【解説】憲法改正めぐる議論は…現状と今後 戦後80年、「時代の変化に対応した憲法を」との声も
憲法改正をめぐる議論が高まりをみせています。日本テレビ・伊佐治健解説委員長と憲法をめぐる議論について考えます。
■憲法改正の賛否 1年前と比べ「賛成」と「反対」が拮抗

高市首相(先月12日)
「どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法です。国民の皆様に堂々と問おうではありませんか」
伊佐治解説委員長
「憲法をめぐり高市首相は、来年春先の自民党大会までに改正の発議にめどをつけたいと発言しました。具体的なタイムスケジュールに言及したことで、改憲派だけでなく、護憲派にも火がついた印象です」
こうした中、日本テレビでは去年につづき、憲法について独自に世論調査を行いました。
まず、いまの憲法を「改正すべき」と答えた人は34%、「改正すべきでない」は32%でした。1年前と比べると、賛成と反対が拮抗していますね。
伊佐治解説委員長
「少し意外でした。憲法改正を強く訴える高市首相が選挙で大勝し、衆議院の憲法審査会でも改正に前向きな勢力が8割を超えるなど、憲法改正の現実味が高まってきたいま、逆に反対の声が増えています」
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さらに政党別では、自民党支持層は「賛成」「反対」、ともに1年前の調査とほぼ同じでした。一方、同じ与党の維新の支持層では「改正すべき」が52%、「すべきでない」が24%。与党となったこの1年で「賛成」が減り、「反対」が大きく増えました。
伊佐治解説委員長
「維新の議員は憲法改正を強く唱えますが、支持層の期待は薄らぐ傾向です」
■改正した方が良い項目「自衛のための軍隊保持」がトップ

憲法を改正した方が良いと考える項目については、去年と同じ「自衛のための軍隊保持」がトップでした。これは、憲法9条に関わる問題ですね。
伊佐治解説委員長
「はい、憲法9条は日本は『戦力』を持たないと定めていて、自衛隊の現状と矛盾すると長く論争になってきました。各党の違いは大きく、9条の議論は深まっていません。議論の土俵にのりやすい災害時など緊急事態への対応や、参議院の合区解消などのテーマが優先されています」
「ただ、先日の憲法記念日の改憲派と護憲派の集会で、興味深いシーンがありました。まず、改憲派で、かつて安倍首相のスピーチライターを務めた保守系団体のトップの発言です」
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日本会議・谷口会長(今月3日)
「80年だか100年に一度の好機が来ようとしている。避けていただきたいのが、安易な迂回(うかい)路を取ることです。真正面に9条があるけど難しかろうと合意をつくるのが難儀である。しかし、国民は本当に9条ができるかどうかを待っている」
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伊佐治解説委員長
「一方の護憲派です」
共産党・田村委員長(今月3日)
「(高市首相の)焦点は憲法9条にあることは明らかだと思います。最後の縛りともいえる海外派遣、これを阻止する力が打ち破られてしまうのではないでしょうか」
伊佐治解説委員長
「このように、現状の優先事項とは別に、9条の改正を期待する側、警戒する側、それぞれ声は大きくなっています。憲法審査会をよく知る関係者は、『9条は重要テーマであり続ける。改正項目が9条と緊急事態条項の組み合わせになる可能性もある』として、9条は依然、大きな論点との見方を示しました」
■「日本戦争に近づいているか」 「大いに」「多少」あわせて58%

憲法は、戦後の日本が守ってきた平和主義の土台ですが、世界では残念ながら戦争が絶えません。今回の調査で、「日本がこれまでと比べ戦争に近づいているか」をたずねると「大いに」と「多少」をあわせると58%でした。
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「大いに近づいている」と答えた人の中で、「憲法を改正すべきでない」と答えた人が69%に増えました。この変化をどうみますか?
伊佐治解説委員長
「はい。一つの背景として、あの出来事が思い出されます。アメリカとイランの戦いでホルムズ海峡が封鎖され、トランプ大統領は、日本を含めた各国に艦船の派遣を要請しました。しかし、戦闘が起きている地域への派遣は、憲法が原則禁じる海外での武力行使にあたる可能性が高く、高市首相は日米首脳会談では、トランプ大統領をなんとか説得してかわしました」
「憲法の存在が、戦争に巻き込まれるのを避ける助けになったとの見方もありました」
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とはいっても、戦後から80年が過ぎ、時代の変化に対応した憲法が必要との声は以前より大きくなってきました。
伊佐治解説委員長
「ある閣僚経験者は、『政府与党が、右に大きく振れるほど、野党側は高市政権との対立軸を作ろうと、左にエッジを効かせた主張をする。そうなると昭和の論争に逆戻りする』と警鐘を鳴らしました」
