最高の雑談力』(以上、徳間書店)『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)『最高の結果を引き出す質問力』(河出書房新社)ほか多数。
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(脳科学者 茂木 健一郎 構成=伊田欣司 撮影=鈴木啓介)