シリーズ「ちいきのチカラ」。今回は人口減少が進む奄美大島・瀬戸内町です。

廃校を拠点に、集落に元気を取り戻そうと奮闘する3人の移住者がいます。3人の姿から見えた離島の今とこれからです。

(チーム西方 伊藤香苗さん)「地元の農家さんのジャガイモ。久慈(集落)の畑で」

「あらとんとんの館」…もともとは廃校となった小中学校

奄美大島・瀬戸内町の西方の海沿いの集落に去年11月オープンした「あらとんとんの館」。地元の食材を使った食堂、特産品などを揃えた売店に、宿も兼ね備えた施設です。

もともとは、5年前に廃校となった小中学校。町がおよそ1億5000万円をかけ改修しました。

あらとんとんとは、学校がある西方・久慈集落の言葉で「くらげ」のことです。

自然豊かな離島に憧れ、西方に

あらとんとんの館を運営する、一般社団法人チーム西方のメンバー伊藤香苗さん(41)です。チーム西方のメンバーは14人で、町から補助を受けています。

瀬戸内町・西方には、久慈などを含め、あわせて7つの集落があります。1950年代はおよそ3800人が住んでいましたが、今は過疎化と少子高齢化で320人に減りました。

伊藤さんは奈良県出身。自然豊かな離島に憧れ、2018年に夫婦で西方に移住。伊藤さんは地域おこし協力隊として活動しました。

西方に魅せられ…住み続けることに

(チーム西方 伊藤香苗さん)「島唄もすごく好きで、自分もやってみたいと思って。(近所の)おばあちゃんの持っていた三味線を譲ってあげるから、頑張りなさいと言われた」

西方に魅せられ、地域おこし協力隊の任期を終えた後も住み続けることを決めました。

西方の海や歴史などの魅力を「西方の良さを発信」

(伊藤さん)「イラストは私が書かせてもらった」

今年3月には、西方の海や歴史などの魅力をまとめたパンフレットを作りました。

(チーム西方 伊藤香苗さん)

「こういうのを作って、西方の良さを発信していこうと」

「興味を持ってもらって、移住などもしてもらえれば」

あらとんとんの館に新たな魅力

この春、あらとんとんの館に、新たな魅力が加わりました。

それは、イチゴ。奄美群島で初めて栽培に成功しました。

(奄美市から)「おいしい。大きいねイチゴが」「初めて聞いた。おいしくなるんですね」

寂しくなる母の故郷を活気づけたい

イチゴ農園を管理する、中村和基さん(35)。母親が西方の出身で、3年前に埼玉県から移住してきました。

去年からイチゴの栽培に挑戦。温暖な奄美では虫がつきやすいことが課題でしたが、こまめな駆除や対策で乗り越えました。

そこには、寂しくなる母の故郷を活気づけたいという思いがありました。

(イチゴ農園 Amami Rain 中村和基代表)「瀬戸内町まで来ても、西方まで全然来てくれなくて。人の流れを作りたいというのが目的で始めた」

もう1つの重要な仕事

今年3月から週末限定で始めたイチゴ狩り。西方の久慈集落の人口を上回る、90人が訪れた日もあったといいます。

チーム西方には、あらとんとんの館以外に、もう1つ重要な仕事が…。

移動販売車「あらとんとん号」です。西方から往復1時間かけ、瀬戸内町の中心部・古仁屋で惣菜などを仕入れています。

出かけるのが難しいお年寄りなどのために…

奈良県出身の橋本幸雄さん(61)。バスの運転手でしたが、定年前の2020年に妻の父親の故郷・西方に移住しました。

買い物に出かけるのが難しいお年寄りなどのために、「あらとんとん号」で週3日、5つの集落を回っています。」

役割はモノの販売だけでなく

(客)「94歳。寿司とか煮物とか。ありがたいですよ。古仁屋に行かないと何もないからね」

橋本さんの役割は、モノの販売だけではありません。

(橋本幸雄さん)「病院の検査は何もなかった?」

(客)「いつもこうして来てくれるから助かる」

1人暮らしの多いお年寄りの安否確認も担っています。

大好きな集落を守っていくため 移住者たちの挑戦

(橋本幸雄さん)「1~2週間見なかったら心配。そういう時には家に行くようにしている。これからの目標は、この移動販売をいかにつぶさないようにするか」

この日、6時間の移動販売を終えた橋本さん。

(橋本さん)「完売。売れるでしょう」

急速に進む離島の人口減少。大好きな集落を守っていくために、移住者たちの挑戦が続いています。